コロナ下でも勢いを増し、周辺では約180店が店を構える下北沢。駅前でのフリーマーケットの開催も多い
欧米だけでなく、アジアでもブームの古着市場。都内では下北沢だけで約180店を数え、これまで誘致されることがなかったSCや百貨店、地方にも広がっている。海外古着を輸入販売するジャム・トレーディング(大阪)の福嶋政憲社長は、「アパレル全体でみればニッチ市場」と言い、成長の余地があると指摘。古着店を約25年経営するデザートスノー(東京)の鈴木道雄代表は、「業界の健全化が不可欠」と話す。
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デザートスノーは、同名の業態を13店運営、そのうち8店はコロナ下の出店という勢い。路面のほか、商業施設にも出した。店を出すごとに売り上げは伸びるという。ジャムも新年度に入った昨年12月からの売上高は前年同期比30%増のペースだ。
以前の古着ブームとの違いは、SNSというツールの存在とファストファッション人気の落ち着きにあるようだ。「前のブームの時は雑誌だが、今はSNSが教科書。各店が熱量を持って発信しており古着店との接点が増えた」と福嶋氏。人と違うものを着たい若者は古着を選び、ファストファッションのボトムにトップは古着というスタイルも定着した。
今回のブームは「17年ごろから」と鈴木氏。このころに「古着フェスティバル」(現在はフルギフェス)を始めて徐々に大人客も増え、19年ごろからは商業施設も関心を持ち始めた。オーバーサイズの着こなしの人気も後押しし、女性客がメンズを着るようになったのも大きい。ワンピースなどドレスはさほど動いておらず、「古着全体がいいわけではない」と話す。
心配なのは、ブームに乗って店舗運営への理解がない卸業者などが以前の汚いイメージの店を出し消費者を遠ざけてしまう点という。今の古着屋は昔と異なり、内装や品揃えなど一般の洋服屋と大差ないところが多いが、プレーヤーが増え乱立すると古着屋に対するイメージが逆戻りしてしまうからだ。
日本の古着屋は欧米に比べても、目利き力や編集力、物性のレベル、ホスピタリティーなどの面で優れているという。海外からも注目され、水際対策の緩和から、訪日外国人客は相当増えている。そのため、「海外進出も可能では」との声もある。
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