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「商社ではなく、繊維メーカー」新体制の第一織物が6年ぶりの展示会開催

Image by: FASHIONSNAP

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「商社ではなく、繊維メーカー」新体制の第一織物が6年ぶりの展示会開催

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 ニッケグループの第一織物が、6年ぶりの単独総合テキスタイル展を開催した。

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テキスタイルメーカーとしての矜持打ち出す

 第一織物は、福井県坂井市に本社を構える1948年創業のテキスタイルメーカー。創業当初はヨットセールクロスを得意としていたが、吉岡隆治前社長(現・会長執行役員)が1990年代にファッションテキスタイル事業を立ち上げて以降、現在まで世界のさまざまなラグジュアリーメゾンやデザイナーズブランドに生地を提供している。2020年に日本毛織(以下、ニッケ)の子会社となり、2023年に吉岡前社長に代わり中川浩孝氏が代表取締役社長に就任した。新体制以降初の大型展示会となった同展では、「高密度のかたち」をテーマに、同社の代名詞である高密度織物の歴史の展示や、新開発素材を披露した。

 会場では、スポーツテキスタイルの機能性をファッションテキスタイルに応用した同社の代表的な素材であるポリエステル高密度織物「DICROS」シリーズの初期の代表作を、現代的な素材や技術でアップデートした新素材を紹介。吉岡前社長が自らの足で売り込みに出向いたことで生地が採用されたという1990年代から2000年代初頭の「イブ・サンローラン(Yves Saint-Laurent)」や「グッチ(GUCCI)」、「モンクレール(MONCLER)」のコートやダウンジャケットと共に展示された。15デニールの高密度なナイロン生地は世界的にも「もっともダウンが抜けにくい生地」として好評だと担当者は話す。

 同展の開催に合わせ、工場での職人たちの姿を撮影したオリジナルムービーを公開。「商社だと勘違いされることがあるが、高い技術を持つテキスタイルメーカーであることを知ってほしい」という考えから、今後はテキスタイルメーカーとしての技術力や生産背景を消費者に対してもより明確に打ち出していく方針だという。

ニッケとのコラボ生地も初披露

 毛織物のトップメーカーであるニッケグループ傘下になったことで、コラボレーション生地も初披露。フィラメントをウールの繊維束で包み込み、表面はウールのソフトな風合いを活かしながら丈夫で毛玉の出にくいニッケが特許を持つ素材「NIKKE AXIO」を緯糸に使用。経糸に第一織物が得意とするポリナイロン糸を使用した。現時点ではまだトライアル段階だが、今後製品化を目指して開発を進めていくという。

 このほか、高密度織物を得意とする同社の新たな技術として、既存生地の織組織を変えて新たな風合いを表現した新素材や、「絣」のような陰影感が特徴の生地などを発表。同社テキスタイルの可能性を示した。

暖冬で1枚仕立て需要高まる 最新トレンド傾向

 近年のテキスタイルのトレンド傾向として、肌馴染みが良く、天然素材との相性も良いシャリ感のあるシワ加工の生地が人気が高まっているという。同社は特に、ケアしやすいポリエステル100%素材でありながらコットンリネンのような風合いを持つ、機能性と高級感の両立が求められている。アウター向けテキスタイルを得意とする同社だが、近年の暖冬も影響し1枚仕立てのライトアウターやシャツ、ボトムスでの生地の採用が増加している。色彩としては、クワイエットラグジュアリーからの反動として彩度の高いカラーの人気が高まっているという。

個人販売も増加

 2023年10月にスタートしたBtoBの公式オンラインストア「DICROS ONLINE STORE」では、企業だけでなく個人顧客からのオーダーが増加傾向にあるという。個人で服を作っているクリエイターや若手デザイナー、服飾専門学生など現在の個人の会員登録者は600人を超える。1mから購入が可能で、最短翌日出荷という利便性の高さも人気の理由だとしている。

最終更新日:

◾️DICROS ONLINE STORE

FASHIONSNAP 編集記者

橋本知佳子

Chikako Hashimoto

東京都出身。映画「下妻物語」、雑誌「装苑」「Zipper」の影響でファッションやものづくりに関心を持ち、美術大学でテキスタイルを専攻。大手印刷会社の企画職を経て、2023年に株式会社レコオーランドに入社。若手クリエイターの発掘、トレンド発信などのコンテンツ制作に携わる。

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