
ライフログとしての手帳使用例。ハンズ店頭で
Image by: FASHIONSNAP

ライフログとしての手帳使用例。ハンズ店頭で
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デジタル全盛の時代に、アナログな紙のスケジュール手帳が売れている⎯⎯。ここ数年、手帳販売の最盛期である11〜12月にこうした話を聞く機会が増えているが、今年も同様だ。
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「2026年向けのスケジュール手帳の売れ行きは、全店累計で昨年対比10%増ペース。日付が入っていない“ログノート”の売り上げも、同20%増で推移している」と話すのは、文具を含む生活雑貨を扱うハンズの広報担当者。
良品計画の「無印良品」でも、2026年向けの手帳の売れ行きは「昨年対比で10%の伸び」と広報担当者。日付なしのログノートに限れば、「昨年はアイテム数自体が少なかったこともあるが、3.5倍ほどの売り上げ規模になっている」という。同社は2025-26年秋冬向けの商品説明会でも、手帳やノートを生活雑貨コーナーの目玉商品として打ち出していた。




ライフログとしての手帳使用例。ハンズ店頭で
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15〜20年ほど前までは、ビジネスパーソンを中心に必需品だったスケジュール手帳。スマホやスケジュールアプリの定着と共に存在感を薄め、年末に社名を印字した手帳を取引先に配付する企業はめっきり減った。令和の時代に手帳の売り上げを支えているのは、ビジネスパーソンではなく、趣味を楽しむ女性たちだ。
無印良品では、手帳を購入する客の9割が女性だといい、中心の年齢層は40代、30代、50代の順。「コロナ禍以降、一時は手帳の売り上げが落ちたが、今は日記や“ライフログ”目的で手帳やログノートを楽しむ人が増えている。1人で何冊か使い分けているお客様もいる」と広報担当者。
ライフログというのは、日々の生活やその中で感じたことを記録し、自分と向き合ったり、後から読み返して楽しんだりする行為のこと。具体的には、推し活のライブチケットの半券や旅先のパンフレットなどを手帳に貼り、ライブの感想や旅先で食べたもの、その日の服装などを思い思いに書き込む。日付のないログノートが人気となっているのは、日付ありの手帳よりも自由度高くライフログをカスタマイズできるからだ。 手帳の役割が、スケジュール管理から人生の記録に変化している。
“平成女児”ブームに代表されるような、ここ数年続いているレトロ回帰の消費傾向も手帳人気の背景にはあるようだ。「デジタルが当たり前になった中で、あえてアナログなものを楽しみたいという人が手帳を使っている。今非常に盛り上がっている、シール交換ブームなどとも根っこの部分は近い」とハンズの広報担当者。



売り上げ好調な「ほぼ日手帳」。ほぼ日のオフィスで
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こうした潮流は日本だけのものではなく、海外でも広がっている。それを象徴するのが、「ほぼ日手帳」の快進撃だ。コピーライターの糸井重里氏が立ち上げた株式会社ほぼ日が2001年に発売したほぼ日手帳は、今や売り上げの52.5%を北米を中心とした海外が占める。ほぼ日手帳の国内外の年間販売部数は2025年8月期で過去最高の96万部。手帳が牽引する形で、全社売上高も2025年8月期は前期比15.2%の86億円と絶好調だった。
ほぼ日手帳が海外で支持を広げる上で、「コロナ禍は大きなきっかけだった」と話すのは、小泉絢子ほぼ日社長COO。小泉氏は11月29日付で、糸井現会長CEOから社長職を引き継いだが、2001年にほぼ日手帳の立ち上げを担ったのが、アルバイトから入社した小泉氏だ。

海外ファンによるほぼ日手帳のSNS投稿

「コロナ禍中には、北米を中心に“ジャーナリング”のムーブメントが広がった。ステイホームで家族や友人に会えない不安な気持ちを手帳に書き込み、自身と向き合うというもので、それをきっかけに当社の手帳を選んでいただくケースが増えた」と小泉氏。その言葉通り、インスタグラムで“hobonichi”と検索すれば、色とりどりのシールやペンを使ってライフログが書き込まれた、ほぼ日手帳の海外ファンによる投稿が無数に見つかる。
デジタル化が進んだことで、紙の手帳の役割がより明確になったとも言える。スケジュール管理ではなく人生の相棒として、ライフログを軸にした手帳ブームは2026年以降もしばらく続きそうだ。
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