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縫製工場とド素人をつなげることが中間業者の重要度をさらに高めている

縫製工場とド素人をつなげることが中間業者の重要度をさらに高めている

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

個人的にオリジナルの服を作りたいと思ったことがないので、そう思う人の気持ちはよく分からない。

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しかし、オリジナルの服を作ってそれを仕事にしたいという人の気持ちはわからないではない。

ちょっと文章が拙くて伝わりにくいかもしれないが。

で、近年、アパレル業界への新規参入の障壁はどんどん下がっていると感じられる。ただし活動を継続することが難しい。アパレル業界とはそんな業界だと当方は見ている。

新規参入の障壁がどんどん下がり、今では無きに等しい状態になっているのだが、その一因として、工場とダイレクトにつなげるサービスの乱立が挙げられる。

TSIホールディングスとシタテルが資本業務提携、縫製工場と消費者を直接つなぐFtoC事業を推進 (fashionsnap.com)

シタテル、ヌッテなんかがその代表だが、この手のサービスも始まってもう10年近く経過しているから、ある程度業界には定着した感がある。

TSIホールディングスが、中期経営計画(TSI innovation program2025)の実現に向け、衣服生産プラットフォームを展開するシタテルと資本業務提携契約を締結すると発表した。第三者割当増資の引受を行い、シタテルの発行済株式数の5.2%を取得する予定となっている。

とある。

そしてこの目的だが、TSIが国内生産を強化するという方針を打ち出していたので、その一環とも受け取れるが、それよりは

DtoC(メーカー直販)事業に加え、同社子会社であるTSIソーイングが保有する米沢、宮崎の2つの縫製工場と消費者を直接つなぐFtoC(ファクトリー・トゥー・コンシューマー)型のサービスなどを検討している。

とあるように、DtoCやFtoCをさらに増やすためである確率が高いのではないかと考えられる。

TSIもワールド同様に国内生産比率の上昇を打ち出しているから、国内の縫製工場を持続可能な状態にすることは急務だといえるが、掛け声だけでいまだ具体策が発表されないワールドに比べると、TSIの方がまだ実現可能性の高い施策を打ち出したといえるだろう。

それなりの評価をしたい。

ただ、懸念は

1、これ以上、新規参入の障壁を下げることが正しいのかどうか?

2、工場と消費者とのセッティングは理解するが、中間で翻訳する機能はそれにふさわしい規模があるのか?

という2点にある。

すでに、DtoCブランドは巷に溢れ、ウェブで検索すると「作りたい」「作ってほしい」という声がさらに少なからずある。

もちろん、この手の要望者の中には「記念品代わりに」作ってほしいという人も少なくないだろうが、オリジナル服を商売としたい、ビジネスとして手掛けたいという人も少なくないだろう。

となると、DtoCブランドがこれほど溢れ、すでにDtoCという言葉さえ、時代遅れのワードになりつつあると感じられるこのご時世で、さらに増やすことが業界にとって消費者にとって、はたまた国内経済にとってプラスに働くのだろうか?

完全なるマイナスとは言い切れないが、手放しでプラスとは言えないのではないかと思う。

例えば、売れなくて投げ売るDtoCブランドも増えるだろうし、DtoCというジャンル自体に対して消費者は食傷気味に感じる可能性は高くなる。

工場としても小ロットどころか、極小ロットの注文が増え「やっていられない」という状態になる可能性もある。

安易に参入障壁を下げ続けることが得策ばかりとは思えない。

話しは少し横道に逸れるが、新電力の相次ぐ破綻も燃料高騰や円安基調が原因とはいえ、参入障壁を極限まで下げた弊害だとも言われている。

それと類似した状況になるのではないだろうか。

次に、消費者(ド素人)と工場をセッティングするという目的は理解できるが、消費者の99%はド素人であり、縫製工場と直接やり取りをすると、却って意思疎通もできず混乱が生じる場合が珍しくない。

これは何も消費者に限ったことではなく、古くは読者モデル、タレントが立ち上げたブランドでよく見られたことだし、その後はド素人化した大手セレクトショップや大手アパレルの企画担当者と工場の間でもよく見られたことである。

2010年代半ば以降はインフルエンサーと工場のやりとりの難しさが顕在化している。

DtoC、とか言われながらODM屋や振り屋などがいまだに介在している、いや、振り屋やODM屋、OEM屋の介在度合はますます高まっており、さらに言うとこれらの重要度はさらに高まっている感すらある。

結局のところ、ド素人が工場と直接やりとりすることは衣料品に限らず、かなり難しい。例えばプラスチック工場とか金属部品工場と当方が直接やりとりしても相当に意思疎通は困難だろうと考えられる。

そうなると、DtoCが増えれば増えるほど、仲介でき、両方をつなげる役割を果たす振り屋・ODM屋・OEM屋の存在が必要不可欠となる。

もちろん、一口に「OEM屋など」と言っても、仕事に取り組む姿勢は千差万別だし、対応の良し悪しもピンからキリまである。

たしかに過去、仕事ができない、仕事の質が悪い、と取りざたされたOEM屋(中間業者)などはいくつもあった。しかし、だからと言って、全ての中間業者を排除せよというのは暴論に過ぎるだろう。

機能している中間業者は必要だし、その重要性はさらに高まっているのではないか。

今回のTSIとシタテルの取り組みで、DtoCが増えることに対して、この中間業者的な役割を果たす部署や機関がどれほど充実しているのだろうか。

充実していれば、企業にとっても工場にとってもド素人にとってもハッピーな結果がもたらされるが、ここが充実していなければ、工場とド素人間でのトラブルが激増して、業界に悪影響をもたらすことになるだろう。

シタテルはスタッフ数も多いからそれなりに機能も人員も充実しているとは思うが、その部分は細心の注意を払って構築してもらいたいと思う。

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