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そごう・西武労組のストライキに見る雇用関係の在り方

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セブン&アイホールディングス(HD)傘下のそごう・西武の売却問題を巡り、そごう・西武労働組合は8月31日(木)に西武池袋本店にて、大手百貨店としては実に60年ぶりとなるストライキを実施。

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ストライキ自体が昨今の日本では珍しい現象だったほか、クレディセゾン労働組合や高島屋、三越伊勢丹をはじめとした大手百貨店の労組も賛同を表明。ストライキの実施日には池袋周辺で、そごう・西武の組合員によるデモも行われるなど、異例の事態に発展し注目を集めました。

ストライキによる効果

若い世代にとっては、ストライキだけでなく労働組合の存在などについてもあまり知らされていないケースが多く、SNSではとまどったり、「やったところで何になるのか」という突き放したような意見も。

結果としては当初からの予定であったアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループへの売却の決定が覆ることはありませんでしたが、そごう・西武の抱えている問題が広く知れわたることとなり、さらに9月5日にはフォートレスがそごう・西武の全店舗と販売員を含む従業員の雇用の当面維持をすると発表したことで、確実にストライキによる効果が示されました。

百貨店ならではのデメリットを踏まえても実施に至ったその道のり

そもそも、百貨店は顧客ありき。その顧客や取引先に影響が出ることもあり、百貨店がストライキに踏み込むことはほとんどありませんでした。しかしその大きなデメリットを踏まえた上でなお今決行しなければならないと決断するに至ったという事実そのものが業界全体に衝撃を与えました。

セブン&アイHDが業績不振の続くそごう・西武の売却を決断したのが2022年2月。同年11月には米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに売却する契約を締結しています。そのフォートレスが家電量販大手のヨドバシホールディングスと連携する方針を明らかにしています。

当初は池袋西武の顔ともいえる地上一階を含めた低階層をヨドバシカメラが独占する計画が立ち上がっていました。しかし地元などから「百貨店のイメージが損なわれる」といった批判の声を受け、今年7月には従来のラグジュアリーブランドの一部を残す形で検討し直すと報じられました。

この報道を追うように、池袋西武の1、2階に店舗を構える、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループ傘下のルイ・ヴィトンも、公の場でこの改装案について何の忠告もなかったこと、そして案に対し承認することはできないものとして抗議しています。たしかにラグジュアリーブランドの店舗の目の前に電化製品が並んでいてはブランドイメージや購買意欲にも影響が出かねません。

売却時当初からその後の事業計画などの枠組みなどの詳細について周りに開示されていなかったことが周りの目にも明らかになった形になります。

不信感を募らせたそごう・西武労働者組合幹部はフォートレスへの売却に反発し、「雇用維持と事業継続に懸念がある」という訴えのもとセブン&アイHDと協議を重ねていましたが、折り合いがつかずついにストライキの敢行を決断。

健全な雇用関係を築くためにできること

昨今ではあまり行われることがなかった為に注目を集めましたが、そもそもストライキは労働者に与えられた権利です。雇用側への抗議がある場合には有効な手段であり、周りへの迷惑といった日本独特の同調圧力による遠慮は不均衡な雇用関係の悪化にも繋がります。

ストライキに参加することで会社からの心象が悪くなり、降格や解雇などに繋がるのではという懸念については、そもそも正規の手続きを経て行われたストライキをした従業員に対して解雇するのは違法にあたります。それでもそのような事態が起きた場合は労働委員会に不当労働行為として救済の申し立てをすることができます。

そごう・西武のストライキの大きな狙いは販売員を含めた全ての従業員の雇用の継続とされていました。今回のことで、労働者が声を挙げ、行動を起こす権利というものが存在し、それをしっかりと行使することで、効果を発揮できることが改めて分かりました。

「自身の労働環境を変える必要がある」と感じた際に転職以外にどういった行動がとれるのか、今回の騒動を機に今一度考えてみましょう。自分1人で悩まずに周りに相談することで、もしかしたら組織を変えることに繋がる新しい選択肢を選ぶことができるかもしれません。

文・写真:ミカタ エリ

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