ここ数年、ブランドやメーカーがTikTokをビジネス活用するケースが増えている。消費者のブランド認知や購買促進に大きな影響を与えるプラットフォームとして注目されているのだ。2021年には世界の月間アクティブユーザー数が10億人を突破(※)、日本では“TikTok売れ”という言葉が生まれ、現在ユーザーはZ世代のみならず、30~40代以上にも広がっている。そんな今、特にラグジュアリーブランドはTikTokの活用で先行者利益を得やすい状況にあるという。TikTokの最近の動向からビジネス活用のメリット、具体的な活用事例までお話を伺った。
※出典:TikTok公式Newsroom/10億人の皆様に、ありがとうございます!
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宮 達也さん/ TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Partner Marketing Manager(写真:左)
大手ファッションECプラットフォームや広告代理店、ラグジュアリーファッションメディアでデジタルメディアを中心とした広告商品の企画から開発、プロデュースを担当。様々な広告ソリューションの新規事業を立ち上げる。2023年にTikTok for Businessへ参画。ビジネスマーケティング部門にてTikTok活用の促進に従事。
高木 千尋さん/ TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, Strategic Account, Beauty and Luxury Client Partner(写真:右)
大手広告代理店、データ事業会社、VOD事業会社においてデジタル広告やマーケティングに従事後、スタートアップ立ち上げなどを経て、TikTok for Business に参画。Client Partnerとしてビューティー、ラグジュアリー領域におけるTikTok活用を推進。
動画コンテンツの新たな時代をけん引
― ここ数年、日本でもTikTokの利用者数が伸び続けているかと思います。現在のユーザー層や主な使われ方について教えて頂けますか。
宮 達也さん(以下、宮):日本ではこの5〜6年で大きく成長しました。博報堂DYホールディングス、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズの共同研究プロジェクトであるコンテンツビジネスラボによって発表された「コンテンツファン消費行動調査」によると、現在はユーザーの平均年齢は約36歳、投稿内容も多様なコンテンツが増え続け、How toやVlogなどバリエーションがかなり広がっています。
― 今やコンテンツは、動画ファーストの時代。TikTokはその先駆け的な存在ですね。
宮:そうですね。今は動画ファーストの時代であり、コンテンツファーストの時代です。つまり、ソーシャルに人が集まるのではなく、コンテンツに人が集まる。フォロワー数の多さで必ずしも注目されるのではなく、一つひとつの投稿に対して「いいね」やコメントがつく傾向にあります。そんな時代をTikTokは創っているのではないかと言えると思います。
― 時代をリードされてきたような印象もあります。他のデジタルプラットフォームとの大きな違いは?
宮:TikTokはソーシャルメディアのひとつとして捉えられがちですが、実はそうではなく、「エンターテインメント動画プラットフォーム(ショートムービープラットフォーム)」なんです。自分がフォローしている人の投稿が流れる「フォローフィード」はあるものの、ユーザーの多くは自分好みのコンテンツが流れてくる「おすすめフィード」を見ています。言い換えるとそこはコンテンツ自らがユーザーに会いに来る、そしてユーザーが新しい「好き」を見つけにくる場所となっています。このようなユーザーの利用目的や楽しみ方は、TikTokならではの特徴でしょうね。
― なるほど。TikTokでは「おすすめフィード」が人気なのですね。
高木 千尋さん(以下、高木):TikTok独自のレコメンドシステムにより、ユーザーごとにおすすめの内容がカスタマイズされます。そのため、おすすめの精度が非常に高く、そのユーザーの興味・関心の高いものが次から次へとフィード上に流れるという仕組みです。だから、ユーザーは見飽きることなくずっと楽しめるのです。ユーザーのTikTokの平均使用時間は、data.aiによると2023年9月時点では、1日あたり90分(※)。他のプラットフォームに比べて1番長いというデータ結果も出ました。※出典:data.ai/Android/OS 両OS
― 1日に90分!それ以外に、TikTokが支持されている理由はありますか?
高木:いわゆる“SNS疲れ”が起こりにくいこともあると思います。TikTokには、単純に面白い、楽しいコンテンツを投稿するポジティブなカルチャーがあり、弊社が行った調査でも、「楽しい気分になれる、ポジティブになれる」という結果が出ています。知り合いベースで広がっていくプラットフォームと違って、より自分の素を見せやすい&オープンになれるという側面も支持される理由のひとつでしょう。
TikTokが広告やマーケティングに大きな効果をもたらす理由
― 最近は、TikTokをビジネス活用する企業が多いと聞きました。
高木:日本ではこの2~3年でぐっと増えました。ファッション、ビューティー、フード&ドリンク、生活用品といったあらゆるジャンルにおいてさまざまなブランド、メーカー様の広告・マーケティング施策としてご活用いただいております。
― 広告・マーケティング施策に効果的な理由とは?
高木:いくつかあります。ひとつは、先ほど申したようなTikTokならではのポジティブなカルチャー、ユーザーのオープンな視聴態度があること。これらは広告に対する受容性の高さにも繋がっており、ユーザーとブランド・商品との距離を縮めるのにとても効果的です。
宮:TikTokの広告が相対的に好意的に受け止められていることや、コンテンツを楽しむことがショッピング体験に大きく影響するといったこともわかっています。TikTok上では購買行動を促進させやすいといえるでしょう。
― 興味深いです。ほかには、どんな理由がありますか?
