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LGBTQI+も障がいがある人も、平等にあるべき社会へ ケンゾー・パリ・ジャパン代表が語るDE&Iとは?

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ビジネス界のトップランナーのキャリアを「丸ハダカ」にする新感覚対談「Career Naked」。今回登場いただくのは、昨年9月にケンゾー・パリ・ジャパン株式会社のPRESIDENTに就任した、大河内元基氏。ファッション業界でもっともDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の取り組みに注力している「LVMHモエ ヘネシー・ルイヴィトン」グループのブランドでCEOとしてキャリアを積み、プライベートでは今年フランスで同性パートナーと結婚されたLGBTQI+当事者である大河内氏に、自身のキャリアストーリーとLVMHのDE&Iへの取り組み、日本が目指すべき“平等な社会像”について、業界屈指のエグゼクティブ人材紹介実績を持つ北川氏が話を伺った。

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大河内 元基さん/ケンゾー ・パリ・ジャパン株式会社  PRESIDENT
数々のラグジュアリーブランドでバイヤー、リテールオペレーションマネージャー、GMなどを経験し、2016年よりLVMHファッショングループジャパン株式会社エミリオ・プッチジャパンPresident & CEOに就任。2018年にはLVMHウォッチ・ジュエリージャパン株式会社フレッド ジャパンのGeneral Managerに就任し、2021年9月より現職。

北川 加奈さん/エーバルーンコンサルティング株式会社 ヴァイスプレジデント・人材コンサルタント
静岡県出身。英国への留学を経て、英語教師としてキャリアをスタート。その後、人材業界に転身し、外資系人材コンサルティング会社にてキャリアを積んできた。2021年エーバルーンコンサルティングの上級職に就任。ラグジュアリー、ファッション、ライフスタイル、コスメティック業界に専門性を持ち、外資系クライアントのエグゼクティブサーチを中心に強みを発揮している。また「歩く人材データベース」とも呼ばれ、業界でも屈指のネットワークを誇り、キャリアを通じての人材紹介数は3,000件を超える。平日にはハイブランドのファッションを愛するかたわら、週末にはアウトドアを愛し都市と自然の調和の取れた生活を、愛犬とともに送っている。

学生時代、バックパックから始めた海外での生活

― さっそくですが大河内さんは学生時代、どのように過ごされていたんですか?

僕は小さい頃からずっと海外に興味があって、小学生の頃から海外の学校に進学したいと思っていました。ですがなかなか叶わず、高校卒業後も「大学には行ってほしい」と言われていたので大阪の大学に通っていて。それでもやっぱり諦めきれなくて、大学を中退してアルバイトしながら留学費用を貯めることにしたんです。その間、親にはずっと学校に通っているふりをしていたんですよ(!)。半年くらいたってやっと貯金が貯まったので、そのままバックパック一つでドミニカ共和国に飛び立ちました。

― すごい行動力ですね!なぜドミニカ共和国に?

昔からカリブとかきれいな海の上に浮かぶ島で暮らしてみたいと思っていて、決めました。その間に大学から両親に“退学届の受理の通知”が届いて、ついにバレてしまったのですが(苦笑)、そのままとりあえず2ヶ月間はドミニカ共和国で過ごしました。もっといろんな国に行ってみたいと思うようになって、そのあとはヨーロッパなど数カ国を旅して、ワーキングホリデーの準備をするため、一旦帰国しました。

オーストラリアのシドニーにワーキングホリデーが決まって、オーストラリアに行ったのですが、どこかで「やっぱり中途半端はだめだ」という気持ちもあって、オーストラリアで大学に通い直すことにしました。卒業後はホテルの会社に就職して、ニューカレドニア、メキシコ、キューバ、ボラボラ島、そしてオーストラリアと、2年半の間にいくつもの国で働きました。シドニーに戻って大学の修士学を取得したころは32歳くらいでしたが、ずっと好き勝手やってきて、この頃「やっと学生が終われた」という気持ちでした。

― ファッションにもずっと興味があったんですか?

