何度経験しても緊張してしまうのが採用面接。いまやウェブ上に面接準備に向けた記事があふれているが、実際に採用面接に関わる人たちが重視するポイントは意外なところにあったりする。これまで数々の採用面接のサポートをしてきたエーバルーンコンサルティングの五十野氏が今回送るテーマは“身だしなみ”。大阪で人気のバーバー「MAETA “BARBER LIFE“(マエタバーバーライフ)」のMAETA氏を迎え、面接準備におすすめの身だしなみについてアドバイスをいただいた。──“髪を切るのは人に会うためのマナーであり身だしなみの一つ”と語り、実際に就活生や転職者のグルーミングを行ってきたMAETA氏が伝授する、印象をアップさせるお手入れとは?
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MAETA RYUJIさん/「MAETA “BARBER LIFE“」オーナー
理容師歴20年のスペシャリスト。大阪・西天満のレトロビル2Fを改装し、2018年2月に一席だけのバーバー「MAETA “BARBER LIFE“」をオープン。“床屋を嗜好品として提案、再構築”をコンセプトにバーバリングの魅力を広めている。
http://maeta-barberlife.com/
五十野 正人さん/エーバルーンコンサルティング株式会社 シニアヴァイスプレジデント
外資系ラグジュアリーブランドにてマネジメント職を経験。2011年にエーバルーンコンサルティング入社。大阪オフィスに在籍し、自らのネットワークを活かし、全国のショップ系求人を担当する。
面接準備に必要なこととは?
五十野 正人さん(以下、敬称略):面接準備に必要なこととして、企業研究や店舗訪問などは一般的ですよね。店舗をもつ企業であれば、実際にお店に行って接客を受けてみると、どんな人が働いているのかが分かり、働いている人を見るとメイクや服装などから、どんな人材が多くどんな社風かが見えてきます。またブランドで働くのであれば、そのブランドのイメージに合った服装で面接に行くと思いますが、そうしたブランドのカラーというのも、実際に働く人を見ることで髪型や雰囲気などを掴むことができます。志望動機を準備するにも、リアルな接客体験を盛り込んだりするのは効果的です。
そして、もっと重要視してほしいのは当日の服装、髪型、清潔感などから伝わる“第一印象”です。第一印象が悪ければそこである程度の評価をされてしまいますから、万全で臨んでほしいポイントです。MAETAさんのバーバーにも実際に面接前に髪を整えに来るお客様が多いとか。
MAETA RYUJIさん(以下、敬称略):面接もそうですが、重要なプレゼン前などの前にもお越しになる人が多いです。例えば面接当日にヘアカットをしにに来たり、セットしにきたり、顔そりをしに来たり。実際に面接前にヘアカットしにいらしたお客様にあとから聞いた話ですが、面接がはじまってすぐ面接官から「その髪型いいね!」と声をかけられて、それでだいぶ緊張がほぐれたという話もありました。ヘアスタイルや身だしなみが会話のきっかけになることはあると思います。第一印象でピシッとした姿を見せて、そのあと会話で和やかなムードにするとギャップが生まれて、インパクトを与えられたという人もいましたね。
見た目が9割?面接時の印象をアップ↗させるアドバイス
五十野:やはり最初の印象というのは重要ですね。見た目の印象で採用NGになった例として挙げられるのが、表情が暗い、笑顔がない、髪やヒゲに清潔感がない……など。結局、面接で話す内容も見た目の印象に左右されてしまうので、勿体ないですよね。例えばヒゲがNGのブランドなのにヒゲを剃らずに行ってしまったり、フォーマルなブランドなのに金髪に染めていってしまったり、ネイルカラーがブランドのイメージとは異なるものだったり。あとは私服での面接で、ブランドのイメージとはかなり異なる雰囲気のコーディネートだったことで採用見送りになったケースもありました。とはいっても自分とかけ離れたイメージで臨むのも違いますし、簡単に印象をアップさせる方法はありますか?
MAETA:髪型って骨格に沿っているとまとまっているように見えるんですよ。逆に骨格からはみ出てしまうと乱れているように見える。なので、簡単にきれいに見せる方法としては、自分の顔の骨格におさまっているように髪をまとめること。その方が清潔感がでますし、印象アップにつながります。あとは髪型だけではなく、顔のシェービングをすることで顔色がパッと1トーン明るくなるのでおすすめです。不思議と肌が明るいと雰囲気も明るい印象になるんですよ。
五十野:確かに骨格におさまっていると清潔感を感じますね。意外と知らなかった人も多いのではないでしょうか。この程度ならすぐにでも試せますね。
身だしなみが整っていないと自信がない印象=見た目のグルーミングが重要!
MAETA:あと、ヘアカットなど身だしなみを整えることによって自信がつくことは実際にあるので、面接時のパフォーマンス向上のために整えるのもおすすめです。髪型以外でいうと、日頃からしっかりスキンケアをすることからでも自信につながります。身だしなみが整っていないと客観的に見ても自信がなさそうに見える。あとこれは結構気にする方も多いと思うのですが、匂いケアは重要です。
五十野:面接はほとんどが密室ですし、面接官のなかには香水が苦手な人もいますからね。自分が思っている以上に匂いに敏感な方もいますから、面接の日にはあまり香りのあるものはつけていかないほうがいいですよね。
MAETA:「MAETA “BARBER LIFE“」ではシャンプー類、シェービングソープ、シェービングアフターローションにイソップを使用しているのですが、イソップくらいさり気ない香りであれば好印象かもしれませんね。逆に身だしなみが成功例を生んだ面接ケースはありますか?
