021年8月7日(土)に実施した「485回定点観測」の考察レポートです。
長く続いたワイド&ビッグシルエットのトレンドは一段落。
超ショート丈トップスやブラトップでネオボディコンシャスの台頭!
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思えば2021年の「定点観測」は、昨年とは異なり、長引くCOVID19禍の政策決定に振り回されてきた上半期でした。4、5月の2ヵ月間は社内規定により中止を余儀なくされましたが、その後、緊急事態宣言が解除となったことで6月に再開。と思いきや、7月に4回目の緊急事態宣言が再発令し、さらに同30日には延長、、、となったものの、緊急事態宣言下にオリンピック・パラリンピックが開催されるというパラレルワールドに。毎日報道される「Agoop(アグープ)」などによる各都心部の人流データ情報は増加の一途をたどっており、街の人びとも「コロナ慣れ」という状況へと変化していったのは記憶に新しいでしょう。
人とモノ、街を観察&考察するのが使命の「ACROSS」編集室。ということで、いろいろと検討した結果、7月に引き続き8月も、感染予防対策をしっかりしつつ、通常とは若干異なるスタイルで実施することにしました。
具体的には、スタッフを各地点1名+カメラマンの2人×3地点体制とミニマムにし、観察時間も13時〜16時と短縮化。さらに、接触を回避するため、インタビューは行なわず、スナップ撮影のみとすることにしました。
そんな通常とは異なるスタイルではありますが、観察テーマの設定は重要です。前日までのプレサーベイの結果、下記のテーマとなりました。●カウントアイテム: 女性ショート丈見えトップス、うち、+パンツ●ズームアップアイテム①: シャツ羽織りスタイル●ズームアップアイテム②: 男性センターパーツ(ヘア)*大ヒット&重版決定の新刊本「ストリートファッション1980-2020 定点観測40年の記録」、本の紹介ページはこちらをどうぞ↓(PARCO出版)
https://publishing.parco.jp/books/detail/?id=405
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直接渋谷、原宿、新宿地点の8月のストリートファッションのローデータをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
*2021年8月の定点観測・トップページはこちら:https://www.web-across.com/observe/p7l756000005royh.html
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カウントアイテム:女性ショート丈見えトップス
予想以上に多かったベアトップは世界共通のトレンドだった!?
先日公開された博報堂生活総合研究所の「デジノグラフィー」というプロジェクトに参加した考察記事が同社のオウンドメディアにて公開になりましたが、2020年〜2021年春までずっと続いている「白」のトレンドから一転。街を観察すると、黒が多いよね、黒のワンピースドレスが多いね、トップスもボトムスも黒というオールブラックも多いね、一部で注目されているグリーン(これはいろんなトーンがあるので、来春まで継続して流行しそうですが)は先月よりは減少したね、などいろいろなトピックが散見され、編集部員での会話も弾みました。
しかし、ずっと観察していると、「黒」が選択されている背景には、「欲しいものがわからない」「とりあえずの黒」「これを着ておけば安心」といった非積極的な選択で黒を選ぶ人が多く、トレンド軸としてはフォロアーに浸透しつつあり、また、来月の方がもう少し量的にも増えるのでは、と判断。逆に、「若者」=何かとワードとしても注目されているZ世代にデフォルトになっている、新しいバランス感に注目することにしました。
まず、夏休みということもあって街は若者たちで溢れていました。COVID-19禍後は、年配(主にバブル世代)は街中から減少傾向にあり、ファッショントレンドを風景的に見たときに、すっかり新しいバランス感に変化していることに気づきます。その1つが、今回カウントアイテムとして取り上げる、トップスがコンパクトになっている点です。
フィービーのセリーヌ以降、女性もサイズ感がどんどん大きくなっていったのは今さらここで言及することでもありませんが、そのトレンドが幅広い年齢層に行き渡った後、いま、再びコンパクトになっているというのが、トレンドを流れで見た時のポイントです。肩幅もジャスト、丈もおへそが見えるほどショート丈が増えていますが、普及しているという視点からは、「コンパクトに見えるように裾をボトムスにインする」スタイルが急増していることと合わせて観察することにしました。
ということで、名称は「ショート丈見えトップス」。うち、ボトムスの変化としては、ジャストウエスト、またはハイウエスト気味になっているのが特徴で、なかでもデニムのシルエットは大きく変化しる点も注目したく、「うち、+パンツ」としました。