ファッションもずっと好きで、大学時代はシドニーのモスキーノで販売のアルバイトをしていました。それがファッション業界での最初の仕事です。同じ会社でグッチも取り扱っていたのでグッチの販売もしましたが、結構勢いがあって、店舗売上No.1とかにもなっていたんですよ(笑)。

ファッション業界での初めての仕事は販売。「当時は1対1ではなく、複数人を相手に売り捌くように販売をしていました」と語る大河内氏。

最初は販売員としてキャリアをスタート、CEOになるまでのストーリー

― 最初のキャリアは販売だったんですね!しかもトップセールス。確かに大河内さんにおすすめされたら何でも買ってしまいそう(笑)。それからどのようにしてCEOまで上り詰めることになったのか、とても気になります。

当時はバイヤーになりたくて、大学卒業後もそのままシドニーでファッション業界に残りました。その後、グッチとサンローラン両方のVMDを担当することになって、最初からVMDに興味があったわけではないですが本国との関わりも多くとても勉強になりました。でも、シドニーのファッション業界のマーケット自体がとても小さかったので、もっとマーケットが大きい場所=東京で就活をしようと帰国して、アルバイトしながら転職活動をし始めたんです。そのときちょうどHUGO BOSSのHUGOのバイヤー募集を見つけて、応募して合格することができました。バイヤーとしての経験は全くなかったんですが、メンズバイヤーとして1年ほど働きました。バイト時代に現在のパートナーと出会い、偶然にも彼がもともとオーストラリアに住みたかったということもあり、それから一緒にオーストラリアに戻って生活をはじめました。

― パートナーとは東京で出会ったんですね。キャリアはどう変化しましたか?

オーストラリアに戻ってからは豪州ブランドのメンズMDマネージャーになりました。その仕事が自分にとってかなり楽しくて、やっぱりバイヤーの仕事がやりたい!と思いました。その後にバリーのバイヤーに転職して、リージョンのバイヤーとしてイタリアに買い付け等に行っていましたが、そんな頃、ちょうど母親の病気が発覚して、また日本に戻ってくることになりました。その時はセルジオ・ロッシ ジャパンでバイヤーの仕事が見つかり、転職しました。母親の病気も落ち着いた頃、パートナーをシドニーに残してきたこともあり、もう一度オーストラリアに行って、今度はバリーのリテールオペレーションマネージャーになって働いていたのですが、今度はパートナーが日本に転勤になって(苦笑)、それでまた僕も東京に戻ることにしたんです。

― すごい、まさに日本とオーストラリアを行ったり来たりの生活だったんですね。どこにいってもお仕事があることって素晴らしいですね。

その時はエミリオ・プッチのリテールマネージャーとして声がかかって、「日本でのリテールマネージャーなんてできるのか?」ととても不安だったんですが、背中を押されてやることにしました。いろいろと初めてのことだらけでしたが、なんとか乗り切っていた頃、今度はGMに推薦されて、ジャパンのPresident & CEOに就任することになりました。

― そこからCEOとしてのキャリアがはじまったんですね! 

エミリオ・プッチの後はフレッドのGeneral Managerになりました。ジュエリーブランドは一度チャレンジしてみたかった業種で、最初から最後まではコロナ禍だったのでとても大変でしたが、アイコンのジュエリーが好調でイベントも盛況のなか終えることができました。

そして去年9月にケンゾー・パリ・ジャパン株式会社のPRESIDENTに着任しました。NIGO®がアーティスティックディレクターに就任し、新生ブランドということもあって日々バタバタとしていますがとても楽しいです。まだ日本ではコロナの影響が続いていますが、本国とのコミュニケーションもあり、モチベーション高くやっています。

多様性が当たり前のLVMHの文化と、日本社会のギャップ

―LVMHとしてのDE&Iの取り組みについて教えて下さい。

LVMHジャパンとしては、2019年3月、国連「LGBTI差別に取り組む企業に向けた行動基準」にサインし、グループのコミットメントを発表。2020年には『ジョブレインボーLGBT仕事博』というイベントにも参加しました。過去、LGBTQI+の男性が、内定企業からゲイであることが分かったことで内定を取り消されたということから立ち上がったものです。これに賛同する企業がプレゼンテーションをしたり参加者からの質問に答えたりするもので、初めてLVMHジャパンとして参加しました。

LVMHには「People Make the Difference」という基本理念があり、人には必ず違いがあり、違う人が集まるからこそ何かが生まれるといった考えが根付いています。LGBTQI+だけではなく多文化共生、障がい者雇用、女性のエンパワメント、育児&介護の従業員サポートなどに取り組んできました。

