(左)Rouge Fashionbook issue2 "Molecules" (右)Leaf
Image by: (左)Asger Carlsen (右)2x4 Beijing office

Fashion フォーカス

雑誌離れの先にあるのは?中国で独立系ファッションメディアが台頭

(左)Rouge Fashionbook issue2 "Molecules" (右)Leaf
(左)Rouge Fashionbook issue2 "Molecules" (右)Leaf
Image by: (左)Asger Carlsen (右)2x4 Beijing office

 雑誌不況と言われる日本と同様、中国でも若者を中心に雑誌離れが進んでいる。インターネットの急速な普及により、変化する中国のファッションメディア業界で、従来型の雑誌に代わり新たな独立系メディアが支持を集め始めている。時代を生き抜く新興ファッションメディアの戦略を追った。

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編集者がインフルエンサー化

 「中国の若者がファッション雑誌を買わなくなったのはここ5年ほどで、スマートフォンで何でもできるようになったことが関係していると思います」と話すのは、中国版「エル(Elle)」元エディターのリーフ・グリナー(Leaf Greener)氏。雑誌離れの要因は、スマートフォンの普及と共に利用者を増やすSNSの影響が大きいと見る。即時性やインタラクティブな環境を生かし、新商品の情報やスタイリングを積極的に共有する個人アカウントが増加。「ヴォーグ(VOGUE)」をはじめとする大手ファッションメディアの編集長などのエディターらはインフルエンサー化し、SNS上の影響力が顕著になってきている。

Leaf issue 30 by 2x4 Beijing office

 グリナー氏は現在、2015年に立ち上げた分散型メディア「LEAF」を運営。メッセージアプリ「ウィーチャット(WeChat)」のみで配信している。ファッションだけではなくアートから建築、カルチャー、社会に関する話題など幅広いジャンルをカバーし、読者の知的好奇心を刺激する情報を扱っているのが特徴だ。前職ではファッション雑誌のエディターとして常に流行に沿って読者の購買意欲を喚起してきたが、商品を買わせるためだけの誌面作りに嫌気が差したのだという。「大手のファッション雑誌はトレンドばかりを追いかけていますが、私たちは読者をインスパイアするようなストーリーを発信するべきだと考えています。どれだけ多くの人にリーチするかよりも、コンテンツの質に満足してもらうことの方が大切です」。

 情報発信のプラットフォームとして「ウィーチャット」を選んだのは、将来性のあるウェブ、特に影響力のあるSNSに可能性を感じたからだ。「ウィーチャット」は今年3月に月間のアクティブユーザー数が10億人を突破し、多くの国民にとって生活の一部となっている。「グッチ(GUCCI)」や「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」をはじめとするラグジュアリーブランドがECを開設するなど、ファッション界にとっても中国の巨大なマーケットとコネクトする重要なツールとなっているのは間違いない。

デジタル時代に紙を選ぶ理由

 一方で紙が消えた訳ではない。「LEAF」と同様に、トレンドとは距離を置く新たな雑誌も誕生している。多くのメディアがデジタルに活路を見出そうとする中、紙媒体にこだわり2017年に創刊したのが「Rouge FashionBook」。若いアーティストやフォトグラファー、デザイナーらに焦点を当てて年2回発行している。まるで写真集のようなボリュームのある誌面を構成するのは、芸術的なファッションフォトと読み込みたくなるコンテンツだ。編集長を務めるリリー・ チョウ(Lily Chou)氏は、最新トレンドを知るためだけの雑誌は不要と主張する。「私たちを支持してくれる読者は、少数ですがアートやファッションに対して造詣が深い人たちです。ファッションを通じてクリエイティビティを理解してくれる読者を、ゆっくり育てていきたいと考えています」。大衆をターゲットにするのではなく、ニッチでも深い関心を持つ読者が必要とする確かな情報を提供することが、変化の激しい中国で生き抜く最適な方法だと考える。

Rouge Fashionbook issue2 "Molecules" Photographer: Asger Carlsen

紙かウェブか、これからのメディア

 グリナー氏は中国のファッションメディアの未来について、従来のスタイルとは異なる新興メディアが台頭していくと予想する。中国の出版業界専門のリサーチ会社「Openbook」によると、2017年の書籍の売り上げが前年に比べ14.5%上昇したというデータを発表している。また書店の数も増えているという背景を踏まえ「読者が収集したくなるような、クリエイティビティの高いメディアが残っていくと思います。LEAFも近い将来、SNSと平行して雑誌作りを考えています」とし、オンラインメディアが伸びる一方で新しいスタイルの雑誌には可能性があると考える。

 これまで雑誌が主流だった大手ファッションメディアはウェブに注力するようになり、新興メディアが雑誌を作るという逆転現象も起きつつある。読者は嗜好に合ったコンテンツで媒体を選ぶことになるだろう。今後ウェブと雑誌の役割が、更に明確になっていきそうだ。

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