
「ヘルス」2026年春夏コレクションのルック
Image by: HELS
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デザイナーの出口壮夫が手掛ける人間とフィギュアのためのファッションブランド「ヘルス(HELS)」が、2026年春夏シーズンに本格デビューする。
出口は、1988年生まれ。文化服装学院、文化ファッション大学院大学(BFGU)卒業後、デザイン事務所勤務を経てコム・デ・ギャルソンに入社し約7年間勤務した。退社後は、フリーランスのグラフィックデザイナーとして「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」や「ヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)」「クードス(kudos)」などさまざまなファッションブランドにグラフィックを提供する傍ら、2022年から自身のブランドである「ヘルス」を手掛けている。

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ヘルスでは、「人間とフィギュアが同じファッションをする」をコンセプトに、人間の服と同ブランドが手掛けるヒューマノイドフィギュア「Helsドール」の服を、同一のデザインで展開。両者が同じファッションをすることを通じて、アバターの見た目をカスタマイズするようにライトな感覚で自身の容姿を変えたり、服をコレクションしたりといったファッションの楽しさを提供するとともに、より広いジャンルの人が興味を持ち、ファッションのフィールドを広げうるような活動を目指している。

「ヘルス」の定番コレクション
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「ヘルス」の定番コレクション
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従来は、定番アイテムとしてブランドロゴやグラフィックをあしらったTシャツやチノパンツ、ワークシャツジャケット、ラガーシャツなどを人間・フィギュア用で展開してきたが、2026年春夏シーズンでは初のコレクション形式で発表。ブランド名が「Health」に由来することから、「健康」をテーマに、病院や薬といった人工的でケミカルなイメージをコレクションに落とし込んだ。同テーマに合わせ、ファブリックには「シワになりにくい」「伸びるため動きやすい」など、人間都合に合わせて作られた人工的素材であるポリエステルやストレッチ素材を多用したという。





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同ブランドでは、人間用とフィギュア用の2つの服を手掛ける理由として「『フィギュアが着ているグッズ』という設定にすることで、普通の服が普通に見えなくなるのではないか」との考えがあることから、服のデザインは“普通の形”であることを重視。一方で、記号性のある普遍的な形の服をベースとしながらも、アイテムをデザインする上で出口が一貫して意識しているのは、「ダサいこと」「洗練されていないこと」だ。
今回のコレクションでは、病院服のようなストレッチ性のある生地を用いたシャツや、スティーブ・ジョブズが穿いていたような野暮ったいストレートシルエットで“新品すぎる無表情な風合い”を表現したデニムパンツ、中学生の“すごくダサいジャージ”をイメージしたトラックパンツ、海外のギークが穿いていそうな形のボンディング素材のデニム風ハーフパンツなどをラインナップする。

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ルックのスタイリングでも、パンツの裾は短めに設計したほか、シャツは全てウエストインし、足元は学生が履きそうな真っ白なスニーカーを合わせるなど、徹底して「ダサさ」や「洗練されていないこと」を追求。その背景には、「ファッションに苦手意識がある人もファッションをやっている」「ファッションとの距離に関わらず、広いジャンルの人たちに興味を持ってもらいたい」という出口の思いが反映されている。
また、ブランドの活動を象徴するアイテムとして、アメリカの有人ロケット「アポロ1号」のクルーが着用していたジャンプスーツ型のフライトウェアを再解釈した、ジャケットとパンツのツーピースを製作。今後もユニフォームやコスチューム、特定の人物のトレードマークになっている服など、人間世界のファッションをフィギュアでトレースし、人間用にも同じ服を作るという取り組みを毎シーズン継続していく予定だという。


アポロ1号のクルーのフライトウェアを再解釈した、フライトジャケットとフライトパンツ
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そのほか、デニムパンツのフラッシャーやサイズ表記を示すシールなど、量販店のアパレルに見られるツールのデザインを踏襲したディテールにもユニークなこだわりが見える。アイテムの価格帯は、アウター・ジャケットが1万9800〜4万6200円、シャツが2万8600〜3万5200円、パンツが9000〜4万1800円、トップスが9900〜3万9600円、Tシャツが7700〜1万6500円、小物が9000〜1万8000円。

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ブランド設立当初には、通常のファッションサイクルとは異なるシーズンレスな展開を目指してきたヘルス。しかし、ファッションブランドとしての認知拡大に課題を感じたことから、2026年春夏シーズンとして初のコレクションを発表するに至ったという。今後、当面の間は春夏と秋冬の年2回の新作発表を行い、ブランドの認知向上と卸先のさらなる拡大を目指す。
出口は、ブランドの本格始動に際して「まずはブランドとして認知してもらうために、ファッションビジネスのサイクルに乗り、人間用の服により力を入れる形で展開することが必要だと考えた。ブランドとして『ダサいこと』『洗練されていないこと』に着目しているが、あくまでデザイナーズブランドとして、最終的には『ダサいのにかっこいい』ブランドを目指していけたら」と意気込みを語った。
最終更新日:
■HELS:公式オンラインストア/公式インスタグラム
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