さて、実際に街を観察してみると、予想していた以上に、ビスチェやブラトップなどをそのまま着用する女性が多いことに驚きました。個人的に定期購読することにした『NEW YORK TIMES』の8月11日の記事でも、タイムリーにも”Suddenly It’s Bare Season(いきなりベアトップが人気)”というタイトルの記事が掲載されており、いわゆるへそ出しルックがストリートに増えた様子を取り上げていて、久しぶりに(または、最近ちゃんとリサーチすることを失念していたかも、、)、ニューヨークと東京のストリートファッションの時間軸が重なった!ということが確認されました。
肌を露出したり、身体のラインを強調するスタイルの流行は過去にも何度かありましたが、その多くが「セクシー」というワードで紹介されることが多かったと思いますが、今、流行中のそれは、セクシーというよりは、「ヘルシー」だったり、「エフォートレス」という装うわたしに主軸がある点が新しい。ちょうど、現在開催中にパリコレでも、ベアトップにジャケットというスタイルが多数発表されているので、ぜひそちらも確認してみてください。
*NEW YORK TIMESの記事はこちら(購読者限定↓)https://www.nytimes.com/2021/07/22/fashion/suddenly-its-bare-season.html?searchResultPosition=1
*世界のコレクションがウェブサイトで見られる「VOGUE RUNWAY」はこちら(↓)https://www.vogue.com/fashion-shows
*渋谷、原宿、新宿各地点の「女性ショート丈見えトップス」は、こちらからどうぞ。(↓)https://www.web-across.com/observe/p7l756000005rpkk.html
*なお、「定点観測」では、過去41年分の全アイテム一覧をこちらからご覧になれます。https://www.web-across.com/observe/cnsa9a000000wpq4.html
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ズームアップアイテム①:男女シャツ羽織り
「渋カジ」の再来? という男子と、デザインの多様化がもたらした新しいウィメンズのシャツルック
1つめのズームアップアイテムはこちら。対象は男女です。
女性は7月のレース使いや透け感のある素材のシャツブラウス(的な)アイテムをふわっとベールのように羽織るスタイルが多い一方、カウントアイテムとして取り上げた超ショート丈トップス=ベアトップ/ブラトップなどの上にシャツを羽織るスタイルが若い世代に急増していました。このベアトップ×ロングスリーブのシャツやジャケットというスタイルは来春もっとポピュラーになりそうです。
一方、男性はTシャツを着用した上から白やベージュのコットン素材の大きめのシャツや、古着の柄シャツをバサッと羽織るレイヤードスタイルが流行中で、裾は出したままですが、ルーズな雰囲気ではなく、『POPEYE』などに登場するようなおじさんっぽいスタイルも目立ちます。裾をツータックの太めのパンツにインする一見すると野暮ったい、まるで「90年前後の渋カジ」のようなスタイルも人気です。
季節の変わり目、昨年はジャケットが表向きのトレンドではありましたが、結局今晩夏もエフォートレスなシャツルックが人気継続。女性も、フェミニンにストールやカーディガンを纏うのではなく、袖や襟元、ディテールなどのデザインが多様になった新しいシャツスタイルが支持されているようです。
*各地点の「シャツ羽織り」はこちら(↓)からどうぞ。https://www.web-across.com/observe/p7l756000005rpot.html
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ズームアップ・アイテム②:男性のセンターパーツ80sのアイドルのような、顔まわりスッキリのヘアの台頭。
2つ目のズームアップアイテムはこちら。
前回は男性女性を問わずやや長めになっているヘアスタイルをまとめた「ハーフアップ」に注目しましたが、8月は改めて、実は案外増えている真ん中分けの男性のヘアスタイル=センターパーツを取り上げておこうということになりました。「定点観測」を遡ると、2020年ごろから若い男性(いわゆるZ世代が中心です)を中心にじわじわ増えていました。わかりやすいデザイナーズブランドを好む層や、ズームアップ1でも取り上げた「渋カジ」のような古着を上手にコーディネートするレトロミックスを好む層、さらにパーマなどでウェービーで無造作なアメカジっぽい雰囲気を好む層などいろいろ散見された。モードっぽいスタイルを好む層は、BTSなど韓流スターやジャニーズ、お笑い芸人などドメスティックなトレンドの影響もありそうです。サイドが短めのヘアスタイルは、80sのアイドルっぽいニュアンスも感じます。各地点のセンターパーツ男子のヘアスタイルの詳細はこちらからどうぞ。
*各地点の「センターパーツ」男子のヘアスタイルはこちら(↓)https://www.web-across.com/observe/p7l756000005rpso.html
[文責:高野公三子(本誌編集長)]
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