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服作りをサポートするシタテルが考えるアパレルの未来とは?取締役の鶴征二にインタビュー

服作りをサポートするシタテルが考えるアパレルの未来とは?取締役の鶴征二にインタビュー

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「衣服生産のすべてがここに」をコンセプトに、服づくりをサポートする“衣服生産プラットフォーム”を展開する株式会社シタテル。2014年の創業から急成長を続け、今年3月には新たな衣服生産管理サービス「sitateru CLOUD生産支援(シタテルクラウド生産支援)」をリリースし、持続可能なファッション業界の実現を目指す注目企業だ。今回は2016年に同社に入社し、現在クラウドサービスの責任者も務める取締役の鶴 征二氏にインタビュー。ファッション業界の現状、そしてシタテルの目指す未来について話を伺った。

鶴 征二(つる せいじ)さん
シタテル株式会社・取締役、工場・サプライヤーインフラ構築、HR戦略・CSマネジメント。熊本市出身。濟々黌高校、神戸大学卒業。2007年株式会社リクルートエージェント(現:株式会社リクルートキャリア)入社。2015年より営業企画責任者に就任。2016年5月シタテル株式会社入社。2017年7月より現職。

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―まず、シタテルのビジネスについて教えて下さい。

“衣服生産プラットフォーム”を、インターネットを活用し提供しています。「服をつくりたい」というアパレルブランドや、アパレルに限らず「ユニフォームがつくりたい」という企業などのクライアントを中心に、現在20,000社ほどの事業者様にご登録いただいています。意外と服をつくりたいという事業者は多く、とても裾野が広いです。サプライヤー視点でも、縫製工場さえあれば服がつくれるという訳ではなく、生地、ファスナーやボタンといった原材料を供給する会社も必要ですし、パタンナーさんも必要です。洋服1着つくるには、さまざまなプレイヤーの協力がなければ実現できませんので、サプライヤーサイドに関しても裾野を広くしており、現在国内外で1100社くらい登録いただいています。

―B to Bのプラットフォームとして、登録20,000社、サプライヤー1,100社と、ここ数年でかなり増えているのでは?

もともとは日本だけだったのですが、現在サプライヤーサイドは海外展開もしており、中国、ベトナム、韓国、バングラディシュなどまで広げています。そのネットワークの中でどういうサービスを展開しているかというと大きく2つあります。1つはお客様から「こういう服がつくりたい」というリクエストをいただき、弊社内のネットワークで最適な工場でつくり納品する、すべて弊社とお客様間でのやりとりを行うフルサポートサービスというものです。このフルサポートサービスがシタテルの創業母体事業です。もう1つが、このフルサポートサービスで得た知見を活かし、今年3月に本格ローンチした「sitateru CLOUD」というクラウドサービスです。これは、我々自身がものづくりをするのではなく、お客様にクラウド上のシステムを提供することで業務改革をしていただくというサービスで、今後はシリーズとして展開していく予定です。DXを支援する衣服生産管理サービスとして、生産管理など、生産にまつわるあらゆる業務を効率化できるシステムを提供しています。ほかにもデジタル・ネイティブ・ブランドと呼ばれるブランド向けに受注、生産、配送を一体型にした生産一体型ECパッケージ「SPEC」というサービスも展開しています。

―2016年に入社された頃と比べるとかなり会社は成長しましたよね。鶴さんご自身の役割も大きく変わったのでは?

入社当時は私を含め5名のスタッフで運営していましたが、今は熊本本社に約20名、東京支社に約60名と社員数という意味でも拡大しました。会社としても次のフェーズに入っており、人数も増えたことでここからぐっと生産性をあげていくタイミングだと感じています。私の入社当時はひたすら工場の開拓をしていて、例えば「佐賀県に行くぞ」となったらとにかく順番に工場へ電話をかけてアポイントを取って回って、「さあ次の週は四国だ」みたいな感じでした(笑)。今は事業開発の部分を見たり、またクラウドサービスの責任者として動いていますが、工場の皆さんとのコミュニケーションは変わらず頻繁に取っています。

