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yutori 片石社長が語る 若者向けブランドの成長戦略

yutori 片石社長が語る 若者向けブランドの成長戦略

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通販新聞

 前号に引き続き、yutori(ユトリ)の片石貴展社長(写真)に若者向けブランドの成長戦略などを聞いた。

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 ――ブランドをM&Aするときの選定基準などは。

 「今のフェーズでは、同じ価値観や志があるか、分かり合えることが大きいかを重視している。まったく異なるものを改造して新しい形に仕立てるというよりは、追い風を吹かせてより成長を加速させてあげるという支援の仕方で成功してきた」

 ――ブランドを次の成長フェーズに引き上げるとか、撤退するといった判断はYリーグ制度で判断している。

 「そうですね。『Yリーグ』という独自の仕組みの中で意思決定が割と自動的に行われるようにしている。撤退の基準が一番重くて、ブランド立ち上げから一定の期間で一定規模に成長しなかったブランドは撤退するという掟がある。その基準はあやふやにしてはダメで、誰かが悪者にならなければいけない瞬間がきてしまうと自分たちのスタンスと矛盾するので、そこは気を付けている」

 ――3月1日に開催された「第40回マイナビ東京ガールズコレクション2025SPRING/SUMMER」に参加した。

 「ティーン向けのファッションイベントとして新しい文脈を作ってきたW TOKYOの村上社長から熱意のある声がけを頂いた。僕は物事を決めるのに、そういうこともすごく大事にしている。利害関係がある中で最終的な判断にはバイブスが大事だったりする。TGCではyutoriステージを作ってくれて、とくに『9090 girl(ナインティナインティガール)』はクリエイティブも良く、TGCの来場者層ともハマってすごく反響があったし、やって良かった」

 ――TGCでの一番の成果は。

 「自分たちがこれまで投資をしてこなかったところでも、新しい大きな広がりを作ることができた。社内的には、ランウェイはデザイナーやディレクターなら誰しもが夢見る舞台なので、ああいう社会性のあるイベントでチャンスをもらえて、競争に勝ち抜いたブランドだけが出られるとなれば、みんなのモチベーションにもつながるので、組織のモメンタムという意味でもやってよかった」

 ――オフラインの活用は増えそうか。

 「たぶんそうなる。各ブランドのプロデューサーが判断してフェスを主催したり、フェスに出たりとかもあると思う。オフライン回帰の流れがピークなので、当社はこの2年間に実店舗を40店舗出店しているのもそうだし、オフラインはすごく大事だと思っている」

 ――SNSの役割は。

 「SNSは簡易的な情報なので、ブランドのどの部分に光を当てれば魅力的に見えるかを考えながら発信している。ユーザーがブランドの魅力を『理解できちゃった』と思った瞬間にその魅力は失われるものだと思うので、ブランドの奥行きとか思想など瞬間的に伝わりづらいものをオフラインで作ることが大事だと思う」

 ――SNS運用でも注目されている。

 「SNSを運用してバズるコンテンツを作ることができたら次は商品を作り、その次にブランドを作るという段階があるので、若い子はとくに本社のSNS運用からスタートしてステップアップできるかどうかという感じ」

 「各ブランドが運営しているインスタグラムのフォロワー数は今年1月時点で約275万だった。heart relationなどのM&Aもあって、この1年間で100万以上増えた。勝手に拡散されるような見た目がキャッチーな商品を作ったり、そのアイテムをどのようにコーディネートし、投稿した子が魅力的に映って『いいね』が付くかというところまでをセットにしてインスタのコンテンツは作っている」

 ――ECでもオフラインでも購入しやすい売り場作りが大事になる。

 「販売チャネルとしてはどちらも大事。服はスマホの画面よりも、店頭で手に取ってもらった方が圧倒的に情報量が多い。多い情報量の中での表現方法と、少ない情報量の中での表現の仕方は真逆なので、違う筋肉を付けないといけない」

 ――これまでのアパレル店舗との違いは。

 「実店舗はファイナンスとクリエイティブの両軸をしっかりやらなくてはいけない。この両軸に強い会社はあまりないと思う。レバレッジを効かせてグループを大きくしていきながらも、若者がクリエイティブに服を作ったり、店を作ったりしている。海外だとLVMHなどが近いと思うが、日本では参考になる会社は少ない」

 ――10倍成長に向けた次のターゲットは。

 「コスメは昨年立ち上げて軌道に乗ったので、コスメや他業態もそうだし、あとは、3月に台北市に新規開業した複合施設に『9090』の常設店舗をオープンしてかなりうまくいっているので、アジア戦略がカギになりそう。自社のブランドをアジアで販売するのもそうだし、2月からは韓国で人気のブランド『マリテフランソワジルボー』の日本公式オンラインストアの運用を始めたり、韓国ブランド『グローブ』の日本での販売特約店契約を取得したりと、海外ブランドを持ち込むケースもある」

 ――アジア展開のスピード感については。

 「緩やかなスピード感をイメージしていたが、感触として少し早めに数字に盛り込めそうで手応えを感じている。何度もポップアップを出してから出店しているので、『行けるでしょ』と感じるまでは大きいリスクを伴う意思決定はしない。ポップアップを展開してリールやクリエイティブが現地で刺さるかを確認し、その手応えを頼りに出店するので、日本でやっていることとそんなに変わらないかなと思う」

 ――ストリート系以外でブランド開発するジャンルの候補は。

 「全部ですね。ゆとり世代くらいまでのターゲットに対して、文化としてやらないというジャンルはなくて、勝てるかどうかが大事。自分たちが持っている文脈に投資をする方が勝つ確率が高いだけで、最終的には全部のカテゴリーを獲りたい」

 ――急成長している中での課題感などは。

 「引き続き30%成長を維持していくと5年後に300億円くらいの売り上げになるので、そこに向けてくさびを打っていくことが大事かなと。市場環境も変化するので、経営陣がしっかり観察しながら臨機応変に動けるようにしておくという緊張感は常にある」(おわり)

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