


1957年にイタリア・トリノで創業したハイジュエリーメゾン「レポシ」。創業家3代にわたる伝統を受け継ぎながら、現代アートや建築の発想を取り込み、ジュエリーの既成概念を更新してきた。日本で事業を率いるのは、フランス出身のチボー・ジャラベールさんだ。日本文化への憧れから来日し、ラグジュアリー業界で店舗運営やブランド経営を経験した後、現在はアジア統括マネージャー兼取締役として、日本を中心に韓国や香港などの事業拡大を担う。日本で支持を広げる理由と、その先に描くブランドの未来を聞いた。
チボー・ジャラベールさん/レポシジャパン株式会社 アジア統括マネージャー兼取締役
フランス出身。日本文化への強い関心から高校時代より日本語を学び、22歳で慶應義塾大学へ留学。2009年に再来日後、ファッションブランドの日本進出を支援するコンサルティング会社を経てリテールへ転身。「DFS」「リプレイ」「フェンディ」などを経て、「ゴヤール」のGMとしてCRM領域の強化により売上倍増を達成。一貫してクラフツマンシップを重んじるブランドで実績を重ねた後、2022年にレポシジャパン株式会社に入社。現在はアジア統括マネージャー兼取締役として、日本を中心に韓国や香港などアジア市場の事業拡大を牽引している。
日本への憧れが導いたラグジュアリー業界でのキャリア
― フランスで生まれ育ったチボーさんが、日本に興味を持ったきっかけを教えてください。
高校生の頃から、侍や京都、着物、漢字といった日本独自の文化に惹かれていました。長い歴史の中で守られてきた伝統や美意識に興味があったんです。中国をはじめとする近隣国の影響を受けながらも、自分たちの文化を失わずに発展してきた点が素晴らしいと感じました。
自宅の近くに日本語を学べる高校があったため、15歳から勉強を始め、大学でも学び続けました。22歳のときに奨学金を得て、慶應義塾大学へ1年間留学したのが初めての来日です。文化の違いに驚くことはありましたが、毎日が学びの連続でとても刺激的でした。
― 卒業後、フランスではなく日本で働くことを選ばれたんですね。
日々新しい発見がある場所で成長したいという想いがあり、2009年に再来日し、ファッションブランドの日本進出を支援するコンサルティング会社に入りました。そこでファッションビジネスの基礎を学びました。フランスから来日するデザイナーと顔を合わせる機会も多く、彼らが情熱を持って働く姿に刺激を受けました。やはり仕事を楽しんでいる人は素敵だなと感じ、クリエイティブな世界に興味を持って、お客様の反応を直接見られるリテールへ転身しました。
リテールで最初に携わったのは、沖縄の免税店DFSです。日本には旅行好きな方が多いので、旅行をきっかけにラグジュアリーブランドを手にしやすくなる免税店はポテンシャルがあると感じ、選びました。当時は店長兼セールスマネージャーのようなポジションで、販売戦略を考えつつ店舗ではお客様とお話しながら販売するという、貴重な経験ができましたね。
― その後、複数のブランドで経験を積まれました。キャリアを通じて一貫しているものはありますか。
大量生産ではなく、職人が丁寧に作り上げたものへの敬意と関心です。「フェンディ」の毛皮、「リプレイ」のデニム、「ゴヤール」のバッグと、カテゴリーも価格帯も異なりますが、いずれもクラフツマンシップを大切にしているブランドです。
経験を積むにつれ、さらに自分の力を試したいという意欲も芽生え、「ゴヤール」にはGMとして入社しました。プロモーションを行わず、限られた店舗でのみ取り扱うブランド戦略だったのですが、CRMに力を入れ、店舗数は6店舗のまま増やさずに売り上げを約2倍に伸ばしました。コンフィデンシャルでクワイエットなラグジュアリーに興味を持ったのも、ここでの経験がきっかけです。

