LVMHグループのベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)が新型コロナウイルス感染拡大以降で初めて来日、5月2日に官邸を訪問し、松野博一官房長官に日本の繊維・ファッション業界との連携策を示した。アルノー会長が日本政府を訪問したのは初めて。
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アルノー会長は松野長官との会談の冒頭で、「岸田政権が『新しい資本主義の実現』策の中で推進する『人への投資』と自社の方針は同じ価値観である」とした上で、「コロナで傷んだ日本の文化関連産業を応援する」ための、LVMHグループとしての日本との連携策を提案した。
日本の素材が同グループのブランドを含め、多くの海外のラグジュアリーブランドで使用され、世界での評価が高いにもかかわらず、ブランド化が進んでいない課題を踏まえ、「グループのブランドで使用した素材の産地名を商品に記載するなどして、日本の産地の技術を世界へ発信することに協力する」考えを示した。
さらに、「これまでと同様に、中小企業や職人を中心に、日本企業との協力を促進し、日本の若手アーティストとの協働も推進していきたい」と強調した。アルノー氏の発言を受け、松野長官は「日本の素材などの付加価値を高める上で、連携強化が必要だ。具体策を今後、日本支社(LVMHジャパン)と経済産業省で進めてほしい」と答えた。
今回のアルノー会長の政府への訪問と提案は、経産省が昨年11~12月に実施した日本のファッション産業に関する有識者会議「ファッション未来会議」での討議を踏まえたもの。会議にはLVMHジャパンのノルベール・ルレ社長が委員として参画、「海外ブランドによる日本産の表記の推進による日本素材のブランド化」などを政策課題として提言し、今回のアルノー会長の提案にも反映された。経産省では「今後、提案内容の取り組みを進める」(商務・サービスグループクールジャパン政策課)方針だ。
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