今シーズンはロンドンの大学で学んだ様々な国出身の新人たちの、母国への思いを大切にコンテンポラリーなデザインに落とし込んだコレクションが目を引いた。デビューショーもいつになく多い。
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ハリは風船の人形のように手足を膨らませたラバーウェアが、セレブの直用で話題の新人。2回のプレゼンテーションでの参加に続き、初めてショーを見せた。白と黒のラバーウェアのダンサーたちのパフォーマンスとともに、その延長にある誇張したボディーラインのジャケットやパンツが登場。肩は大きく膨らみ、パンツの裾はフープ状に広がり揺れる。デザイナーのハリクリシュナン・キーザティル・スレンドラン・ピライはインド出身でロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでメンズウェアを専攻し、20年に修士課程を卒業した。ラバーウェアは父親が営むインドのゴム農家で生産されたナチュラル素材を使用している。
ハリ
2シーズン目のショーとなったギリシャ出身のディミトラ・ペツァがデザインするディ・ペツァは、濡れたようにボディーに張り付くウェットルックドレスがシグネチャー。「ヴィーナスの誕生」を表現した裸体の女性が目覚めるパフォーマンスでスタートしたショーは、神話の世界に見る愛をテーマにセンシュアルなドレスが続々と登場した。光沢ドレスに加え、ぼそぼそっとした透けるニットドレス、細いひもで布地をボディーに巻きつけたようなドレス。ゴージャスなゴールドドレスは、リサイクルコットン製。肌があらわに見え隠れするエロチックなデザインでありながらも、女性が女性の体を謳歌(おうか)するポジティブなアプローチでいやらしさはない。ゴールド、コッパー、ベージュのスキントーンに優しいピンクやペパーミントが加わる。
ディ・ペツァ
シネイド・ゴーリーは前回のプレゼンデビューに次ぐ初めてのショーとあって、世界に誇る英国のユースカルチャーを振り返った。パンク、レイブ、ブリットポップ。90年代のクールブリタニアや80年代末のアシッドハウスなど90年代生まれの英国人デザイナーにとっては歴史の1ページとなっているそのシーンのアイコニックなスタイルを、シグネチャーであるセクシーなクラブウェアで再現した。ユニオンジャックのドレスにパンク風のタイポグラフィーで「LONDON SWINGS AGAIN」をプリントしたコルセットトップ。3色のストレッチレースをボーダー状に切り替えたボディーコンシャスなオール・イン・ワンやスカートもある。
シネイド・ゴーリー
(ロンドン=若月美奈通信員)
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