―例えば縫製工場でいうと、どれくらい日本にあるのでしょうか。また、シタテルさんはどれほどのシェアで利用されているのでしょう。

現場を見てきた肌感ではありますが、おそらく現在でいうと3,000〜4,000社あればいい方ではないでしょうか。調査関係の本などを読むと国内に14,000社ほどはあると掲載されていますが、その中にはすでに実態のない会社や倒産してしまった会社、実際には工場をもっていない事業者なども含まれているので、私の推論ですがそのくらいだと感じます。シタテルはその3,000〜4,000社のうち、500社ほどと連携している形になります。

―国内の縫製工場が減少傾向にありますが、どういった動きなのでしょうか。

これは今にはじまった話ではなくて、10年以上前からの傾向ですが、グローバルSPAの登場もあり、いわゆるトレンドゾーンと呼ばれるような中価格帯のブランドで、“1つの型が大量に売れる”という状態がなくなりました。そのうちグローバルSPAですらも、ユニクロのフリースのように1アイテムが爆発的に売れるという動きがなくなり、業界全体の流れとして“多品種小ロット化”が続きます。この傾向は昔からあったブランドとサプライヤーとの関係性のあり方にも変化をもたらしました。

ブランド側はかなりの数量の発注を1つの工場に投げる=工場側は1つの取引先で7.8割埋まるので新規開拓する必要もなく、それだけで安定していく。ブランド側は生産が安定するし、融通もきくという互いにメリットがあったんですよね。ただ、工場というのは比較的カットソーに特化していたり、ボトムに特化していたりと、専業にすることで最適化をはかる工場も多いので、徐々にブランド側が多品種小ロット化になることによって8割だった発注が徐々に6割……と減っていくため、工場の稼働が安定しなくなるんです。またブランド側にとっても、工場経営者の高齢化によって閉鎖せざるをえない状況になった場合、今まで発注していた工場がなくなってしまうという問題もあります。ここ10年ほどで、お互いにメリットだった関係性がデメリット面のほうが大きくなってきている傾向があります。

―発注依存がリスクに変化してしまった。これはコロナの前の状況で変わらない部分ですが、コロナでさらに工場側への影響はあったのでしょうか。

工場だけでなく、アパレル企業全体が影響を受けていたので、その点でいうと従来のアイテムの発注は間違いなく減少傾向にありました。ただ、例えばそれまで中国などに生産を依頼していたブランドの多くが、コロナの影響で稼働できなくなった海外の工場の発注を慌てて国内生産に切り替えたような動きも一部ではありました。さらに、マスクやガウンなどの衛生用品の需要が一気に増えたので、アパレルからの発注は減ったけれども国や民間企業からの要請で衛生用品の生産を手掛ける工場は増えたという傾向もありましたね。ただしこれらは来年以降にもわたって続くとは思えない一時的なものと思われます。

―工場の倒産報告もここ半年少ないようですが、一過性でも少なからず影響はあったのかもしれないですね。

私も今年はこれまでよりも倒産が増えたという感覚はなかったです。コロナの影響で案件がなくなり運営が回らなくなったという話も我々のネットワークでは聞いていません。コロナの影響がどれだけ続くかは誰にも分からないですが、現在ヨーロッパでも再び感染拡大が起きていますし、これからどうなるかは読めないです。ただ、日本国内での感染拡大が少しずつ落ち着くようであれば、その頃までに工場側にプロパー案件が戻っていかないと状況は厳しくなるのではと感じます。

―工場の減少にはどのような問題があると感じますか?

さまざまな要素がありますが、個人的には後継者がいないというところが大きいと感じています。皆さんもちろん誇りをもってやっていらっしゃるのですが、働き先としての魅力を出せていないと悩む経営者の方もいます。シタテルが連携している工場も、多くは1,2代目でやられている50,60代の方が多く、高齢化は進んでいます。実際に多品種小ロット化によって案件が減っている工場が多いので、シタテルを新たな営業部隊として頼ってもらいたいといろいろな工場の方に連携をお声がけするのですが、中には「自分の代で終わらせるつもりだから新たなチャレンジはするつもりないので」とお断りされる方もいます。連携するのに登録料もかからないため大半の工場の方が登録をされますが、無理して新しいことを取り入れるよりもこのまま自然に事業を終わらせたいという声もあり、悲しいですが事実として起こっていることです。

―こういった状況を打破するためにできることとは?