また、「アンコンシャスバイアス・トレーニング」をグローバルで実施しているのですが、これは、誰もが無意識にバイアスを持っていることを意識し、バイアスがどのような行動に影響を及ぼすのか、バイアスがかからないよう仕事をどう見直すのかなどを学ぶトレーニングです。

LVMHグループ全体におけるダイバーシティとインクルージョンへの取り組みを評価し、推進するための指標として「LVMH Inclusion Index」を設定している。©️LVMH

― 海外生活が長い大河内さんですが、日本での生活を通して、どんなことを感じていますか?

僕は20年近くオーストラリアで暮らしていましたが、移民の多いオーストラリアでは“違う”ということが当たり前のことでした。例えば同じ英語でも出身地の訛りがある人ばかりですが、そこでバイアスをかけることは全くなくて、皆そこにいる“仲間”という意識がとても強かった。男性同士で手をつないでいる人も普通に街にたくさんいるし、誰も気に止めないけど、日本ではやっぱりまだ“違う”ということスポットライトが当たってしまう傾向が強いと感じています。僕自身も当事者として、日本社会での生きにくさを感じることはまだまだ多いです。LVMH社内ではDE&Iが進んでいるので、働きにくさを感じることはまったくないけれど、やはり一般的なコミュニティであったり、公共の手続きであったり、驚くことはとても多いですね。

― まだまだ日本社会は遅れをとっていますよね。今年フランスでご結婚されたそうですね。

日本では法律上、同性とは結婚ができないですから。実は今もまさに問題を抱えているところで、パートナーが東京でのプロジェクトを終え、ビジネスビザが切れてしまうのです。僕らはフランスでは結婚していますが日本では認められないので、彼だけ出国しなければならない。同じ日本人として税金も払って国民としての義務を果たしていても、一緒に暮らす資格がもらえないんです。先日も保険に入ろうとしたら、同性パートナーではプラン自体がなかったり、20年近くパートナーとして連れ添っている僕らですが、初めて問題にぶつかったと感じる経験でした。

まず知ることから、その人らしさを受け止める社会へ

― そうした制度自体も整っていないですし、そもそもの知識自体が足りない気もします。

マジョリティ向けにつくられたものに、マイノリティの人たちが属さないといけない、そんな感じがしますが、それってインクルーシブじゃないですよね。どこか日本らしい、奥ゆかしい部分でもありますが、“違う”ことを尊重しあって、マジョリティとマイノリティが共生できるようなファシリティをつくっていかなければならないと感じます。

LVMHにはグループで働く従業員をエンパワメントする社内プラットフォームがあって、そこでは「この人は○○」といったことは関係なく、LGBTQI+であろうと関係ない。個々の才能にフォーカスして、さまざまなコンテンツを共有する真のコミュニティが存在します。

― 確かに、今まで海外で当たり前だったことが突然当たり前にならなくなる怖さはありますね。

ありますよね。あと、「世帯主」という考え方も日本独自で「いる?」って思っているものの一つです。男女の夫婦の場合、なんとなく男性が世帯主になる傾向が強かったり、チャイルドケアにしても子どもが生まれたらなぜか身の回りのことは女性がやるといった既成概念が強かったり。そういった背景からも女性が社会に進出しづらい環境がまだまだ多いと感じます。

― 確かに、私自身も女性だからと、される質問にびっくりしてしまうことがよくあります。少しでも平等な社会へと改善されるといいですね。

マイノリティに属する人も、皆が平等で同じ人権を持つべきだと、まず知ることが大切だと思います。そしてどのような問題が存在するのかを知ってほしいです。知識を持って、皆が当たり前に話せる環境が社会にあればいいと思います。女性も、LGBTQI+も障がいがある人も日本に在住する外国の方々もこの社会に住む皆が同じく平等であるべきなんです。“自分らしく”という言葉がよく使われがちですが、その先で、受け取る相手の“相手らしさ=その人らしさ”を受けいられる環境を少しでも増やせたらいいなと思います。

違いを尊重することやまずは関心を持って知識を得ることが多くの人が生きやすく平等な世界を作る第一歩なのかもしれない。

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