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ラグジュアリービジネス歴26年、ピエール マルコリーニ ジャパン代表の蒲田考一インタビュー【前編】

ラグジュアリービジネス歴26年、ピエール マルコリーニ ジャパン代表の蒲田考一インタビュー【前編】

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日本上陸20周年を迎えるベルギー発のチョコレートブランド「ピエールマルコリーニ」が、今年の10月に日本法人を設立した。株式会社​​Pierre Marcolini Japanとなり、これまで以上に日本市場での期待が高まる同社の代表取締役を務めるのは、数々のラグジュアリーブランドで経験を積んでこられた蒲田考一氏だ。今回は、蒲田氏と同じ静岡県浜松市出身であり、ファッション業界在籍時から親交のあるエーバルーンコンサルティングのヴァイスプレジデント北川加奈氏が、これまでのキャリアで得た学びについて、そしてPierre Marcolini Japanのこれからについてお話を伺った。

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蒲田 考一さん/株式会社Pierre Marcolini Japan代表取締役
静岡県浜松市出身。幼少期をベルギー・ブリュッセルで過ごす。1991年に新卒でルイ・ヴィトンジャパンに入社。販売、ストアマネージャー、営業、ECマネージャーなどを経験。その後、ドルチェ&ガッバーナ、マックスマーラにて営業ディレクターを努め、2016年にゴディバ ジャパン入社。ラグジュアリーブランドでの経験を活かしブランドの拡大に貢献する。2020年にピエールマルコリーニに入社し、2021年1月に日本法人のPierre Marcolini Japan株式会社を立ち上げ、同社の代表取締役を務める。※2021年10月に株式会社Pierre Marcolini Japanへ商号変更

北川 加奈さん/株式会社エーバルーンコンサルティング ヴァイスプレジデント
静岡県浜松市出身。大学卒業後イギリスへ留学。帰国後は地元の静岡にて塾講師として勤務。2008年にウォールストリートアソシエイツ(現エンワールド)入社のため上京。2017年にAllegis Group Japanに入社、ASTON CARTER プリンシパルコンサルタントとして勤務。2021年1月にエーバルーンコンサルティング入社。

タフな幼少時代に得たのは「行動しなければはじまらない」という学び

―蒲田さんは幼少期をベルギーで過ごされたのですよね。

小学校1年生から6年生までベルギーのブリュッセルで過ごしました。当時はベルギーに住んでいる日本人自体少なく、当然ながら小学校一年生ですので漢字も英語もわからないなか現地の小学校に行くことになり、最初はひたすらアルファベットを覚えるのに必死でした。終日学校ですが言葉もわからないので会話することもなく、友だちもなかなかできないのでよく校庭の隅っこに隠れていましたね。今思えば、我ながらとてもタフな幼少期を過ごしたなぁと思います。けれど、子どもの吸収力というのはやはりすごくて、1年半くらい過ごすとフランス語で友だちと普通に話せるようになりました。親に辞書を買ってもらい努力して覚えて。当時は辛かったけれど、今思えばこの経験がベルギーと自分をつなぐきっかけになったと思っていますし、とても良い経験でした。行動しないとなにもはじまらないということを学び、とても鍛えられた時期でした。

幼少期:ベルギー日本人学校 真ん中に座っているのが蒲田氏(現地新聞に掲載されたもの)

―日本にはいつ戻ってこられたのですか?