我々は縫製工場を救うとかサプライヤーサイドを救うといった個別の部分に目的を持つというより、業界全体を見てリファインしていきたいと考えています。もちろんその結果が工場にとって良い状況になり、別の業態も良くなっていく。そういう全体に対するスコープで目的意識を持っています。そのプロセスの中で工場の下支えになることを目指します。問題は多岐に渡りますが、特に我々がアプローチとしてやりたいのは、“依存ではなくゆるやかな関係性=共有する関係”です。これまで互いに所有する形に近かった部分を“共有”という形でオープンにしていく。そうすると今まで商売としてクローズだったものが開かれていくと思うんです。その結果、商売として盛り上がっていく、そういう流れをつくっていきたいと考えています。

―ゆるやかな繋がりをつくるということが今回のクラウドサービスにも繋がっているんですね。デジタル化への意識も必要ですよね。

「sitateru CLOUD」はLINEが使える社長さんであれば充分に使えるようなUIですが、もちろん中には拒否反応を示す方もいらっしゃいます。ですが、以前80歳前後の社長の方にサービスをご案内してみたとき、「ワシはわからん、インターネットもない。けど、チャレンジせなアカンと思う。どうすればいい?」と言われて(笑)。一時期ポケットWi-fiとipadをお貸しして一からやり方を説明したら、本当に一所懸命取り組んでくださって、最終的に自分ですべてやっていただけるようになったんですよね。チャレンジに年齢は関係ないと感じました。

―最後にシタテルの今後の取り組みについてお聞かせください。

近年、DXというキーワードが多出していますが、アパレルやファッション、ライフスタイル業界というのは他業界に比べると劣後しているなと感じます。このDXという言葉を紐解くと「デジタルツールを使いビジネスそのものを改革すること」で、ハードルは高くて一足飛びではなかなかいけない領域です。そのため、「今やっていることをデジタルツールに置き換え、自社の業務効率を上げる」というデジタイゼーションがまず最初に必要で、その次に「さらに取引先も巻き込んで取引の一連をデジタル化していく」というデジタライゼーション、そして最後に「その取組そのものが価値になりビジネスになる」=DXがあります。

例えばクラウド生産支援では、多くの会社は生産管理やサプライヤーとのコンタクトをかなりアナログでやってきたため、非効率でミスコミュニケーションも生まれていました。我々の「sitateru CLOUD」を使えばこのようなリスクがなくなり、業務効率があがっていく。共有するメールや電話、SNSもすべてクラウド上で完結する仕組みです。そして、このクラウドシステムから縫製工場とやりとりができたり、さらに生地や付属品も買える機能をつけるなど、いわゆる関係するすべてのプレイヤーを巻き込み、取引の一連を効率化していくとことにスコープを置きつくったものです。

我々の主なクライアントとしてはブランド、商社ですが、結局サービスを使うことでプレイヤーの皆さんに繋がっていくので、より登録いただく縫製工場や生地メーカー、付属品メーカーの方々が増えれば増えるほど、クラウド上で完結することがどんどん増えていきます。この業界に関わる多くのプレイヤーの皆さんに業態関係なく利用いただき、皆で業界全体をDXに向けて前進していけたら嬉しいです。それが結果としてオープンな市場に繋がり、これまでの所有する=クローズドな関係ではなく、皆がいつでも互いが見つけられて結び付き合えるオープンな関係性にしていけたらと思っています。

―ありがとうございました。

当初、東京オリンピックに向けローンチを目指したサービスだった「sitateru CLOUD」は、コロナにより思いもよらぬ形で多くの事業者の救いのサービスとなっているようだ。多くの人が集まることにより、さらに価値が見出されていくシタテルのクラウドサービス「sitateru CLOUD」。このサービスが拡大していくことによって、さらに持続可能なファッション業界の実現に繋がっていくのかもしれない。衣服生産のすべてをデジタルでバックアップする会社、シタテルの今後の取り組みに期待が高まる。

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