高木:拡散力の高さです。TikTokでは、コンテンツがおすすめフィードでどんどん拡散されるので、ユーザーがフォローしているか否かに関わらず情報を届けられます。受容性の高い場所で拡散されていくため、ブランドやメーカー側には、自社商品やサービスをヒットさせる、もしくはトレンドとして認識してもらえるチャンスが大いにあります。
また、このあと成功事例と共にご紹介しますが、認知獲得から購買意欲の醸成までを行うフルファネルマーケティングを展開できることもメリットです。
宮:あとは、TikTokの機能がどんどんアップデートし、進化していることも関係しています。フォトモード、テキスト読み上げ機能、Effect Houseなど。それが投稿の幅の広がり、ユーザー数の増加、ユーザーの年齢層の拡大、1日あたりの利用時間の長さなどとすべてうまく結びついていき、ブランドやメーカーにとっては施策効果を生みだしやすい状況ができています。
ラグジュアリーブランドにとっては今が好機
― TikTok活用の成功事例について教えていただけますか。
高木:大手消費財メーカーが行った、フルファネルマーケティングの成功事例などがあげられます。主に、商品のCM素材を活用した投稿、人気TikTokクリエイターを起用した動画コンテンツの配信、キャンペーン施策などを継続的に実施いたしました。
初年度の段階でその商品はヒットし、その後も3年ほどTikTok活用を継続していった結果、さらなる大ヒットに結びつき、カテゴリーシェアNo.1を獲得されました。クライアントが行った調査でも、商品のヒットにはTikTokが大きく起因していることがわかったそうです。
― すごいですね。ここ1~2年の動きとしては、ラグジュアリーブランドの活用事例も増えているそうですが。
高木:はい。例えば、TopView広告(※1)や、インタラクティブアドオン(※2)のご活用、人気クリエイターを起用したコンテンツなどの事例があります。グローバルブランドの場合、(日本以外の)グローバルでTikTokの活用が成功し、日本でも施策を展開、という動きも後押しになっているようですね。
※1…TopView広告:TikTokを起動した直後に表示され、ユーザーが最初に目にする動画広告
※2…インタラクティブアドオン機能:様々なインタラクションで、ブランドエンゲージメントを高める拡張機能
― 海外では、ラグジュアリーブランドのTikTok活用が盛んなのですね。
宮:海外でも日本同様にユーザー数は伸びていて、アクティブです。ブランドのTikTok活用は、もはや主流になっています。そういった流れを受けて、日本でも展開したいというお声が増えてきたのでしょう。
― ラグジュアリーブランドに向けては、どのような施策をご提案されているのでしょう?
高木:TikTokへの参入、施策としては、例えば下記の3ステップがあります。
STEP1(TO)…ブランドが持っている素材(キービジュアル素材)を流す
STEP2(THROUGH)…クリエイターを起用し、商品の魅力を伝える
STEP3(@YOU)…TikTokで使えるエフェクトを共同開発する、ユーザー参加型キャンペーンを実施するなど
TikTokというと、「何か動画を作らなくては」とお考えになるかもしれませんが、まずはお持ちの素材を単純に流すところから始められます。その後の動きは、各ブランドのフレキシビリティやかけられる工数などによって変わってきますね。
TikTok for Businessが最近ローンチした「TikTok Creative Exchange」は、業界パートナーとのマッチングからクリエイティブ制作、広告運用まで、すべてサポートしています。現在、クリエイティブ制作は期間限定で無料提供中です。
現状、「日本でのやり方がわからない」「どういう参入の仕方がいいのかわからない」といったお声もありますが、ここ数年は、TikTokの成功実績・事例が増えてきていることもあり、さまざまな視点からご提案することが可能です。
― STEP1〜3のどの段階を実施しているブランドが多いのでしょうか。
高木:ラグジュアリーブランドの場合、STEP1を実施されているケースが多く、STEP2~3はまだ少数です。裏を返せば、狙い目、チャンスでもあります。つまり、他とは違う新しい施策を行うことで大きなインパクトを与えられる=ファーストペンギンになれる、という状況です。
宮:最近は、ブランドの世界観を維持しつつ、TikTokにも馴染む(見られやすい)コンテンツづくりを行った事例もあります。クリエイティブ面においても、さまざまなご提案やサポートが出来ると思います。
― 今が参入のチャンスですね。最後に、お2人からメッセージをお願いします。
宮:TikTokは、認知・興味関心・検討というアクションに繋がる行動を一気に促せるプラットフォームです。今後もさらに新機能が追加されていく予定なので、できることが増えていくでしょう。ユーザー数も右肩上がりで伸びているので、ぜひご活用いただきたいと思います。実際にTikTok活用のファーストステップとしても動画制作における支援サービスや企業向けワークショップも開催しているのでお気軽にご相談ください。
高木:きっとどのブランドも、ロイヤルユーザーやリピーターを増やしていくことが求められていると思います。TikTokを新しいファンづくりの手段のひとつとしてご注目していただければと思います。豊富なノウハウと充実したサポート体制でしっかりと支えさせていただきます。
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