小学校卒業と同時に日本に戻ってきました。今度は逆に日本語が少ししかできなかったので、国語、なかでも特に漢文・古文が嫌いでした(笑)。フランス語は財産として大切に続けなきゃという思いから、中学生時代は毎週末フランス語教室に通いました。大学もフランス語が学べる学校に行って、なるべくフランス語に触れて過ごすようにしていました。新卒でルイ・ヴィトンに入ったのも、フランス語にゆかりのある会社で働きたいという思いからで、入社後は販売員からキャリアをスタートしました。

ルイ・ヴィトン販売職から未経験の領域へ

―ファッション業界でのキャリアは販売からスタートされたのですね。新卒で入社したルイ・ヴィトンでの経験がビジネスにおける基盤となったとか。

当時はルイ・ヴィトン ジャパンもまだ小規模な会社で、店舗スタッフ含め200名ほどの会社でした。新卒を定期的に採用しはじめた2年目に入社して、最初に配属された店舗が赤坂のホテルニューオータニにあるサンローゼ赤坂店(現在は閉店)、そこが社会人人生のスタート地点です。それまでもちろん高額なものを販売した経験もないですし、仕事自体がはじめてだったので基礎的なところから教えていただき、3年半ほど経った頃に西武池袋本店に副店長として異動しました。当時ルイ・ヴィトンが日本で大きなブームになっていた頃で、この百貨店経験は大きかったです。1年半ほど働いて、次に三越千葉店(現在は閉店)の店長として3年勤務した後、ヘッドから声がかかりオフィスに異動して営業本部営業統括という新設部署で販売ポリシーや評価制度など、さまざまなルールを制定しました。このオフィスでの4年間はオフィスワークにおける実務のスキルアップに非常に役に立った期間でした。

―販売からオフィスへ異動というのも今となっては珍しいですよね。目を引く働きぶりだったのでしょうね。

4年間のオフィス勤務の後に、今度は札幌にあるスタッフ50名が在籍する大型店舗に店長として異動しました。東京から来るスタッフや銀行出身のスタッフなど、さまざまなバッググラウンドを持つスタッフがいたので、あらゆる人にどう接することが効果的なのかなど、組織のマネジメントというものを身をもって学びました。そこからまた東京に戻り新宿の三越(現在は閉店)で店長をしていたのですが、今度はグローバルで2番目に立ち上がることになったジャパンのECマネージャーに任命され、これまで経験のないECの領域を新たにやることになり、チームづくりをゼロから行い約2年かけてローンチしました。これが私のルイ・ヴィトンでのキャリアの最後であり、ここである程度の英語力が身についたことがキャリアにおいての大きな財産となっています。

ルイ・ヴィトン在籍時:パリ研修

―未経験だったECの領域をゼロからはじめたことで英語もそこで身につけられたのですね、さらにはデジタルの知識も。ルイ・ヴィトン退職後はどんな場所でチャレンジされたのでしょうか。

退職後、もっと洋服に特化したブランドをやってみたいという思いから、ご縁があってドルチェ&ガッバーナに転職しました。ホールセールマネージャーと営業職で約6年半、出店リニューアルに関するクライアント折衝やルイ・ヴィトン時代に培った評価制度や販売ポリシーの制定、オペレーションやCRM、イベントなどかなり幅広く担当しました。なかでも新規出店やリニューアルの経験はなかったので、とても勉強になりました。

―販売員時代の経験も大いに生かされたのでは?

販売をやっていたことを現場スタッフに伝えると、共感する想いをまず持ってくれるんですよね。全く違うフィールドからきたのではないと知ってくれるからこそ、一緒にやっていくことができたと思います。けれど、ドルチェ&ガッバーナに移った最初の頃によく言われましたね。「バッグを売るより洋服を売るほうが100倍大変ですよ」って(苦笑)。

―実際にそうかもしれませんね。

洋服の販売がこんなにも大変なのかというのは、ドルチェ&ガッバーナ時代に強く実感しましたね。当時いたトップセールスの販売スタッフは、まるでそのお客様の兄弟のようにコンサルティングするんですよ。友だちと一緒に買い物に来てアドバイスしてくれているようなラフさもあり、提案力もある。そういうスキルを持つスタッフはやはり特別で誰もが真似できるものではないですから、ほかのスタッフには自分らしい接客を追究するようよく言っていましたね。こんなにも接客というものは自由でいいのかと、私自身も知ることができました。そのあとマックスマーラに転職したのですが、そこでもドルチェ&ガッバーナとは全然テイストが違い、また多くの学びがありました。

