昨今は転職市場が活発化していることもあり、「転職回数が多いほど転職市場では不利」という考えは前時代的なものになってきている。しかし、むやみに転職回数を重ねて職務経歴を増やすことが、自身のスキルアップに繋がるわけではない。また、転職したからといって今よりも待遇や職場環境が必ずよくなるという保証もないだろう。そこで今回は、有名ラグジュアリーブランドの販売に従事する方へ転職活動に関するアンケート調査を実施。転職のきっかけや転職活動ですべきこと、活動後の本音などをまとめた。転職活動を検討している販売員の方には、ぜひ活用していただきたい。
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他業界と比べて転職回数は多い傾向に。しかし転職後の後悔はほぼ半数
今回は、30~40代の現役ラグジュアリー販売員にアンケートを実施。「転職回数」「転職の理由」「転職で後悔したこと」「転職の際にやるべきこと」などの6項目について回答をいただいた。(アンケート回答数:64名)
Q1.これまでの転職回数は?
0回: 23%
1回: 12%
2回: 12%
3回: 6%
4回: 12%
5回: 35%
転職を経験した販売員が全体の77%を占めていて、転職未経験者は少数派です。厚生労働省が行った調査では、30代の平均転職回数は2~3回、40代は3~4回という結果が出ています(※参考:厚生労働省 令和3年上半期雇用動向調査結果の概況)。このことから、ラグジュアリー業界の人材は他業界の同年代と比べると転職に積極的であることがわかります。
Q2.転職の最大の要因
収入・福利厚生:35.7%
仕事のやりがい:32.7%
スキルのアップ:16.3%
ブランドステータス:9.2%
人間関係:6.1%
次は、転職をするに至った主な理由について見ていきましょう。回答で最も多かったのが「収入・福利厚生」。特に転職を5回以上経験している人は全員「収入アップ」を理由として挙げているという結果も出ていて、転職を考えるきっかけとして「収入・福利厚生」は最重要項目ということがうかがえます。
同じく多かった回答が、「仕事のやりがい」。転職サービス会社が調査した転職理由のランキングでは「やりがい」で転職を考える人が少ない結果となっていたため(参照:doda/「転職理由ランキング2022」)、ラグジュアリー販売職では仕事のやりがいも求める傾向にあることがわかります。逆に、一般的に転職のきっかけとして上位に挙がることの多い「人間関係」は低い結果となりました。
Q3.転職をしてみて後悔はあるか?
ある:61%ない:39%
実際に転職をした販売員に後悔の有無を聞いてみると、61%が「ある」と回答し、何かしらの後悔があることがわかる結果となりました。なお、転職回数が多くても少なくても何かしらの後悔はあるようで、このことからも転職すれば何もかもが改善することはないことがわかります。
Q4.どのような後悔をした?(※複数回答可)
では実際にどういう後悔をしたのか聞いてみると…。
「事前に聞いていた社風/企業文化ではなかった」、「業務内容が求人内容と異なっていた」、「年収やインセンティブなど待遇面が異なっていた」など、入社前に提示されていた待遇や業務内容とは乖離していたという声が大多数でした。また、転職理由として下位だった「人間関係」が、後悔の部分では多く挙がっていたのは興味深い点です。実際に入社してみないと企業の内部事情はなかなかわかりづらいことも転職の難しい部分のようです。
Q5.転職する際にやっておけばよかったこと
現場社員と会う:33%
企業研究:25.8%
他社求人比較:17.5%
面接準備:14.4%
書類添削:6.2%
店舗見学:3.1%
結果は、「現場社員と会う」「企業研究」が高い傾向になりました。前項の「後悔したこと」でもわかるように、実際に企業に入ってみないとわからないことは多くあるものの、企業情報の下調べや、現役で働いている人に会って内部の情報をある程度知っておくことが大切だと感じているようです。
また、「現場社員と会う」「企業研究」の回答が多いことからも、入社を考えている企業の情報は必ず調べておいた方がよさそうです。一方、「店舗見学」は低い結果となりましたが、実際に働いている人の接客姿勢や表情を間近で見られるメリットは大きいといえます。特に販売員を希望して転職活動をする方は、自分の将来の職場見学にもなるため、ぜひ見学しておきましょう。
Q6.現在、転職を考えているか?
検討している・将来的には:47%検討していない:53%
転職の検討の有無に関しては、ほぼ半々という結果になりました。回答者それぞれの転職回数や後悔の有無などに関わらず、転職を検討している人、検討していない人がいました。転職は個々のライフプランやキャリアプランによっても大きく左右されるといえます。
まとめ
今回は、現役のラグジュアリー販売員へのアンケートから転職のリアルに関して迫ってみました。ラグジュアリー業界では他業界に比べて人材の動きが活発な傾向にあり、その理由のほとんどが「収入アップ」を実現させるためのものでした。
しかし、実際に入社してみると社風や企業文化、入社前に提示されていた業務内容や年収・インセンティブが異なることがあり、企業側と人材側にギャップが見られることが多いようです。
そこで重要となってくるのは企業の情報を集めたり、実際に働いている人に会いに行く「企業研究」です。特に現役でその企業で働いている人に話を聞くことはとても貴重な機会であり、インターネットで調べた情報よりもリアルに近い情報となるでしょう。店舗販売職を希望する方々には店舗見学も有効です。実際に働いている販売員の姿や表情を見ることで、自分が働く姿も想像できるはずです。そして何よりも重要なのが、「他社との求人比較」。さまざまな求人情報に触れることで、企業の待遇面や自分が転職に何を求めているのかが見えてくるでしょう。ぜひ今後の転職活動の参考にしてみてください。
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