倉庫に山積みされた古着
Image by: FASHIONSNAP.COM

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偽物?それともオマージュ?初の逮捕者を出したブート品とは

倉庫に山積みされた古着
倉庫に山積みされた古着
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 「ブート品」を販売目的で所持し商標法違反容疑で都内の古着店経営者2名が逮捕された事件を受け、古着を扱う業界を中心に動揺が広がっている。ブート品が対象の立件は国内では初めてという意外性に加え、違法品を含む多くのブート品は今も世界中に流通しているからだ。そもそもブート品とは?

 

 「ブート」とは「密造・違法の」などの意味を持つ「ブートレグ / ブートレッグ(bootleg)」の略語。類語にはブート版、海賊版、海賊品などがあり、アパレル関連では主に「無断で既存のブランドロゴをあしらった衣服や装飾品」がブート品と呼ばれている。米国では1980年〜90年代に、ブランド品に憧れを持っているが購入することができない中間層や貧困層を中心に流行した。現在では古着として流通していることが多い。

 ブート品と聞くと、どこかクールなイメージもあり合法的のようだが、実際はクロ。商標権者の許可なくロゴを使用したり模造する行為から「偽ブランド品」と同義とされ、それを商売とすれば商標権侵害に当たる。しかし、ロゴやマークをもじった"パロディ"や、敬意を捧げるという意味を含んだ"オマージュ"、または一部を変更する"カスタマイズ"といった解釈で製造されているものもあり、どこからが違法なのか曖昧さが残るのが実状だ。

 過去にアメリカで流行したブート品で有名なのはハーレムのテーラー、ダッパー・ダン(DAPPER DAN)。高級ブランドのロゴをそのままプリントしたものから独自性を打ち出したものまで、オリジナリティの高いデザインが支持され、一つのムーブメントやストリート文化として扱われてきた。とはいえ、やはりそこは違法。ブームの最中、ダッパー・ダンは1992年に閉店を余儀なくされた。

 1980〜90年代に製造されたブート品は世界中に流れており、近年では古着ファンの間で高値で取引されることも少なくない。90年代のリバイバルやストリートファッションのブームとも重なり、都内の古着店の店主は「値上がりが続いている」と話す。

フリーマーケットなどにもブート品が流れる

 問題を複雑にしているとも言えるのが、2016〜17年頃から本家本元のラグジュアリーブランドがブート風デザインをオリジナルで発表したこと。少し懐かしい雰囲気のロゴデザインやパロディ風プリントのカットソーなどが、高額にも関わらず人気を集めている。それらがまたコピーされ新たなブート品を生むなど、「ブートがブートを呼ぶ」という事態も。ECやフリマサービスなどを通じて購入する時に、本家とブート品の表面上のデザインを見分けるには難しいものも存在するため、二次流通品を扱う各社は偽物に対して判定を厳しく設けている。

 "ブートブーム"とも言える加熱した現状だが、もちろん本家のブランド側からしたらどういう経緯や解釈でブート品が製造されようが商標の侵害。これまでの古着業界では、ブート品に対して「古着だからしょうがない」という言い訳や「これくらいなら......」という取り扱いの甘さがまかり通っている側面もあった。その一端が今回の逮捕者を出すことになったとも言えるだろう。それらの認識を改めないと問題が解決することはない。また売る側だけではなく、買う側の目にも正悪の分別や判断が委ねられているため、両者の倫理が問われそうだ。

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