日本文化への憧れを原点に、ラグジュアリー業界でキャリアを築いてきたチボー・ジャラベールさん
建築とアートから生まれるハイジュエリーの美学
― 「レポシ」に入社した決め手を教えてください。
以前から宝飾の世界を体験してみたいと考えていました。なぜなら、肌に直接身につけるジュエリーは、ラグジュアリーの中でも特にエモーショナルなプロダクトだと思うからです。大切な人から贈られたり、節目に自分へのご褒美として選んだりしたものは長く愛用したいですよね。
「レポシ」と出会ったとき、クラシックなジュエリー業界の中で、ロックンロールを感じさせる、つまり既成概念を覆すような存在だと感じました。パリのヴァンドーム広場に本店を置くハイブランドですが、ファッション性が高く、毎日身につけられます。そのバランスと可能性に強く惹かれました。
― 「レポシ」はまもなく設立70年を迎えます。歴史あるブランド哲学をどのように捉えていますか。
多くのジュエリーブランドが花や動物など自然のモチーフを扱う一方、「レポシ」は建築的な線や空間、現代アートから着想を得ています。特に、現在クリエイティブ・ディレクターを務めているガイア・レポシは安藤忠雄に代表されるような日本の建築のエッセンスに興味を抱いています。
その意味でレポシは単純なハイジュエリーブランドではなく、ファッション、アート、建築といった文化のコミュニティといえます。伝統的なソリテールやシグネットリングを、形や石の位置、空白の使い方から見直し、いわば要素の“再解釈”によって新しいジュエリーを生み出すことが、ブランドの核です。

建築や現代アートのエッセンスを取り入れた、「レポシ」を象徴するジュエリー

― 日本ではどのような顧客に支持されているのでしょうか。
顧客の約95%が日本人で、特に自分のためにジュエリーを購入する働く女性が多いことが特徴です。プレゼント需要だけではなく、自分のスタイルを表現するものとして選ばれています。
また、ブランドの知名度よりも、商品の良さを自分の目で見極めて手に取る方も多い印象です。人に見せるよりも自分が気に入ってつけていることに意味を感じていらっしゃるのでしょう。読書や映画、アートに関心を持つ方も多いので、レポシのカルチャーコミュニティにも親和性が高いと思います。
店舗とデジタルの両輪で広げるブランド体験
― 現在日本ではどのように店舗を展開されているのでしょうか。
入社時は3店舗でしたが、現在は都内の百貨店3店舗、関東・関西のセレクトショップ5店舗と拡大しています。特にセレクトショップで人気でして、店内での売場面積を広げています。また、2027年の創業70周年に向け、東京都内に路面店をオープンする予定です。
― 素晴らしいですね。デジタル戦略やCRMも成長を支えているのでしょうか。
デジタルは店舗に代わるものではなく、お客様と出会い、関係をつなぐためのコミュニケーションチャネルです。特に若い世代へブランドを届けるには、日常的に触れている場所で情報を発信する必要があります。
私は入社後、レポシのLINE公式アカウントを立ち上げました。現在は約5万3,000人のフォロワーがいます。その約2割が関西在住で、販売拠点が限られていても潜在的な需要が見えるようになりました。一方、店舗ではスタッフが電話やメール、外商などを通じて一人ひとりとの関係を育てています。新規顧客との出会いと既存顧客との継続的なつながり、その両方が欠かせません。

日本の顧客との接点を広げる「レポシ」。伊勢丹新宿店をはじめ、百貨店やセレクトショップを通じてブランドの世界観を届けている
― 今後、日本市場でどのような展開を描いているのでしょうか。
まずは東京以外の拠点を増やしたいと考えています。関西、名古屋、福岡など、大都市を中心に可能性を探っているところです。ただし急速に増やすのではなく、ブランドが成功できる都市に一つひとつ出店していく方針です。
2027年に東京にオープンする路面店では、ブランドの顔となる場所で、「レポシ」がパリ・ヴァンドーム広場に本店を置くハイジュエリーメゾンであること、そして高い技術と文化的な背景を持つことを、お客様により深く伝えていきたいと思います。
創業70周年を迎える「レポシ」は、日本市場でさらなる成長を目指し、新たなブランドの顔となる路面店を2027年2月東京にオープンします。新しい店舗とブランドの未来を、ともにつくっていく仲間を募集中。レポシの世界観やものづくりに共感し、ラグジュアリーの新たな可能性に挑戦したい方は、ぜひこちらの求人情報をご覧ください。
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