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21年間販売職ひと筋 UAトップ販売員の働き方、子育てとの両立

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3年前から「ユナイテッドアローズ」ECサイトにおいてスタイリング投稿をスタートし、常にトップクラスのPV数、フォロワー数を誇る仲 希望氏。同社が導入した、デジタルを有効的に活用している販売員を評価する人材認定制度「DXセールスマスター」にも認定されている。2023年秋には、令和のカリスマ店員を決める「STAFF OF THE YEAR 2023」で約8万人の頂点となるグランプリを受賞するという快挙も成し遂げた。入社して21年。子育てと両立しながら一貫して販売畑で仕事を続ける仲氏に、仕事への想い、「STAFF OF THE YEAR 2023」グランプリ受賞に向けてのプロセス、子育てとの両立などについて話を伺った。

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仲 希望さん/株式会社ユナイテッドアローズ 新宿店 DXセールスマスター
三重県出身。文化服装学院スタイリスト科卒業後、2003年4月、株式会社ユナイテッドアローズに販売員として入社。関西エリア、首都圏エリアの店舗を経て、現在ユナイテッドアローズ新宿店に所属。27歳で第1児を出産し、現在は3児の母。趣味は美術館巡り、ランニング、美容。

21年間、販売職ひと筋でキャリアを積み重ねる

― 「ユナイテッドアローズ」にご入社された経緯についてお聞かせください。

高校卒業後は、文化服装学院のスタイリスト科に進みました。スタイリスト科を卒業すると、スタイリストか販売員になることが当時の流れだったのですが、スタイリストの方との接点がなく、当時は仕事として想像できなかったんですね。それなら販売員かな、と。三重県の田舎で育った私にとって、洋服の販売員の仕事は華やかで楽しそうなイメージもありました。就職先として「ユナイテッドアローズ」を選んだのはとても単純な理由です。大きい会社の方が、教員という堅めの仕事をしている両親が安心するかなと思ったからです。

― 21年にわたって販売員として活躍されていますが、入社当時はどのような気持ちで仕事をしていたのですか。

アパレル業界って実際働いてみると、「想像していたより地味だった」とか「ギャップを感じた」という声をよく耳にしますが、私の場合、入社前とのギャップはほとんど感じませんでした。華やかで楽しそうな仕事だなと思って選びましたが、それが自分にとっての理想だと強く思っていたわけではなく、ただひたすらに目の前の仕事を一生懸命やっていたという感じでしたね。

― 販売(店舗)業務にはいろいろな仕事がありますが、これまでどのような仕事を経験されてきたのでしょう。

販売接客を中心に商品管理、スタッフへのトレーニング、店舗運営など、店舗での仕事はひと通り経験しました。現在はスタイリングを主に担当しています。数ある仕事の中でも、スタイリングの仕事が私には一番合っているような気がしますね。

21年間、販売の仕事に向き合い続けてきた仲氏。とても真面目で実直な印象を受ける

“何となく発信”ではなく、“戦略的な発信”へ

― スタイリング力や接客力が高く評価され、約1300のアパレルブランドと全国8万人の店舗スタッフがエントリーした「STAFF OF THE YEAR 2023」 では初参加ながら、見事グランプリを受賞されました。意外ですが、前年度は出場を辞退されたとか。

前年度から、上司に「出てみない?」と声をかけてもらっていたのですが、当時は当社としても初めて参加する大会で、大会のことをよく知らなかったんです。人と比べたり、順位を付けることが苦手で、何かに負けるとすごくへこんでしまうところがあるので、わからないまま出るのはすごく不安でした。

ありがたいことに、今年も上司から声をかけてもらいました。さすがに今年は断る理由が見つからないので、出場しよう、と。そして出るからにはグランプリを取らなくては、と思いました。プレッシャーはありましたが、会社のDX活動に携わるヒトの努力が、ユナイテッドアローズが1番だったという結果で報われてほしいという気持ちでした。私が一番になることが全国にいる販売スタッフのモチベーションアップに繋がると思ったんです。出場を決めてからは、1年間しっかり準備して臨みました。

― 具体的にはどのような準備をされたのですか。

スタイリングの写真を撮影してSNSに投稿するという行為自体に変わりはないのですが、どうすれば、エンゲージメントが高まるのか、売上に繋がるのかを強く意識するようにしました。以前からスタイリング投稿することにより売上に繋がってはいましたが、もっと踏み込んで対策を練り、自分でコントロールしながら、フォロワー数やいいね数、売上数値のアップを狙っていったのです。

― 戦略的にSNSで発信されていったのですね。

おっしゃる通りです。キャンペーンやイベントに向けて何が必要か、お客様が求めているのは何なのかを考えましたし、目標となる数字も設定して発信し続けました。そういった戦略が実績に結びつき、グランプリ受賞という結果に繋がったのだと思います。

仲氏のスタイリング投稿はこちら

こまめな投稿を心がけており、常にユーザー目線のコメントを添えている

― SNSでの投稿をスタートしたのは約3年前。どのようなきっかけ、気持ちで始められたのですか。

正直に言うとSNSの投稿に対しては苦手意識がありました。私は接客は好きですが、たくさんの人の前に出たり話したりすることは苦手なんです。それに、SNSでの発信は若いスタッフがやるものというイメージがありましたし、そもそも子どもが生まれてからは、写真といえば子ども。自分の写真を撮る、撮られることなんてほとんどありませんでした。

