販売職から本社勤務へキャリアチェンジを果たしブランドの第一線で活躍する方々に話を聞きながら、仕事への姿勢を学ぶ「本社の壁」企画。今回話を聞くのは、人気レディースブランドのディレクター職を務めるA氏。プライベートでの買い物中にスカウトされたことをきっかけに、アパレル業界に入った異色の経歴を持つ。入社の経緯も異色ながら、販売職経験わずか1年、かつデザイナー職未経験で企画職に抜擢されるなど、短期間で華麗なキャリアを築き上げてきた。しかしその一方で、専門学校で学んだ経験があるわけでもない完全な“たたき上げ”だったこともあり、本社職に就いてからの方が壁は高かったと明かす。いかにその壁を乗り越え、ブランドを総括するディレクター職まで辿り着いたのか? バイタリティ溢れるA氏のキャリアに迫る。
ADVERTISING
A氏プロフィール
プライベートで買い物中にスタッフからスカウトされ、販売職として入社。1年販売を経験の後、社内の企画職採用オーディションを通じて企画職に抜擢。約5年企画職を全うし、現職はブランドディレクターを務める。
高校中退後に“たまたま”スカウト入社!! 1年後には企画職に
―アパレル業界に入ったきっかけは何だったのでしょうか?
高校2年生の時に、学校の授業より仕事をしている方が楽しく感じ、高校を中退し働いていたのですが、19歳のころ渋谷109に入っていた店舗に買い物に行った際に、レジの担当をしてくれた方から誘っていただいたんです。もともとそのブランドが大好きで働きたいと思っていたので、「働きます!」って即答しました(笑)
―販売職からスタートしたのでしょうか?
最初は販売からスタートして1年経つ頃、社内で企画職のオーディションがあったんです。当時ブランドの方向性が少しブレていたこともあって、デザイナーをショップスタッフからも採用することになりました。その頃お店が全国に20店舗ほどあり販売員は70人以上いる中で、社歴1年の私が選ばれました。企画職を5年経験し、今はブランドディレクターに就いて6年目です。
―本社職になるまで努力していたことはありますか?
雑誌のスナップ撮影などで本社に行った際は、本社スタッフに顔や名前を覚えてもらえるよう積極的に挨拶していました。また、109に入っている店舗は本社の方が来ることが多かったので、商品の売行き情報やお客様の感触を積極的にフィードバックしたり。「これは可愛くないです」「ブランドに合ってないです」と、ビシバシ臆せず言っていましたね。
―販売成績は上位だったのでしょうか?
当時同じ店舗に13人いたスタッフの中では、社歴的にも販売成績でもほぼ一番下でした。そこから企画職になったことで、他の方からは色々言われていたと思います…(笑)
服飾の専門知識がゼロ…本社職で立ちはだかる壁
―企画職に就いてからの苦労はありますか?
服飾専門学校に通っていたわけではないので、洋服を作ることは初めての経験。右も左も分からない中で上司と会話を重ねながら修正を繰り返して、膨大な時間を費やしていました。でもその上司からは丁寧に細かく教えていただいたので、本当に助けられましたね。
当時は遠距離の通勤や残業ばかりで自分の時間も取れず、自宅には寝るために帰っている状態。さらに上から厳しい言葉を言われることも多く…何回もやめたいと思ったのですが、一緒のチームの方々に助けられて頑張れました。洋服を作ること自体は好きだったので、やるしかないと。経験値や知識の不足分は自分の時間で補っていました。私の場合は、本社職になるまでの壁は低かったのですが、いざ就いてからの方がいくつも壁があった気がします(笑)
―販売職の経験があったからこそ生かされていることはありますか?
販売職の気持ちが分かる方だとは思うので、ただ商品を作って「これ売ってください」ではなく、なぜこの商品をこのタイミングで作ったのか、そしてそれをどう売ってほしいのかという部分を販売スタッフに共有しています。そうすると、スタッフも商品に気持ちが入るので、コミュニケーションを取ることを大切にしていると同時に自分の強みだと思っています。
センス、高いメンタリティ、SNS発信力…ブランドディレクターには様々なスキルが必要
―販売から企画・ディレクター職になるためには、どんなことが必要だと思いますか?
やっぱり、一番はセンスでしょうか。そもそもセンスがないと商品は売れないし、ダサい商品ができてしまう。
それに加えて、さまざまなことを乗り越えるための強いメンタリティも必要だと思います。ディレクター職は他のポジションよりもたくさんのことを担うので、様々な努力が必要ですね。
―では最後に、ディレクター職を目指す方にアドバイスをお願いします
自分が働いているお店の洋服だけではなく、色々なブランドの商品やお店作り、接客の仕方などをたくさん見て触れた方がいいと思います。 また、今は自分を表現するツールとしてSNSが強く、発信力がある方がディレクター職に向いているし求められていることでもあるので、まずはその部分を頑張ること。そして「ディレクターになりたい!」という気持ちをいろんな人に伝えるべき。自分で思っているだけでは伝わらないし、周りの人は助けてくれない。何よりも、言い続けることでふとした時にお声掛けされることもあるので、想いを口にすることも近道だと思います。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【NESTBOWL】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング