自然の中でラグジュアリーな非日常を堪能できるプライベートホテルブランド「norm.(ノーム)」。今回、norm.がNESTBOWLのコラボレーションサービスを活用してコラボレーションパートナー募集を実施したところ、サステナブルな新素材「PlaX(プラックス)」の研究・開発を行っているBioworks(バイオワークス)とのコラボが実現した。両社はお互いにどのようなところに魅力を感じ、コラボに至ったのか。また、両社が考えるコラボへの想いとは。norm.代表初鹿氏とBioworks執行役員滝越氏に話を伺った。
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初鹿 竜也さん/株式会社norm.代表取締役社長(写真右)
大学卒業後、ニューヨークへ留学。現地の食品商社や卸問屋にて経験を積み、帰国後は伊藤忠食糧に就職。伊藤忠商事へ出向し原料の輸入業務に従事。その後、伊勢角屋麦酒へ転職。伊勢角屋麦酒では法人案件や輸出業務を担当しながらプライベートホテルブランド「norm.」を立ち上げ、自ら代表として活動している。
滝越 潤さん/Bioworks株式会社 執行役員(写真左)
1993年丸紅株式会社入社後、2001年丸紅欧州会社ミラノ支店駐在、2011年株式会社ベイクルーズ取締役、2018年慶應義塾大学大学院修士課程(EMBA)修了、2019年株式会社ジュン執行役員を務めた後、2021年Bioworks(バイオワークス)株式会社執行役員就任。
コンセプトの合致と理念に対する共感がコラボの決め手に
― 今回、norm.様のコラボレーションパートナー募集に対してBioworks様はどんなところに興味を持ち始め、ご応募にいたったのでしょうか?
滝越 潤さん(以下、敬称略):私たちはこれまでホテル業界に対して、「PlaX」の持つ機能と相性の良いタオルやルームウェアをご提供をしたいと考えていました。ただしラグジュアリーなホテルはすでにリネン会社とのつながりが深く、さらにセンシティブな素材は工業用の洗濯やプレスとは合わない、という実情がありました。そのためプライベートホテルに焦点をしぼり、特に環境に配慮しながら、一組一組大切なお客様の備品をしっかりと扱っていらっしゃるホテル様とコラボレーションしていきたい、という想いがありました。
そんな中、NESTBOWLでご紹介されていたnorm.様のコラボレーション募集の記事を拝見し“これだ!”と感じて。1日1組の大切なお客様をしっかりおもてなしする点、それから記事に書かれていた、「ホテルを自社のショールームに」という考えに、共感をおぼえました。
― norm.様は今回の募集にあたっていろいろな企業からアプローチがあったと思いますが、なぜBioworks様とコラボしようと決められたのですか?
初鹿 竜也さん(以下、敬称略):本当にありがたいことにNESTBOWLにコラボレーションパートナー募集記事を掲載いただいて、いろいろな業態の企業様からご応募いただきました。ただ、どちらかというと今のトレンドに沿ったご提案が多かった、という印象でした。
しかし私たちはこのホテルを河口湖という自然の中で、“人として生かされている”といったことを感じられる施設にしたい、と考えています。だからこそ実際に触って感じていただく「手触り感」を大事にし、ホテルをショールームとして使ってもらうことを、一番に求めていました。Bioworks様のタオル商品は、ホテルにいらしたお客様すべての方が使われますし、今回のコラボレーションの第一弾としてコンセプトがぴったり合っていたんです。
また、企業理念にも非常に共感しました。Bioworks様は研究開発型の企業であり、この世にないものを生み出そうとされていますが、私たちもプライベートホテルという産業を自分たちで作ったという自負もあり、勝手ながらゼロを1にして大きくしていく点が非常に似ていると感じました。
― 今回のコラボレーションは、まずBioworks様のハンドタオルをnorm.様のホテルで取り入れるところからスタートしています。norm.様は今回のプロジェクトのように「ホテルをショールーム化して、お客様に実際体験していただく」ことをコンセプトとしてお持ちですが、これは会社がスタートした段階からの構想なのでしょうか?