ところが、コロナ禍になって店舗に来られるお客様が激減したことで、お客様との接点としてのSNSに注力せざるを得なくなりました。そうなると、難しいとか苦手なんて言っていられません。自分がやりたいというよりも、仕事としてやらなくては、という使命感で発信をはじめました。

― 発信を続け、イベントへの出場を決意されてからは戦略を考えて取り組まれた。その結果、グランプリを受賞。そのときのお気持ちを教えてください。

嬉しかったですね。そして何より、観客席で応援しにきてくれた会社の方々の喜んでる姿を見て、正直ホッとするとともに、自分に相当なプレッシャーをかけていたと改めて感じ、一旦「お疲れ様でした」という気持ちになりました。私自身はいろいろ考え、大変さも感じながら発信していましたが、後輩たちにも発信の楽しさややりがいを伝えることで、モチベーションアップにも繋げていきたいと思っています。

「STAFF OF THE YEAR 2023」グランプリ受賞時の仲氏。積み重ねてきた準備の成果がでたと語る

写真提供:「STAFF OF THE YEAR 2023」

― オンラインでのスタイリング投稿と、実店舗での接客の違いについてはどのように感じていますか。

店舗では、お客様と一対一で接客ができます。お客様の反応やご様子を確認しながら商品をおすすめできることが、店舗接客の醍醐味です。一方でオンラインは、自分がおすすめしたいものを発信できることが大きなメリットです。リアルな場でお客様のご様子を確認することはできませんが、反応はオンライン上でもチェックすることができますし、季節を先取りしたものをいち早くご紹介することが可能です。販売するアイテムも、店舗の場合はエリアごとの気温、気候の差などを考慮する必要がありますが、オンラインはエリアに関係なく発信して販売できるので、お客様にとっては選択肢の幅が広がりますよね。

― オンラインでのDXセールスの実績を評価され、「DXセールスマスター」の初代にも認定されていますね。

「DXセールスマスター」は弊社の人材認定制度のひとつで、ECサイトでのスタイリング投稿数、売上、PV数、お気に入り登録数の実績などを総合的に評価するものです。認定されたことで責任につながりましたし、これからも真摯な姿勢で仕事と向き合わなくては、と身が引き締まる思いです。

早起き・周囲の協力・健康管理が仕事と子育ての両立のコツ

― 3人のお子さんの子育てと両立させながら仕事を続けていくコツをぜひ教えていただきたいです。

子どもは現在、中1、小5、小2でまだまだ手がかかります。仕事と家庭を両立するために、子どもが生まれるまでは夜型だった生活を朝型に変えました。朝早く起きることで、子供の身支度準備や仕事の始業を早めることができました。睡眠時間や自分のために使える時間は減りましたが、両立する上では仕方がないことだと思います。そして何より職場スタッフたちの協力があってこそ両立できていますので、周囲には感謝の気持ちでいっぱいです。出産後は、ずっと早番にしてもらっていて、勤務時間は17時までです。定時で帰れるように周囲も気を配ってくれています。17時前に接客が終わらないときは、片付けが残っていても「やっておきますよ」と声をかけてくれたり。本当にありがたいですね。

また、健康管理を徹底させることもすごく大切です。私だけでなく、子どもにもとにかく風邪をひかせない。風邪をひいて一日休むだけでも周囲には大きな迷惑をかけてしまうので、体調にはとても気をつけています。その甲斐あって、私も子どももここ7年ほど、風邪をひいていないんですよ。

― コロナ禍も落ち着いてきて、店舗に来られるお客様も増えてきたと思います。今後、どのような接客を大切にしていきたいとお考えですか。

お客様と直接お話をしたり、色やサイズを合わせながらご提案できることは、やはりうれしいです。どんなシーンで着たい服なのかをヒアリングできれば、お客様により良いご提案ができますし、お客様がその服を着ている姿をイメージすると私もワクワクします。服を選ぶ際はもちろん、お客様がその服を着るのが楽しみになるような接客ができれば素敵だなあ、と思います。

また、販売スタッフとして経験や年齢を重ねていくことは、一人ひとりのお客様に合わせたより良い接客やご提案ができるようになるということ。それは、お客様にとっても会社にとってもプラスになると思います。

販売職やユナイテッドアローズが心から好きであることが仲氏のインタビューから伝わってくる

― 仲さんにとって販売職、そして「ユナイテッドアローズ」とは。

まわりの人からは、「接客業の仕事は天職だね」と言われることが多いですね。私は人と話をすることも洋服も好き。私にとって仕事というよりもライフワークのひとつになっているような気がします。

会社に関しては、人生の半分ほどを「ユナイテッドアローズ」で過ごしていることになります。入社して出会った方々、すべてが私の宝物で、ここは私にとって大切な居場所。会社から求められていることも少しずつわかってきたので、会社が求める“私像”を実践できるように、そして私自身もそうありたいと思えるように、これからも仕事と向き合っていきたいです。

そして、これから結婚・出産するスタッフにとっては、私がロールモデルのひとりになれれば、と思っています。残念ながら、どうしても子育てとの両立が難しくて辞めていくスタッフもいます。接客という仕事が好きで続けたいのに辞めなくてはならないのはとてもつらいこと。だからこそ、誰もがやりがいを持って仕事を続けることができる環境づくりにも尽力していきたいです。

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