■シンガーソングライターでノーベル文学賞受賞者のボブ・ディランは約60年前、名曲「時代は変る(The Times They Are a-Changin')」を発表した。
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「時代は変わる」はロックの殿堂「ロックン・ロールの歴史500曲(500 Songs that Shaped Rock and Roll)」の1曲にも選出されており、アメリカ人なら知らない人はいないほどの傑作だ。
曲名の「時代は変わる」にあるように歌詞は「古い世代(意識)の人々に、時代の変化を警告するもの」となっている。
歌詞は当時の公民権運動(1950年代~60年代に行われたアメリカの黒人による人種差別の撤回を求めた運動)をテーマにしているものの、時代とともにどんどんと変化するという普遍的な内容により現在も様々な場面で使われているのだ。
ボブ・ディランの大ファンであったアップル創業者スティーブ・ジョブス氏は「時代は変わる」の歌詞をスピーチで引用したほどだ。
米国流通も「時代は変わる」ように毎年、ゲームが変化している。今年の年末商戦も「時代は変わる」といえる転換点となる。
スマートフォンからの買い物がEコマース全体で過半数を占めるとの予測だ。大手Eコマース企業をモニターしている調査会社アドビ・アナリティクスが発表した。
アドビによるとスマートフォンからのモバイルショッピングが初めてデスクトップ(コンピューター)を上回るという。
年末商戦ではオンラインでの支出の半分以上となる51.2%がモバイルデバイスで行われると予測。小さな画面でもショッピング体験が改善されたことを反映した画期的な出来事としている。
モバイルを介した年末商戦中の支出額は過去最高となる1,130億ドルに達し、前年比では13.7%増加する見込みだ。
特に消費者が友人や家族と一緒に過ごす感謝祭日やクリスマスに使用がピークになると見ている。つまりスマートフォンやタブレットを介した買い物で「ながらショッピング」になる。
いつでも、どこでも買い物ができるモバイルショッピングでは行列の待ち時間中や通勤・通学途中、さらに自宅でのまったりとした時間に買い物ができる。
ピューリサーチセンターが2021年4月に発表したデータではアメリカ国民の85%がスマートフォンを所有しており、半数近くがタブレットをもっている。
今年10月にはコンシューマーレポート誌がスマートフォンを1台以上所有する人は92%に上っていると報じたのだ。
特にスマートフォンネイティブとなるZ世代やミレニアム世代が消費の中核に台頭するようになり、モバイルショッピングの市場が巨大化している。
若いZ世代はSNS等でスマホを使い倒しているものの、そもそもデスクトップ・コンピューターやノートブック・コンピューターを持っていない。
その一方でネット通販企業や大手チェーンストアは過去10年以上にわたって買い物に便利なアプリを更新し続けている。
インスタグラムやティックトックもユーザーが直接、商品購入ができる「今買う(Buy Now)」ボタンを導入している。
チェーンストア最大手のウォルマートではアプリからのネットスーパー注文もシームレスかつフリクションレスに向上させている。
これまで顧客ターゲットにしていなかった富裕層もウォルマートのネットスーパーで買い物しているほどだ。
AIからARまで様々な機能が便利な買い物に昇華するように付加されており、スマートフォンからの買い物の進化が止まらない。
無論、スマートフォンからの買い物がリアル店舗(売り場)での買い物やノートブックからの買い物に置き換わることはない。
時代の変化とともに消費者(意識)も変化しスマートフォンからの買い物が一つの選択肢として定着しているということだ。
多店舗展開で成長するとしたチェーンストア理論にしがみつく人は「時代は変わる」の最後の歌詞「決まりはすぐに崩壊する(The order is rapidly fading)」「そして先頭にいる人は後で最後になる(And first one now will later be last)」「時代は変わっているのだから(The Times They Are a-Changin')」を噛みしめる必要があるのだ。
トップ画像:当社のワークショップ研修で後藤のアイパッド・エアを使用してネットスーパーを体験する参加者。米国の流通研修はモバイルアプリの活用が必須になっているのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社のワークショップ研修で先日、参加者から「ご相談したいことがあります」と神妙な面持ちで話しかけられました。何事かと思ったら夕食後に参加者数名でウーバーを使いディズニーランドまで行き、モバイルチェックアウトでお土産などの買い物したいとのことでした。何も問題はないので無論、了承。ボブ・ディランの名曲ではありませんが米国流通視察も「時代は変わる」ものです。配車アプリを使えば英語を話す必要なく、地上で最も楽しい場所に行けます。ウーバー・アプリはドライバーとお客がお互いに評価するので、どちらも無礼な事をできません。安全に目的地まで行き事前にダウンロードしたディズニーランド・アプリを使って行列に並ばずシームレスに買い物ができたとのことでした。ホテルに戻ってくる際もウーバー・アプリでストレスフリーです。当社のセミナーでは参加者にストアアプリを体験してもらっています。便利さに簡単さで全員が感動します。で、研修の合間、参加者は自分たちの買い物もアプリ、となるのですね。
スマートフォンを使いこなす世代なので、米国でもストアアプリにすぐに適応するのです。むしろ今後の流通研修ではスマートフォンがツールとしてさらに重要になってきます。
ボブ・ディランの名曲「時代は変る(The Times They Are a-Changin')」。「時代は変わる」の最後の歌詞(2:50~)「決まりはすぐに崩壊する(The order is rapidly fading)」「そして先頭にいる者はのちに最後になる(And first one now will later be last)」「時代は変わっているのだから(For the times they are a-changin')」は何度聞いてもしびれる。
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