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本社勤務への近道とは?大手アパレルメーカー商品MDにインタビュー

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本社勤務への近道とは?大手アパレルメーカー商品MDにインタビュー

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ファッション業界で働く者の大多数を占めている「販売職」だが、そこからのステップアップもしくはさらなる活躍の場として「デザイナー」「プレス」「MD」「バイヤー」など、よりブランドの中核を担うポジションも存在する。生業としてのファッションのおもしろさをより感じることができる、いわゆる“本社職”に憧れを持つ販売スタッフは多いはず。そこで「本社の壁」企画では、社内やブランドの第一線で活躍する先人たちを直撃。本社勤務を実現するために努力したことや、本社職ならではの苦労を探っていく。
今回は多数のブランドを展開する大手アパレルメーカーで、商品MDとして勤務するM氏に話を聞いた。販売職から本社勤務への近道は「鬼アピールです」と明かすが…その真意とは!?

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M氏プロフィール
専門学校卒業後大手アパレルメーカーにアルバイトとして入社。正社員登用後数年の販売職を経て、現在はMD職を担っている。

―学校卒業後からこれまでのキャリアを教えてください

専門学校を卒業後、大手アパレルメーカーにアルバイトとして入社しました。現在は約10年間、ファッション業界でのキャリアがあります。入社後は地元にある店舗で約2年働いて、正社員の登用試験に合格したのをきっかけに上京してきました。

―販売から本社勤務になるまでに掛かった年数はどのくらいですか?

アルバイト時代に2年、正社員として4年間販売職を経験したので本社勤務になるまで合計6年ほど販売キャリアがあります。最初の店では3番手、次の店舗で副店長を務めました。販売を始めて半年で副店長にはなったのですが、3番手とそんなに変わらないぐらいの位置づけでしたね(笑)

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―本社職に就きたいと意識したのはいつごろからですか?

正社員へのステップアップを機に上京後、ある店舗へ異動のタイミングで商品企画をやりたいなと思うようになりました。配属されていたブランドを崇拝していて、その服しか着ていない時期があって。その当時は、まだ店舗数も少なくてブランドらしさもあったのですが、売上が上がって店舗の数が増えていく中で“ぽくない”商品も入荷するようになっていったんです。だから、もっといいモノ、好きだったブランド“らしさ”が詰まった服を作りたいと思って商品企画を志すようになりました。

―本社勤務になるために苦労したことはありますか?

昔から社内では「店長勤務の経験がないと本社勤務にはなれない」とよく言われていて、ある種のジンクスがあったんです。だから副店長として続けていくうちに「それって正しいのかな?」と悩むようになって…実は退職する予定だったんです。
というのも、悩んでいた時期にインフルエンサー案件をこなす企業で働いている友人から一緒に働かないかって誘われて。インフルエンサーとして案件こなしながら働くという形も自分に向いてるかもって思っていたこともあって、上司に退職したい旨を伝えたんです。 

―そうしたら本社から上司がすっ飛んできたと(笑)

自分の中での意思は固かったのですが、信頼している上司やお世話になっている上司に引き留めていただいて。うれしい言葉もかけていただいたので、もう一回この方たちのためにも頑張りたいと思ったんです。最初はMDへの異動とは言われず、PRやSNS関連を担当して欲しいと言われたのですが、そういった職にも興味はあったので「やります」と。でも後々の人事考課の際に「実はMDなんだよ」って言われました。「MDをやりたい!」ってずっと社内の方々にも言っていたので、ラッキーでしたね(笑)

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―本社勤務になるために努力していたことはありますか?

本社の方をはじめ、いろいろな人たちに“鬼アピール”していました。巡回に来るマネージャーやスタッフに本社へ行きたい意思を伝えていましたし、お客様と接する販売職として感じていたことを基に「この商品はもっとこうした方がいいのでは」と提案もしていましたね。本社の方に、ただ「この商品いいですね」と良いことばかり伝えるのではなく、売れていない商品の理由もハッキリ伝えていたので、それが信頼に繋がったのかなと思います。
あとは、SNSのフォロワー数もアピールになったんだと思います。当時は、今みたいにブランド公式アカウントのリールを活用した商品紹介などだけではなく、個人アカウントで発信していました。個人として自身が関わるブランドの服を織り交ぜながら投稿している中で「いいね」がたくさん付いたりもして。そのころ一番フォロワーが多かったこともあって、本社の方の目に留まったんだと思います。

―販売職から本社勤務になるための難しさは何でしょうか?

現在200人以上の販売員がいる中で、毎年約1%の人材しか本社に行けないんです。特に歳を重ねた店長たちはステップアップの枠も少なく、結婚や転職で離職率も高いのが現状ですね。やっぱり本社側も人が詰まっているんです。ずっと同じ方が同じ部署やポジションにいる。他ブランドへの異動も活発な方ではないので、本社内で動きがないと店舗からの異動もない。そうなってしまうと、店舗にいる才能ある子が辞めてしまう悪い流れになってしまっているんだと思います。

―販売職を経験していたからこそ生かせているスキルは?

マーケットとコレクション、競合ブランドを見てしかモノづくりができていないことが多い中で、現場感が分かっていることは強みだと思っています。デザイナーさんも全員が販売職を経験しているわけではないので、お客様の意見や実際に着た情報などを知る販売職のスタッフがフォローすることでデメリットは回避されるかなと思います。お客様はいろいろな体型や好みがあるので、それを最前線で見ている販売職にも強みはあると思いますね。

―現在、本社勤務で苦労していることはありますか?

チームワークが少なく、そこの寂しさはありますね。店舗のときはチームプレーが多いので助け合うこともできるのですが、本社勤務は個人プレーが多い。精神面のフォロー含めて、自分自身ですべての責任を持つので寂しい部分はあります。

―本社職を目指す人々にアドバイスは?

自分の意思がとても大事かなと思っています。本社職は特にブランドと直に関わっていることなので、自分の強い意思がないとメンタルも崩れてしまいます。販売職の時点で自信を持てる人は絶対向いているんじゃないかな。
もちろん販売も頑張りつつ、社内へのアピールとSNSを使って社外への“鬼アピール”も忘れてはいけません(笑)。最近では異動や人事考課でもSNSを重視しているので、その部分が強いと本社勤務も近づくのかなと思います。
でも最近は「本社に行きたい」という店舗職からの声が少ないので、次世代の憧れになれていないことは議題として挙がっています。私たち自身が、憧れない働き方をしちゃっているのかもしれません…コロナになって現場とコミュニケーションが減ってしまっていることも原因だとは思いますが、もう少し憧れられるようにしていかなければなりませんね。

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