「ファッションから離れた場所でマーケットを見てみたい」──新たなチャレンジの場へ

―蒲田さんのお話を聞いていると、どこのブランドでもどの職種でも、必ずご自身のなかで確かな学びを得られてきていますよね。ラグジュアリーブランドでここまで幅広い職種をご経験されたことで次のチャレンジも広がったのですね。

計26年間、3社のラグジュアリーブランドを経験して、少しずつ「ファッションに身を置くのを一回リセットしてもいいかな」と思いはじめたんです。販売員も卸営業も店舗開発もECもやったので、そこからまた違うファッションブランドに行っても、またそのなかのどれかをやっていくだけだと思ったので、だったら全く商材を変えて、別の視点からラグジュアリーマーケットを見てみたいと思ったんです。そこで、高級チョコレートブランドを展開するゴディバ ジャパンに行くことにしました。

―ファッションからチョコレート。商材が変わったことでの驚きもあったのでは?

まずファッション業界のシーズンサイクルとは全く違いますから、バレンタインやホワイトデー、ハロウィン、クリスマスなど、自らのマインドセットを切り替えるのに半年位かかりましたね。最初の2年弱は百貨店の担当で、約140店舗、30人以上いるスタッフとコミュニケーションをとっていきましたが、これは結構大変でした。バレンタインの催事など、数字のとり方がまったくファッションとは異なるアプローチで、非常に勉強になりました。ゴディバは膨大な販売チャネルをもっていますが、そのなかでも百貨店販売=対面販売におけるゴディバの存在価値というものはなにか、当時すごくよく考えていました。そこでゴディバのなかでもよりファーストブランドといえるチャネルをつくろうと思ってやったのが、生菓子をカフェ併設で提供する『アトリエ ドゥ ゴディバ』です。

―それまでなかった発想が生まれたのは、ファッション業界での経験が生きたのでしょうか。

それはあると思います。ただ、ラグジュアリーブランドで経験したことをそのままこの会社に押し付けても、マッチしないだろうとは当時すごく考えていました。そのなかで、これは使えるかもしれないということを何度かトライしていった形です。やはりファッションに比べてチョコレートを接客するほうが、接客時間は短いんです。けれど百貨店のなかにいると、例えばマックスマーラでお買い物をしたお客様がゴディバにいらっしゃる…ということは実際のお客様の層はそんなに変わらないんですよね。そこで当時、店長たちに顔と名前が一致するお客様はどのくらいいるかと聞いたら、残念ながらほとんどの店長が挙げられなかった。そのなかで、100人以上覚えているという店長がいたんですが、その店長は成城学園のお店の人で。ロケーションによって特性はあるけれど、全員がラグジュアリーなものを売っているという意識を持って、接客に活かしてみるのはどうかと提案したこともありました。なかなかうまくいきませんでしたが(苦笑)。

―まさに販売出身の発想です。ゴディバ・ジャパンには何年いらっしゃったのでしょうか?

4年ほどいました。その頃ちょうどゴディバ・ジャパンの親会社が変わるタイミングで、会社都合での退職になったため次の環境を探そうとしていたら、運悪く新型コロナウィルス感染症が拡大してしまい。多くの企業が採用をストップしていたこともあり、なかなか転職活動が進みませんでした。そうこうしているうち「ピエール マルコリーニ」とのご縁がありました。なぜ「ピエール・マルコリーニ」でやりたいと思ったのかというと、ゴディバジャパンでやりたかったけれどできなかったこと、というのが本当にたくさんあったんですよね。「ピエール マルコリーニ」は、規模は小さいけれどネームバリューもあるし、少ないけれど非常に良い立地にお店を構えていて、これからの可能性が詰まっていると感じました。可能性を感じたブランドで、やりたかったことにチャレンジできるという、これ以上ない場所だと思いました。

後編へ続く>>

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