
Image by: cobble du

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デザイナーの森りこが手掛けるブランド「コブルドゥ(cobble du)」が、2026年春夏シーズンの展示会を開催し、新作コレクションを発表した。今季のテーマは、表現することや具現化することを意味する「EMBODY」。整形や矯正など、身体の形を変える行為全般から着想を得て、画一的ではない、各々にとっての“自然体”な身体の在り方を模索し肯定するようなコレクションを披露した。
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デザイナーの森は、1998年大阪府生まれ。バンタンデザイン研究所高等学校を卒業後に、ファッションブランドのインターンなどを経験。独学でアクセサリー作りを学び、2019年にアクセサリーブランド「クリティカルラボ(critical:lab)」を立ち上げた。その後、レディトゥウェアを軸にした発表に切り替えるべく2023年にブランドをクローズ。コブルドゥを始動し、2024年秋冬シーズンにデビューコレクションを発表した。キャスティングディレクターとしても活動する坂本悠生が、「クリティカルラボ」から継続してディレクターとして参加している。


2026年春夏コレクション展示会
Image by: FASHIONSNAP
2026年春夏シーズンは、哲学者 鷲田清一の「ひとはなぜ服を着るのか」や、建築家で批評家のバーナード・ルドフスキー(Bernard Rudofsky)の「みっともない人体」といった書籍から着想を得て、整形や矯正、ピアッシング、タトゥーなどをモチーフにコレクションを製作。“そのままで良いはずのものに、敢えて手を加える”という行為に込められた意味を、ポジティブな視点で捉えてデザインに落とし込んだという。





Image by: FASHIONSNAP
コレクションでは、今季のステートメントピースとして、ボンディング素材のTシャツの背面に編み上げをあしらうことで、コルセットによる身体矯正を思わせるフォルムに仕上げたミニドレスが登場。そのほか、緊張感のある直線的でタイトなシルエットと背面の編み上げディテールが特徴のジャケットや、ゆったりとしたボディに3連ベルトパーツを重ねたTシャツ、「心と体の健康のために、私は自分自身に素直に誠実に生きていく(For the sake of my mental and physical well being, I choose to liive honestly and true to myself)」というメッセージをプリントし、まくれたデザインの袖や裾で「完全体ではない姿の愛おしさ」を表現したTシャツなどをラインナップする。







Image by: cobble du
また、2025年春夏シーズンに展開し即完売・再生産した「Piercing tops(T-shirts)」の新作も登場。今季はウエスト部分にあしらったボディピアスの装飾はそのままに、スクエアネックのノースリーブタンクトップにアップデートした。ホワイトとブラックの2色展開で、価格は1万9800円。


「Piercing tank」の着用ルック
Image by: cobble du
今回のコレクションについて、森は「整形やタトゥーなど、身体の形を変えたり、手を加える行為に対して否定的なイメージや批判的な考えなどもあるが、その人自身がより自然体でいるための一つの手段でもあるのではないか、という解釈を裏テーマとして込めた」と話す。
また、「自然体の身体」というコンセプトから派生して、贅肉をイメージした不規則な生地のたるみがデザインされたスウェットパンツも製作。「贅肉が付いた身体も、自然体でリアルな姿の一つ。たくさん食べることで付くものでもあり、“幸せの塊”のようなところもある」と、規範的ではない自然な身体の在り方をポジティブに表現した。

贅肉から着想を得た「Flab sweat pants」
Image by: cobble du

エルヴィン・ヴルムの作品「Fat Car」から着想を得た「Fat shirts」
Image by: cobble du
毎シーズンアート作品や建築などからのリファレンスが見られる同ブランドらしく、今季はオーストリアのアーティスト エルヴィン・ヴルム(Erwin Wurm)の作品「Fat Car」から着想を得たアイテムも登場。富裕層への皮肉をユーモアとともに表現した同作品への共感を込め、贅肉がついた身体に白シャツを羽織ったようなフォルムの中綿入りシャツベストや、カットソー素材のボディチェーンなどに落とし込んだ。
そのほか、コレクション全体を貫くもう一つのキーワードは「緊張感」。デザイナー自身が美術館のような静かで張り詰めた空気感に心地よさを感じる気持ちや、学生時代に抱いていた「周囲に合わせすぎてしまう」というコンプレックスへのカウンターとして、意思の強さや揺るがない姿勢をデザインに反映したという。
コレクションでは、規律や機能美がもたらす緊張感と実用性を兼ね備えた、ミリタリーウェアの要素を随所に採用。サーマル素材にハトメやレースアップのディテールを施したレオタードや、軍物のフィールドジャケットを思わせるデザインに、長さ2.6mのベルトを包帯のように身体に巻きつける装飾が付いたジャンプスーツなどを製作した。デザイン性の高いピースが多い一方で、UVカットや接触冷感、マシンウォッシャブルといった機能性のある素材を多用することで、日常での着やすさも考慮した。




Image by: cobble du
デビュー4シーズン目ながら、既に独自の世界観やフォルムへのアプローチ、身体像などを確立しつつあるコブルドゥ。現在、国内では「デルタ(DELTA)」や「グレイト(GR8)」、「ザ トウキョウ(THE TOKYO)」、阪急うめだ本店3階の「D-LAB」など、全国8店舗の卸先で展開している。海外では、韓国のコンセプトショップ「アデクヴェ(ADEKUVER)」でファーストシーズンから継続して取り扱いがあるという。
今後はパリでの展示会開催なども視野に入れ、海外展開を本格化させる方針。森は「日本国内では、ブランドの世界観や価値観にマッチする卸先を厳選するのが理想。早い段階で海外に進出して実績や認知度を確立した上で、改めて国内での展開を広げていけたら」と意気込みを語った。
最終更新日:
■cobble du:公式インスタグラム
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