
Image by: FASHIONSNAP

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デザイナー 村田晴信による「ハルノブムラタ(HARUNOBUMURATA)」が、2026年秋冬コレクションのプレゼンテーションを南青山のSTAMP BASEで実施した。2月22日まで一般公開し、会場および公式サイトで受注を受け付ける。
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2022年秋冬コレクション以降、1シーズンを除き継続的にショー形式で発表してきた村田は、前シーズンを終え「ショーを前提としたコレクション製作から一度立ち止まり、自然と思い出すような本当に必要なもの、リアリティのあるものに向き合いたい」と考えたという。
コレクションテーマに据えた「装飾と犯罪(ORNAMENT AND CRIME)」は、20世紀初頭にウィーンで活躍したオーストリア人建築家のアドルフ・ルースが論じた思想の一つ。無駄な装飾を否定し、機能的な現代建築を追求したモダニストの先駆者として知られる。当時の空気感としては、19世紀後半から続くルネサンス、バロック、ゴシックといった様式のリバイバルを試みる歴史主義的なものづくりや、そのカウンターとして権威的で古めかしいデザインから離脱した「ウィーン分離派」がアール・ヌーヴォー寄りの装飾性を磨いていった。ルースは「文化の進化とは、日常使用するものから装飾を除くということと同義である」と唱えた。簡単に言うと、装飾に労力や資材を割くことは経済的な浪費であり、労働者の時間を奪う「犯罪的」な行為だと論じた。






Image by: HARUNOBUMURATA
村田はこうしたルースの思想を出発点に、装飾性を削ぎ落とした最小限の要素で、現代の都市生活に溶け込むエレガンスを探求したという。「僕のデザインは元々ミニマリズムの系譜なのに、今まではダイナミズムやスペクタクルを意識する比重が大きかったように思う。自分が求めるラグジュアリーやエレガンスを見つめ直した時、シンプルな要素で服を作り上げることが、情報過多な社会のなかで、禁欲的になるのではなく、自然な思考・マインドプロセスで過剰なものから解放されていく。そんな現代の女性・男性に向け、ルースが奮闘したようにミニマルな佇まいを提案したいと思った」と語る。
日本のものづくりに傾倒し、美しい素材を美しく仕立てることに情熱を注ぐ村田の今回のコレクションの基盤となるのは、ブランドのアイコニックなムードに欠かせないウールギャバジン。超高密度に織られ、イギリス由来のクラシックなスタイルでありながら、紙のようなハリ感を与える特殊加工を施した。同素材のために開発された特殊な樹脂を用いて、繊維内部まで浸透させ、熱で硬化させるという日本独自の技術によって、端正な綾目と半永久的なハリ感を実現した。このハリ感が構築的なフォルムを叶えるが、肌触りが良く、しとやかな印象も与える。



この硬質さの対比として、ペルー産原料を尾州で織り上げたスーリーアルパカ混シャギー素材を採用。普通のアルパカよりも毛が長く、高品質な保温性と軽量性を兼ね備える。しっとりとした光沢感で、削ぎ落とされたフォルムに柔らかな奥行きを演出。同素材を贅沢に使用したコートは、ケープ一型で無駄のないパターンワークによって、構築的なニュアンスと素材の柔らかさを同時に引き立てる。

また、オーストラリア産の原料によルウールダブルフェイス素材は、二層構造特有の膨らみと反発を備える。この素材で仕立てたコートは取り外し可能なダブルレイヤーのビッグカラー付きで、優しい肌触りでありながら、ストイックな立ち姿を意識したという。村田は素材選びとパターンについて「物質的な緊張感を保ちながら体の動きを邪魔せず、自然となじむ。そんな素材とパターンワークを目指した」と説明する。
村田の真髄とも言えるミニマルなパターンワークは随所に見られ、ノーカラージャケットは胸元に横一本のシームを施し、建築的な印象を備えた。自然な伸縮で心地よく身体に沿うニットワンピースは、ウエストのリブを編み目の美しさを保ちながら縦・斜めに入れラインを整えている。一見ストレートなシルエットに見えるタイプのニットワンピースは編み地の変化を取り入れ、シャープでありながら多彩な表情を潜ませた。
ジャージー素材のセットアップは、トップスの肩の落ち感やカーヴィーな袖、パンツの緻密なタックや腰回りのパターンでエレガントな雰囲気へと昇華。日常着の印象が強い素材も、単純なカジュアルダウンではなく、日常に寄り添うエレガンスとして機能していた。










Image by: HARUNOBUMURATA
村田は自身もさまざまなブランドのショーを見るのは好きだが、今は「装飾の先にある空白へ目を向け、エレガンスの本質を問い直したい」と語る。ストイックな素材選びと、それらを引き立てる最小限のパターンワークといった村田ならではの厳格さが色濃く映し出されたコレクションだった。
最終更新日:
■HARUNOBUMURATA AUTUMN WINTER 2026 EXHIBITION
会場:STAMP BASE(東京都港区南青山6-5-45)
期間:2月20日(金)15:00〜21:00
2026年2月21日(土)12:00〜19:00
2026年2月22日(日)12:00〜19:00
※予約不要
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