初鹿:弊社は現在、2棟のホテルを運営していますが、1棟目の時はそこまで考えていませんでした。2棟目を作るにあたって1棟目のことを振り返り、私たちは毎月アーティストの作品を入れ替えていることを思い返しました。それでアートだけではなくて、実際にホテル内にある備品が来るたびに変わっていたら、体験の一つとして面白いのではないかな、と考えたのです。
また、私たちがメディア化したいと思っても、自分たちの力だけでは難しいので、いろいろな企業様とコラボレーションをしながら、お互いのプラットフォームで情報発信していく形にしていきたいと考えて、「ショールーム化」という言葉を打ち出しました。
― Bioworks様にとっては、今回のコラボレーションは新しいお客様のタッチポイントになると思われるのですが、改めてそのねらいについて教えていただけますか?
滝越:私たちの商品は食べ物のように試食できたり、洗剤のように小さいパッケージにして「お試しください」といったりするものではなく、時間をかけて体感してその機能性を感じていただくことが、非常に大事なのです。そのためホテルをショールーム化して、実際に使っていただき、購入したいと思われた方に買っていただく、というnorm.様のサービスに非常に興味を持ち、アプローチさせていただきました。
さらに私たちは現在、小売店舗を構えていません、そういった意味でも、ホテルは非常に有効なタッチポイントの場ととらえています。
― 実際に商品を使ってもらうことで、ファンを作っていきたい、ということですね。
滝越:Bioworksのミッションは「あたらしい『豊かさ』の種をまく」です。もちろん豊かさの感じ方は、人によって変わってくると思います。でも私たちは素材の開発をメインに行っているので、お客様が商品を手に取った時、ラグジュアリーな豊かさではなく、快適で使いやすいといった気持ちの豊かさを感じていただけたらと考えて、そのきっかけとなるようなプロダクツや素材を世に浸透させていきたいという思いが強いのです。さらにお客様一人一人を大切に増やしてきたい、と考えています。
― 今回、コラボレーションを行ったタオルに込めたこだわりを教えていただけますか?
滝越:コラボ第一弾商品のタオルハンカチはタオルの名産地である今治の工場と協業して開発し、コットンにBioworksが研究開発する新素材「PlaX」を配合しています。
PlaXに含まれる乳酸のはたらきで消臭機能と抗菌機能が備わっていて、生乾きのニオイの原因であるモラクセラ菌のような雑菌の繊維上の繁殖を防ぐことができます。さらにもう一つ、高い吸水速乾性という特徴があって、汗や手を拭いても、さっと乾きます。
初鹿:いくつかサンプルを送っていただいて、私たちのチームでも使わせていただきましたが、非常に肌触りが良かったです。また科学的な根拠を持って、特殊な技術も使っていらっしゃる点にも非常に興味があるので、今後も何かご一緒にできたらと思っています。
先駆者同士が語る、これからの展望
― norm.様のホテルはリピーターも増えていらっしゃるそうですが、次はどんなチャレンジを考えていらっしゃいますか?
初鹿:地域に根付いた方々とのコミュニティ作りは、引き続き行っていきたいと思っています。さらに今、河口湖でホテルを運営していますが、将来的には違うエリアで展開をしていくことも念頭に置いてスタートしている会社ではあるんです、だから早くそこにいけるように、ファンの方を増やしてコミュニティを拡大させていくことが、非常に重要だと考えています。
またBioworks様とのコラボレーションをはじめとして、プライベートホテルという文脈は絶対に変えずに、いろいろな企業様と組みながら、情報を発信していきたいと思います。
― 実際に、どのようなコラボレーションが考えられますか?
