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外資系ラグジュアリーブランドの元CEOに聞く、GMに必要なキャリアパスとスキル

外資系ラグジュアリーブランドの元CEOに聞く、GMに必要なキャリアパスとスキル

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外資系企業におけるGM(ジェネラルマネージャー)は、日本法人を統括するとても重要な役割を担うポジションだ。ラグジュアリーブランドで働く方の中には、今後キャリアを積んでGMに就くことを目指している方もいるだろう。そこで今回は、数々の外資系ラグジュアリーブランドのCEOを務め、現在はアドバイザリー会社を経営するニコラ・ヴィレジェさんに取材。エーバルーンコンサルティングの人材コンサルタント・北川加奈さんが外資系ラグジュアリーブランドのGMになるために必要なキャリアパスやスキルについてお話を伺った。

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ニコラ・ヴィレジェ(Nicolas Villeger)さん/トレードエントリー合同会社 マネージングディレクター
1996年に来日。ルイ・ヴィトンやテスラ、コーチ、エスティローダーといった数々のラグジュアリーブランドのCEOを努め、日本とアジアで25年以上もの間ブランド事業の経営に携わる。 2017年11月、日本市場における事業投資や成長を目指す外国企業、または国内市場以外でリテール事業の成長・展開拡大を目指す日本企業を支援するために、ラグジュアリー・リテール事業戦略、流通戦略、経営管理に関する助言を専門としたアドバイザリー会社、トレードエントリーを設立。 
公式HP:https://ja.tradentry.com/

北川 加奈さん/エーバルーンコンサルティング株式会社 ヴァイスプレジデント・人材コンサルタント
静岡県出身。英国への留学を経て、英語教師としてキャリアをスタート。その後、人材業界に転身し、外資系人材コンサルティング会社にてキャリアを積んできた。2021年、エーバルーンコンサルティングの上級職に就任。ラグジュアリー、ファッション、ライフスタイル、コスメティック業界に専門性を持ち、外資系クライアントのエグゼクティブサーチを中心に強みを発揮している。また「歩く人材データベース」とも呼ばれ、業界でも屈指のネットワークを誇り、キャリアを通じての人材紹介数は3,000件を超える。平日にはハイブランドのファッションを愛するかたわら、週末にはアウトドアを愛し都市と自然の調和の取れた生活を、愛犬とともに送っている。

現場をよく知り、「なぜ?」を追求できる人が向いている

北川加奈さん(以下、敬称略):ニコラさんは、これまで外資系ラグジュアリーブランドで、マーケティングポジションからGMへとキャリアを築かれてきました。GMは営業やファイナンス、マーチャンダイジングといったバックグラウンドの方が比較的多い傾向にありますが、GMを目指すにはどのようなキャリアパスを築いていくことが理想でしょうか。

ニコラ・ヴィレジェさん(以下、敬称略):ファッションブランドのGMであれば、現場を知らないと難しいと思います。店舗運営や、販売員の日々の業務や想いなどを汲み取ることが重要なので、販売職や営業からキャリアをはじめることは、とても良い選択だと思います。細かいところを理解していないと、会社における大きな戦略をつくることができませんから。

私は1999年から2003年の間、BPI Japan社(当時の資生堂のグループ企業)に勤めていました。当時は本社に10名、現場に50名ほどの従業員がいて、売上高が4億円程度の小さい規模の会社でしたが、やることは大きな会社と変わりません。売上をつくるためには販売員のモチベーションや店舗におけるプロモーション活動など、現場で起きることが基本となるので、私はかなりの頻度で店舗に足を運びました。そこで現場のスキルを積み上げ、結果としてそれがGMとしての経験値を高めることになりました。

北川:事業を統括するGMとして、現場で起きていることを見ることが重要なのですね。

ニコラ:そうです。店舗で何が起きているのか、なぜ売上が伸びないのかを把握することが重要です。些細な調整をすることで状況は変わるからです。そういう意味で、“何にでも好奇心がある人”は、GMに向いているでしょう。さまざまなことに興味を持ち、常に「なぜ?」を追求できる人こそが適任です。「仕方ない」とあきらめたり、「こういう決まりだから変えられない」と考えてしまう人は、向かないでしょう。

PLへの理解と想いの伝達が重要

北川:ほかに、GMに必要とされるスキルにはどんなものがあると思いますか。

ニコラ:PL(損益計算書)の構造を理解することが重要です。PLは、いわば会社の健康診断。PLの数字をひと目見て、その裏にある要因や意味、現場の状況を読み解くことができる人こそがGMに適任です。単に数字を追うのではなく、数字から会社の実態を捉えられる力が求められます。

北川:ニコラさんは英語、フランス語、日本語を話されますが、言語力もGMにとって重要なスキルだと感じます。外資系ラグジュアリーブランドのGMは英語が必要とされることが多いですが、日本では英語が苦手だという人も多いです。

ニコラ:私が約30年日本で働いて感じるのは、日本では英語が話せればチャンスが広がる可能性が大きいということです。英語が話せるということ自体、非常に高く評価されます。

なぜ英語がGMにとって重要なスキルなのかというと、“エモーショナル・コネクション(感情的なつながりの関係構築)”が可能になるからです。本当の想いや気持ちが伝わるかどうかは、英語力の有無で大きく変わります。

