
米国版「ヴォーグ(Vogue)」の編集トップに、Vogue.com編集長のクロエ・マル(Chloe Malle)が着任した。同誌で編集長を務めたアナ・ウィンター(Anna Wintour)の後任となる。
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クロエは1985年11月8日生まれ。女優キャンディス・バーゲン(Candice Bergen)と映画監督ルイ・マル(Louis Malle)の間に誕生した。ブラウン大学を卒業し、ヴォーグには2011年から在籍。ソーシャルエディターからキャリアをスタートさせ、ウェディングと社交界の取材を統括するとともに、ファッションから政治、住宅と庭園、美容、健康まで幅広い分野で寄稿してきた。2016年から2023年までは寄稿編集者として、特集記事の執筆や特別企画の監修に加えて、撮影のディレクションを手掛け、2022年からは公式ポッドキャスト番組「The Run-Through」の共同司会も務めている。2023年にVogue.comの編集長に昇格。編集を担当した主な書籍には「Vogue Living: City, Country, Coast」(2017年)、「Vogue and The Metropolitan Museum of Art Costume Institute: Parties, Exhibitions, People」(2014年)、「Vogue Weddings: Brides, Dresses, Designers」(2012年)がある。プライベートでは、金融業界に従事する夫のグラハム・マクグラス・アルバート(Graham McGrath Albert)と結婚。2児の母で、愛犬とともに生活しているという。
同氏のVogue.comにおける功績は大きく、ダイレクトトラフィックが倍増したほか、ファッションの祭典「メットガラ(Met Gala)」などの主要イベントに関連するユニークビュー数やサイト滞在時間、コンテンツ公開数を含むすべての主要指標で2桁成長を記録。現在、サイトの月間トラフィックは平均1450万ユニークビューを維持しているという。また、同氏が主導して新たなニュースレターを開始。「Dogue」や「Vogue Vintage Guide」といった主要企画が成功を収めるなど、編集面の拡大を推進した。このほか、ウェディングのコンテンツをホームセクションに格上げし、コンテンツ公開数を30%増加させ、記録的なエンゲージメントを達成したという。
クロエは編集トップとして、今後はアナ・ウィンターの直属でヴォーグのクリエイティブおよび編集方針を統括する。クロエは「私はこの雑誌のタイトルが大好きですし、私たちが生み出すコンテンツも、それを作り上げる編集者たちも大好きです。ヴォーグはすでに私という人間を形作ってくれました」とヴォーグに対する思いを語り、「ファッションもメディアも、ものすごいスピードで進化しています。その変化の一部でいられることに、とてもワクワクしていますし、畏敬の念さえ覚えます。そして、今でもアナが廊下のすぐ向こうにいて、私のメンターでいてくれることをとても幸運に感じています」と続けた。
37年間務めてきた編集長の座を退いたアナは「これからのヴォーグが成長していくために必要なのは、あたたかさ、喜び、経験、そして鋭いヴィジョンだと私は信じています。ファッション界の内外で変化が起きているこの時代において、ヴォーグはこれからも“基準を示す存在”であると同時に、“限界を押し広げる先導者”であり続けなければなりません。クロエは、アメリカ版ヴォーグの長く唯一無二の歴史と、その最前線での未来との間で、バランスを取る力があることを何度も証明してきました。これからも彼女と一緒に仕事ができることを、とても楽しみにしています。私は彼女のメンターとしてだけでなく、生徒としても、彼女が私たちと読者を未知の場所へ導いてくれる姿を見届けたいと思います」とコメントし、クロエへの期待を示した。
なお、アナは今後も出版社コンデナスト(CONDÉ NAST)のチーフ・コンテンツ・オフィサーおよび「ヴォーグ」のグローバル・エディトリアル・ディレクターの職務を継続。クロエはアナが持っていた肩書き「編集長(editor in chief)」は引き継がず、編集トップとして米国版ヴォーグを率いていく。
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