初鹿:一言で旅といっても、内容としては旅前、旅中、旅後に分けられると思います。旅中は宿泊体験を通じて得られるものですが、旅前と旅後には移動もありますし、地域の良さを知っていただくための時間だとも思っていて。この移動がより快適になると、旅全体の価値が上がると考えていて。そこに少し、テコ入れしていきたい、と考えています。
― いっぽうでBioworks様は2023年7月に世界的にも有名なファッション向け素材の大型国際見本市プルミエール・ヴィジョンの出展をひかえていらっしゃいます。今後、海外展開や素材革命を起こす事業のビジョンについて、教えていただけますか?
滝越:プルミエール・ヴィジョンの中にスマートクリエーションというイノベーティヴかつサステナブルな素材を世界中から集める区画があり、約50を超える世界最先端の素材メーカーが世界中から集まります。
日本からは2社出展し、私たちは今回が初出展。日本代表として「PlaX」の機能、研究開発の成果を実際に現物として展示することで、世界中のファッション関係者から評価を得たいと思っています。欧州は非常に環境に対する知識も知見も、意識も高いですから、そういったところでどれだけ通用するのか試してみたいです。この秋以降にまたいろんな素材がこれから出てきますので、楽しみにしていただければ、と思っています。
事業のビジョンについては、一人一人に素材の良さを感じていただいて、リピーターになっていただくというのがまず大前提です。私たちは事業をステークホルダーの皆様に支えていただきながら展開しておりますので、皆さまのご期待に応えられるようにすることが大事だと考えています。
― 今後コラボレーションしていきたい企業は、どのようなところが挙げられますか?
滝越:医療従事者の方や在宅の介護を受けてらっしゃる方、もしくはケアをしている方は、においなどのお悩みがあると思います。そのためファッションはもちろん、ライフスタイル全般に関わるものに関わっていきたいと思います。
少し変わったところでは、例えば枕カバーであったり、ベッドシーツであったり。においが気になる、という商品の提案も行っていきたいと思います。メンズでいうと靴下、レディースは冷え性を防止するようなレギンスであったり、ホテルだとルームウェア、ルームシューズですね。タオル地で作ったルームシューズなど、今後、開発して展開していけたら、と考えています。
地方と首都圏の企業が出会う機会を設けてもらいたい
― 今回、NESTBOWLのコラボサービスをご利用いただきましたが、実際にいかがでしたでしょうか?
初鹿:記事を掲載いただいてから、今のこの場にいたるまで、本当にきめ細やかな対応をしていただきました。非常にサービスクオリティの高いプラットフォームを提供されている、と感じます。
今後、期待することとしては、東京だけでなく地方にも若くして魅力的なベンチャー事業を立ち上げている方がいますので、その人たちと首都圏にある企業がマッチングする機会を設けていただけたら、と思っています。異業種同士が出会うことで、何が起こるか分からない分、ワクワクしますよね。そういった出会いを期待しています。
滝越:初鹿さんがおっしゃるように、まずはきめ細かいバックアップ体制、そしていろいろなイベントでラグジュアリーブランドからスタートアップの企業まで、一堂に会せる場を提供していただいているのは、非常にすばらしいことで。個人でやられている方と世界のトップ企業を引き合わせる機会も提供していただいているので、その部分はすごく面白いと思います。
もう一つは異業種交流ですね。われわれの考えにおよばないような異業種のコラボレーションも非常に勉強になって、「そういうアイデアがあったのか」という発見が多く、今後も興味深く拝見していきたいです。
あとは初鹿さんもおっしゃったように、地方にも多くの企業、ブランド、それから工場がたくさんあります。そういうところとマッチングしていくと、1+1が2になるのではなくて、高い相乗効果が生まれてくると思いますので、そのあたりの化学反応を楽しみにしたいです。
NESTBOWLでは、今回のホテル×新素材ブランドのコラボレーションのように、さまざまな異業種企業やブランドがコラボレーションを実現できるプラットフォームを提供しています。コラボを通じ新しい価値を作り出したい方は、ぜひこちらからご相談ください。
文:キャベトンコ
撮影:加藤千雅
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