北川:確かに、感情まで伝えるにはやはり英語を話せないと難しいですね。

ニコラ:「英語は話せないけど、努力します」という気持ちが、日本人の方々からとてもよく伝わってきます。しかし、私が日本語を話せるようになったのは、努力したからです。言葉を身につける努力には、「日本のために頑張りたい」「この会社のために尽くしたい」という気持ちが原動力になりました。

また、GMとしてヘッドクオーターとやりとりをする際、通訳を介すと本当の想いが伝わらず、溝ができてしまうことがあります。言語の壁は大きなハンディキャップとなるので、ぜひ努力を重ねてほしいですね。そして、英語だけでなく、日本語の言葉のスキルも重要であることは忘れてはなりません。私のような外国人にとっても、日本語力は欠かせません。

GMには思いやりと現場への愛が必要

北川:そのほかに備えておきたいスキルセットはありますか。

ニコラ:GMは、日々さまざまな問題に直面する仕事です。それを乗り越えられるかどうかは想像力と、「やろう」と決める決断力が必要です。そして、何より思いやりが重要です。エンパシー(共感)だと少し強制的な印象があるので少し違うと思っていて、カインドネスこそが最も大切だと考えます。自分の周りの人々が抱える問題に気づき、思いやりを持つことが大切です。

北川:ニコラさんが経験された、思いやりのエピソードはありますか。

ニコラ:エスティローダー時代、さまざまな現場をまわるなかで、今まで歴代の社長が誰も訪れたことのないような、地方の小さい店舗を訪れました。そこで店長に何か困っていることはないか聞くと、店長は「うちのお店のレジの引き出しが壊れているんです」と言いました。一緒に訪問していたエリアマネージャーは「そんなことは社長に言うことじゃないよ」と言ったのですが、それは違います。

レジをすぐに直すことにしましたが、実際にレジが修理されてから売上がどんどん上がっていきました。少しの改善で売り場が変わることを示しています。理由は何であれ、社長が来て話を聞いてくれて、小さなことでも何か手助けしてくれたことが、「私たちも頑張ろう」と思うきっかけになったのです。この話からもわかるように、思いやりと現場への愛はとても大切です。

北川:ニコラさんは30年にわたりGMとしていろいろなチャレンジをされてきましたよね。今では当たり前のこともかなり発信されてきたのではないでしょうか。

ニコラ:カスタマーサービスを向上するためには、現場の販売員がラグジュアリーな体験をすることも大事だと考えました。そのため、インセンティブでラグジュアリーな体験ができるプログラムをつくったり、パークハイアットの宿泊体験の機会を用意したりしました。さらに、日本の素晴らしいサービスを学ぶために全日空のトレーニングを企画し、セミナーを開催するという取り組みも行いました。こうした取り組みは社長が率先して行う必要があると考えています。「せっかくなら面白いことやろうよ!」という気持ちで、挑戦してきました。

北川:ヘッドクオーターとのコミュニケーションでいうと、本国の社長が変わるとジャパンの社長も変わるケースがあります。そういった中での本国との効果的なコミュニケーションの取り方はありますか。

ニコラ:まず、本国の社長とだけでなく周りのチームと円滑なコミュニケーションをとれるようにしておくことも重要です。本国とのやりとりだけで何でも解決できるわけではないので、彼らの同志になることが効果的です。「この人に言えばうまくいく」、そんな人とのコミュニケーションをしっかりとっておくことも大事です。そして、本国とのやりとりで効果的なのは、やはり実績です。彼らは日本のマーケットがどれだけ大変かを知っているので、常に信頼できる優秀なGMを探しています。

需要が増えるアドバイザリービジネス

北川:30年の間に、GMの役割や責任は変わってきていますか。

ニコラ:本国が決めることがかなり増えてきています。マーケティング、キャンペーン、メディアプラン、商品開発、プライシングまで、グローバルでの統一が進んでいます。昔は日本で新店舗をつくりたいときに日本の市場のことが分からないから日本に任せる、といったこともありましたが、今ではそれはほとんどないでしょう。企業の規模にもよりますが、GMがひとりで決められることは少なくなってきています。だからこそ、コミュニケーションのスキル、言語スキルが必要になっています。

北川:現在、ニコラさんは会社を立ち上げ、日本に新規参入するブランドのサポートをされています。どのようなことをされているのか教えてください。

ニコラ:日本は非常にポテンシャルがある市場でありながら、参入するのがとても難しい市場。そこで、ストラテジックプランニングや店舗開発、ディストリビューションの戦略、GMの採用などをサポートしています。私たちは、立ち上げにおけるプランニングを行い、実際に店舗ができてからのオペレーションの部分からGMにバトンタッチします。

主な取引先はジュエリーやウェルネス系の企業で、近年ではホスピタリティビジネスも増えてきました。新規事業以外に、既に日本でビジネスを展開しているけどうまくいっていない企業へのサポートも行っています。これまでの経験から言えるのは、人との出会いとつながりが非常に重要だということ。日本は特別なマーケットです。だからこそ人のつながりを提供することが、私たちアドバイザリーの役割として大きな意義を持つと感じています。

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