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【トップに聞く 2023】スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー 大村和重社長 美しさへの「+1」の発想へ

Video by: FASHIONSNAP

 FASHIONSNAPの新春恒例企画、経営展望を聞く「トップに聞く 2023」。本年は、アフターコロナにシフトする中で各企業に求められている「イノベーション」をテーマにお送りする。

 第2回はスタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニーの大村和重カンパニーエグゼクティブプレジデント。社長就任から1年が過ぎた2022年秋、これまで以上に個に寄り添うカンパニーとして、企業理念を刷新し、BCL“Beauty Creative Lab”を“Beauty Creative Life”に再定義した。新たなステージに立ったBCLが目指す、美しさへの「+1」の発想とはーー。

■大村 和重(おおむら かずしげ)
2007年のBCLカンパニーの前身であるB&Cラボラトリーズ入社。2018年にBCL カンパニーの国内事業部の事業部長に就任。2019年からカンパニーエグゼクティブを兼任し、2021年6月に社長(カンパニーエグゼクティブプレジデント)に昇格した。同時にスタイリングライフ・ホールディングスの執行役員も務める。

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2022年を一言で表すと?

 「四重苦」でしょうか。終わらないコロナの影響でマスク生活が続きメイクアイテムは売上を落としましたし、ウクライナとロシアなどの世界情勢、円安による原材料や資材の高騰がコスト増につながり、中国のロックダウンで同市場の売上減など苦しいことが重なりました。

ー業績にも影響を与えたのでしょうか?

 そうですね。業績は厳しかったと言わざるを得ませんが、対前年比でみると落ちてはいません。ただコロナ前の2019年は、時短コスメブランド「サボリーノ(Saborino)」が絶頂期で、そこと比べるとやはり回復しているとは言い難く、2019年の売上高を超えていきたいという思いはあります。そういった中でも、昨年はコロナ禍が続いたとはいえ、少しずつ以前の社会へと戻っていったことからも、人流が復活してきた国内は回復傾向にあります。

ー海外は先ほど大村社長もおっしゃったように、戦争や中国のロックダウンなどマイナス要因が多くありました。

 海外売上トップである中国の越境ECは復活していますが、ゼロコロナ政策のロックダウンでリアル店舗は厳しいままです。また実はロシアが売上において3番目だったのですが、戦争により売上はストップしたままですし、自分たちではどうしようもできない状況が続きました。

 こういったことを反省し、今後は中国に頼り過ぎずベトナムやインドネシアなど東南アジアを視野に入れた海外戦略を推進していきます。

どん底なんだから変えていこう!

ー四重苦の2022年、どう戦ってきましたか?

 まず、今は最も底辺のときだと捉え、逆に変化を起こせるチャンスと考えました。良いときは、なかなか人は変われないものですよね。例えばですが、2015年のサボリーノの登場から右肩上がりで、そういった時期は「今は調子がいいのだから、新しいことを始めることはやめよう」と思っていました。ですが今は逆にどん底だからこそ「変えていこう!」と社員一同が団結したと思います。

ーどういった戦略で変化を起こしたのでしょうか?

 まだ道半ばではありますが、2022年からモノ作りのやり方を変えていくことをテーマに掲げました。当社のグループ会社プラザスタイル カンパニーが擁する小売店「プラザ(PLAZA)」の売れ筋データから、それまで店頭の壁面を彩っていたメイクブランドがことごとく売上を落とし、一方で韓国コスメやインフルエンサーがプロデュースするブランドなどに人気が集中していることが分かりました。消費者ニーズは大きく変わったのです。多様化する現在の市場において、マスに向けて5万個、10万個のコスメを作るのではなく、ニッチなニーズに対応したアイテムを5000個、1万個作る。そこで、プラザとの共同で商品開発をスタートさせました。

グループの強みを生かしたプラザとの商品開発

ー共同開発の仕組みは?

 プラザという、消費者に一番近い小売りの立場から、「こういった(かゆいところに手が届くような)商品がない」といったアイデアのフィードバックをもらい、BCLが商品を制作。プラザでまずは5000個を販売してテストマーケティングし、売れると分かったら数や展開店舗を増やしていきます。

ー2022年ではどれぐらいの共同開発商品が生まれたのでしょうか?

 15商品を開発して販売した結果、10商品が合格ラインに達しました。さらにそこから5商品は2023年、拡大します。初年度にしては出来過ぎな結果だったかもしれませんが、少しでも可能性があるなら広げていこうという考えです。広げるといっても一気に10万~20万個と増やすのではなく、段階を踏んで着実に成長させる予定です。

ー共同開発で特に良いスタートダッシュをきれたブランドは?

 鼻用パックブランド「キュキュポア C(Cucupore C)」と、ヘアケアブランド「セラメディ(CERAMEDI)」です。特にキュキュポア Cはプラザでも圧倒的な売上を確保し、すでに昨年の9月からドラッグストア8000店舗、ローソン5000店舗と拡大し、数量もすでに20万個を作っています。今後は「ロフト(LOFT)」や「ドン・キホーテ」でもテスト販売する予定です。

キュキュポア C

Image by: BCL

 ここで強みとなるのは、女性が顧客の中心であるプラザと、男性の割合が高いロフト、若年層と訪日外国人が多いドン・キホーテと、違った層を中心顧客にもつ小売店とつながっていることです。例えば今後、海外戦略を見据えたとき、新たに開発する商品をドン・キホーテでテスト販売し判断基準にすることができます。2023年は15以上の新商品をやっていきたいと考えています。

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