五十野:先日某有名外資系ブランドの採用に受かった方は、2回の面接のうち、それぞれそのブランドの異なるネクタイを着けていましたね。あと最近また別の外資系ブランドの採用に受かった方は、sacaiのセットアップで面接官の人にコーディネートを褒められていました。面接を受けるブランドの服を着ていくのも良いですが、あえて別のブランドを着ることで、ファッション感度の高さをアピールすることができます。
日頃からの意識が人としての魅力をつくり、面接当日の印象もプラスに
五十野:面接前やプレゼン前にバーバーに来たときに伝えたほうがいいことはありますか?
MAETA:どういう職種の面接でどんな企業イメージかが分かると、そのイメージに寄り添った提案ができるので、ぜひ伝えてほしいですね。あと、例えば「エレガンス」や「クール」など、言葉だけで伝えると人によって差が出るので、一番分かりやすい画像などビジュアルで見せてもらえると助かります。実際にコレクションの画像などを見せて説明してくれるお客様もいます。
五十野:「ここぞ!」というときにバーバーへ行くことって必要ですよね。僕の好きな映画のひとつ『マイ・インターン』で、アン・ハサウェイが演じるジュールズが、新CEOとの面談に行くときに、ロバート・デ・ニーロが演じるシニア・インターンのベンは自分は面接に行かないのにバーバーに行ってグルーミングするんですよ。それってすごく大切なマインドだと思っていて。人生においてもこういう物語のエッセンスを取り入れたいですよね。日頃からそういった意識をもっていると人生に豊かさや奥行きが出ますし、人としての魅力も増し、それが面接でも活きてくるのではないでしょうか。
MAETA:「MAETA “BARBER LIFE“」には毎週来られる方や隔週で来る方も多い。そういう方ってやっぱり普段のお手入れもマメにされているんですよね。でも、なかなか来られないという方でも、自分で少し手入れするだけでも結構変わってくるんです。例えば家でしっかりシェービングする場合は、蒸しタオルで温めてから剃ると綺麗に仕上がるのでおすすめです。あと、ヒゲも口角に沿って剃ってあげることで口角が上がって見えて、印象がだいぶ変わるんですよ。
五十野:口角が上がっているように見えるのは印象アップにもつながりますね。他にも日々のケアでアドバイスはありますか?
MAETA:シェービングが一番重要です。最近では女性でシェービングをする方も増えていて、肌のトーンがあがって、化粧のりが良くなるのでおすすめです。あと髪型に関していうと、面接当日にいきなりセットしようと思うと難しいので、いろいろ試してみるとだんだん自分に合うセットがわかってきますし、日頃からやっておけば面接当日も“いつもどおり”やるだけでメンタル的にリラックスできます。あとはTPOに合わせて整髪剤を変えてみるのもいいですよ。カチッとする印象を与えたいのであればポマードがおすすめですし、柔らかい印象にするのであればワックスやオイルなどでアンニュイにするなど、それだけでもかなり印象を変えられます。いくつか企業を受ける方はブランドの印象に合わせて整髪剤を変えてもいいかもしれません。
「MAETA “BARBER LIFE“」が普及させる、バーバーリングの文化
五十野:「MAETA “BARBER LIFE“」さんはオープンして4年半になりますよね。過去にエーバルーンコンサルティング企画のイベントでは、グルーミング講習会も実施していただきました。今や大阪で大人気のバーバーですね。
MAETA:「床屋を嗜好品として提案、再構築」をコンセプトにやってきて、お陰様で多くの方に共感いただいています。嗜好品というとワインやコーヒー、チョコレートなど、そういったものなので、床屋を並べるのは違和感かもしれないですが、それぐらいグルーミングには価値があると思っているんです。以前ご一緒したイベントのように、色々なひとにグルーミングの重要性を広めていきたいと思っています。
五十野:コンセプトはもちろん、店舗デザインやプロダクトにもとってもこだわっていますよね。カミソリの刃は15種類もあると伺いました。そうしたこだわりに惚れ込む業界人も多いのではないでしょうか。最近ではオリジナルのTシャツも人気だとか。
MAETA:当たり前のものを再解釈して新しいものを生み出すマルジェラの考え方に深く共感して、店舗イメージにはマルジェラの要素を取り込んでいます。オリジナルのフォトTシャツはオープンから年ごとに毎年新しいものをつくっています。最初は「MAETA “BARBER LIFE“」こだわりの“1席だけ“を表現したもので、2020年はNYにいたときに自分で撮ったいろんな人物の写真、今年はよく行くワインショップに当店の椅子を持ち込んでシェービングした写真です。
五十野:いろんな方にグルーミングの重要性、そして魅力を知っていただきたいですね。これからも「MAETA “BARBER LIFE“」からバーバーリングの文化が日本中に広まっていくことを楽しみにしています。今日はありがとうございました!
「MAETA “BARBER LIFE“」
公式サイト> http://maeta-barberlife.com/
公式インスタグラム> https://www.instagram.com/maetabarberlife/
撮影:WACOH
Brand Information
A Balloon Consulting
「エーバルーンコンサルティング(A Balloon Consulting)」は、東京と大阪を拠点にしたファッション業界に特化した人材紹介サービス会社。販売スタッフからエグゼクティブクラスまで、ファッション業界の優良な人材と企業をつなぐエージェントとして、多くの紹介実績を持つ。
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