ユナイテッドアローズが手掛ける「ユナイテッドアローズ&サンズ(UNITED ARROWS & SONS、以下サンズ)」が、渋谷パルコに新店舗をオープンした。取り扱いブランドを拡充したほか、限定アイテムも展開。レクチャーブックの製作など、販売以外のコミュニケーションも取り入れ、レーベル独自の自由なドレススタイルを発信していく。
渋谷への出店はサンズ初の”一人暮らし”
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サンズは、「父親が大事にしてきたものを次世代に継承する」をテーマに掲げたコンセプトレーベル。テーラードスーツを軸としたドレスファッションに、カルチャーやアート、音楽を融合させた独自のスタイルを提案している。ユナイテッドアローズ 原宿本店内に店舗を構えていたが、今年1月の原宿本店の休業に伴い一時的に店舗営業を休止していた。
新店舗は、渋谷パルコの3階にオープン。「シーピー カンパニー(C.P. COMPANY)」や「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」を始めとするデザイナーズブランドのほか、「ヌビアン(NUBIAN)」や「ステュディオス(STUDIOUS)」といったセレクトショップなど、多彩な店舗が軒を連ねるフロアだ。同館のカルチャーやアートとの強い結びつきに共感し、2025年3月から進行中の大規模リニューアルの盛り上がりにも魅力を感じたことから、出店を決めたという。
本店に付随する形だった旧店舗と異なり、渋谷パルコ店は初めて単独で構える旗艦店。馴染みある原宿を離れた理由について、レーベルのスタイルを確立するために単独で勝負をしたいという思いがあったとしている。担当者は「原宿本店で営業している時は実家にいるような感覚だった。成長しますと言っても、親元を離れていないと説得力がない。今回はサンズにとって初めての一人暮らしだ」と話す。






ラグジュアリーゾーン
その思いを体現するように、店舗のデザインを一新。約145平方メートルの広々とした店内に、モダンな印象のエントランスとテーラーのような重厚なフロアが同居する。白を基調とするギャラリー然とした旧店舗とは趣向を変え、寛いでゆったりと買い物を楽しめる「服屋らしい雰囲気」を目指した。一方で、一部の照明やアート作品などは原宿時代から引き継ぎ、旧店舗時代からのファンが懐かしく感じられる空間に仕上げている。
レーベルの歴史と未来を象徴するラインナップ
新店舗では、「サルトリアル ストリート&シック」をコンセプトに、「モダン」、「ストリート」、「ラグジュアリー」の3つのゾーンに分けて商品を展開。「以前渋谷パルコでポップアップを開催した際に、渋谷のお客様は”瞬間的にかっこいい”と感じたものを選ぶ傾向があると感じた」ことから、同レーベルがこれまで提案してきた「サルトリアル ストリート」に、新たに「シック」の要素を加えた。
モダンゾーンでは、デザイナー尾花大輔と協業した「D.O ユナイテッドアローズ バイ ダイスケ オバナ(D.O UNITED ARROWS by Daisuke Obana)」をエントランスに配置。進化したサンズのコンセプトを象徴する、シンプルで都会的なアイテムを揃える。ストリートゾーンでは、「ポロ ラルフ ローレン(Polo Ralph Lauren)」や「カーハート(carhartt )」など、アメカジをベースとしたカルチャー色の強いアイテムを展開。レーベルのミックススタイルに欠かせない繋ぎ役として、ラインナップは柔軟に変化していくという。



D.O ユナイテッドアローズ バイ ダイスケ オバナ
ドレスアイテムを軸に展開するラグジュアリーゾーンでは、隣接するストリートゾーンのアイテムと組み合わせる、レーベル独自のテーラードスタイルを提案。原宿と比べて5〜10歳ほど若いというメインの年齢層に向けて、LVMHプライズ2024のセミファイナリスト「コッキ(KHOKI)」や、装苑賞を受賞したデザイナー 玉田達也が手掛ける「タム(Tamme)」といった若手ブランドを積極的にセレクトした。






そのほか、女性客も多い同館の客層に合わせ、ウィメンズの展開も拡大。ユニセックスで楽しめるアイテムを豊富に揃えるほか、2026年春夏シーズンからは「ソニアカラスコ(SONIA CARRASCO)」といったウィメンズブランドの取り扱いも予定している。また、レーベルの強みであるスニーカーのセレクトにも引き続き注力。デザイナー キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)が手掛けた「アシックス(ASICS)」が並ぶなど、量販店では見られない品揃えを追求した。
開店を記念した限定アイテムも登場。トレンドの薄底スニーカーに合うシルエットを追求した「ミタスニーカーズ(mita sneakers)」とのコラボレーションパンツや、「ブルックス ブラザーズ(Brooks Brothers)」とパンツ専業ブランド「ニート(NEAT)」のコラボアイテムなど、同レーベルと長年交流のあるブランドが揃う。また、インドネシア発のフットウェアブランド「ワンダー(wander .etc)」に別注したモカシンシューズは、サンズのスーツスタイルに合う一足として新たに提案。同日にオープンする縁から実現した、ヴィンテージウォッチショップ「江口時計店 渋谷パルコ店」によるセレクトアイテムなど、レーベルの歴史と未来を象徴するようなラインナップとなっている。


限定のコラボアイテム
目指すは「自由なスーツ文化の発信拠点」
新店舗オープンを機に、今後はオリジナルアイテムの展開を拡大。従来3:7だったオリジナルとセレクトの比率を、5:5まで高めることを目指す。「ドレス」「ベーシック」「モダン」の3つのカテゴリーに分け、それぞれ専門家にディレクションを依頼し製作中だという。特に、スーツなどのテーラードウェアについては、ドレスアイテム専門の工場を採用。クラシックの枠に囚われない自由なスタイルと、より質の高い物作りを両立することで、レーベルの強みであるスーツスタイルを更に発展させる狙いだ。
今後は、サンズ流のドレススタイルを伝えるレクチャーブックの製作など、テーラードウェアの魅力を発信する取り組みも計画。同レーベルの創設者で2018年に独立した小木“Poggy”基史氏の「クラシックは点で、トラッドは線。クラシックの魅力は世代間で受け継いでいくことで伝統になる」という言葉に、サンズが若い世代に対して果たすべき役割を見出したという。ドレスファッションの間口を広げるレーベル独自の提案を、販売だけでないさまざまな形で行うことで、”サンズらしさ”を育てていく。
担当者はレーベルの目標について「新店舗では既存のお客様だけでなく、まだテーラードウェアに馴染みのない若い世代のお客様にも楽しんでほしい。小木“Poggy”基史さんが作り上げた”ドレススタイルを自由に楽しむ”というコンセプトを伝統にするため、努力を続けていく」と話した。今後は、関西圏への単独2号店出店も検討しているという。
最終更新日:
■ユナイテッドアローズ&サンズ:公式サイト
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