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年間売上630億円規模「3COINS」快進撃の裏側 4つのポイントを探る

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年間売上630億円規模「3COINS」快進撃の裏側 4つのポイントを探る

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 「スリーコインズが入居すると来店者数が増える」⎯⎯ パルグループホールディングス(以下、パルグループHD)のパルが展開する「スリーコインズ(3COINS)」が好調だ。デベロッパーからの出店の引き合いも強く、近年は毎年数十店のペースで新規出店している。スリーコインズがけん引するパルグループHDの雑貨部門は全体の売上構成比の約4割を占め、スリーコインズ単体の売上高は630億円規模(2024年2月期)に拡大。成長と人気の背景には何があるのか、戦略の裏側をブランド担当者に聞いた。

リブランディングが契機に 人気を裏付ける4つの理由

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 スリーコインズは、300円を中心価格とした低価格帯の雑貨ブランド。従来の低価格均一のブランドには使い捨ての商品や他社の高価格商品の代替品を求めて訪れる客が多く、コロナ前のスリーコインズは他社との差別化が課題で売り上げが伸び悩んでいた。そんな中発生した2020年の新型コロナウイルス拡大に伴う社会の大きな変動を受け、日々変化する社会に対するブランドのあり方を見直すため、同年にリブランディングに着手。このリブランディングが現在の急成長につながっているという。その要素は4つある。

①ターゲットの見直し

 リブランディング以前は、20代女性をターゲットに可愛らしさのあるデザインの商品を“お得感”を起点に訴求してきたが、リブランディングを機に実際の購入者のボリュームゾーンである30代後半女性にターゲットを変更。色合いやデザインも、シンプルで落ち着きのある高級感を意識したものに変更したことで商品への満足度向上を図った。現在はターゲットの30代女性を中心に、20代後半から40代前半まで顧客層を拡げている。

②アパレルのようなスピード感あるMD

 アパレル事業を基盤としたパルが運営する雑貨ブランドとして、アパレルと同様に店頭の「鮮度」を重視。パルグループHD全体で採用している「4週間MD(1ヶ月単位の短サイクルで、過剰に在庫を持たずに商品を売り切る商品の開発と販売計画)」をスリーコインズにも導入し、新商品入荷までのスピードを短縮した。ほぼ毎週新商品を投入し、来店する度に新しい商品に出会うことができるアパレルのようなスピード感のあるマーチャンダイジングを構成したことで、客単価の増加を実現させた。

 商品ラインナップは、顧客層の生活を意識した構成。年間を通して特に人気が高いのは、季節感のある商品で、今季は「ネッククーラー」や「ハンディファン」といった暑さ対策商品、浮き輪などの水遊び商品が注目を集めているという。カテゴリーでは、キッズ商品やデバイス関連商品はSNSでも度々話題を呼んでいる。以前は大半の商品が300円だったが、現在はデバイス関連商品をはじめとする数千円の商品も取り扱っており、客単価増に寄与している。

Imaged by 3COINS

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③スタッフのインフルエンサー化が奏功

 SNSの発信力の大きさもスリーコインズの強み。公式インスタグラムのフォロワーは192万人(8月27日現在)を超えており、中でも高い効果を発揮しているのはパルが実施している「ショップインフルエンサー制度」だ。

 同制度では、ショップスタッフの個人のSNS(Instagram、TikTok、パル公式アプリ)でのフォロワー数に応じて、給与とは別途手当を支給する。ショップインフルエンサーは挙手制で、スタッフの雇用形態は問わず、本人と店長へのヒアリングを通して公式のアカウントが付与される。

 スリーコインズのショップインフルエンサーには現在約70人が登録しており、総フォロワー数は約85万人にのぼる。日々投入される様々な新商品をショップインフルエンサーたちが拡散することで、広告費をかけずに商品認知が広がり、それをきっかけに来店する客も多く、SNSを見て店頭に訪れた顧客が目当て以外の様々な新商品を知るという好循環が生まれていることもスリーコインズの強みだと担当者は話す。SNS上で商品が拡散され、商品への反響が可視化されたことをきっかけにテレビの情報番組でも取り上げられる機会が増えたことも知名度向上に起因したという。

④店舗の出店拡大&積極大型化

 リブランディングの効果が結実し始めた2021年頃から、スリーコインズは新規出店を拡大している。今年8月時点で全国に323店舗を構え、そのうち約7割は食品を取り扱う「スリーコインズプラス(3COINS+plus)」。現在の新規出店店舗もほぼスリーコインズプラスで、既存店も順次リニューアルを進めている。

 このように、低価格ながら高級感を感じさせるための空間デザインの変化に加えて重視したのは「店舗の大型化」だった。2018年ごろまでの標準店舗サイズは約165平方メートルだったが、現在では約330〜500平方メートルに拡大。店舗の大型化は、スリーコインズの好調に直接的に影響している。既存店も含めた店舗の大型化が急激に進められたことに伴い、取り扱いカテゴリーや商品数を大きく拡大することができたことが売上に直結していると担当者は話す。新規出店とリニューアルを合わせて、2025年2月期末には全体の約8割を約460平方メートル規模の大型店にする計画だという。

客の声が出店を後押し 大型店増加が売上に直結

 新規出店増の背景には、同社が店舗の大型化に積極的なことに加えて、スリーコインズに対するデベロッパーの引き合いの強さもある。デベロッパーたちを動かしているのは、顧客たちから日々寄せられるという同店の出店を望む声。顧客からの声をきっかけに、確実に需要のある地域や施設に出店ができていることも売上増に繋がっている。

 フラッグシップストアである原宿本店では、男性を含めたより幅広い客層への認知拡大を目指して、古着やビール、香水といった実験的な業種とのコラボレーション施策も積極的に実施。こういった取り組みで拡大した顧客のファン化も徐々に実現しているという。今後も、時代の変化の速さに柔軟に対応したブランド作りを目指すと担当者はコメントした。

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