
©︎Disney
東京ディズニーリゾートには、子どもたちが憧れのディズニープリンセスになれる施設「ビビディ・バビディ・ブティック」(以下、ブティック)がある。ドレスに袖を通し、ヘアメイクを施され、鏡の前で初めてプリンセスになった自分と出会う⎯⎯。それは単なるコスチューム体験ではなく、自分を美しく整えることやなりたい自分を思い描く、人生で初めての「美の体験」になることも多い。
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2008年のオープン以来、数多くの"プリンセス"を送り出してきた同施設では、美容師資格を有するへアアンドメイクアップキャストが、子どもたちの憧れの体験を支えている。「ここで働くために美容師資格を取得した」と語る小林千里氏に、ブティックで生まれる特別な体験について聞いた。
ビビディ・バビディ・ブティック




©︎Disney
ディズニー映画「シンデレラ」に登場する魔法使い「フェアリー・ゴッドマザー」の弟子に扮したヘアアンドメイクアップキャストがヘアメイクやドレスアップをサポートし、子どもたちにプリンセスになる体験を提供する。対象年齢は3歳から小学6年生の子どもで、体験には事前予約が必要。東京ディズニーランド・ホテル店と、東京ディズニーランド・ワールドバザール店(パーク内)がある。主に4種類のメニューを用意。施術に使用されるコスメ、ティアラなどの髪飾り、ドレス、シューズ、サッシュなどは全て持ち帰ることができる。
「クラウンコース」(東京ディズニーランド・ホテル店のみ、約30分 9350円)⎯⎯ヘアメイク、メイクアップ、キッズ用マニキュアが含まれるコース
「キャリッジコース」(約45分 2万9150円〜)⎯⎯ドレス&シューズ、ヘアメイク、メイクアップ、キッズ用マニキュアが含まれるコース
「キャッスルコース」(約75分 3万7950円〜)⎯⎯ドレス&シューズ、ヘアメイク、メイクアップ、キッズ用マニキュア、カメラマンによる撮影が含まれるコース
「キングダムコース」(東京ディズニーランド・ワールドバザール店のみ、約85分 4万150円〜)⎯⎯ドレス&シューズ、ヘアメイク、メイクアップ、キッズ用マニキュア、カメラマンによる写真撮影、カメラマンによる家族写真撮影が含まれるコース
対応プリンセス(2店舗共通):シンデレラ、アリエル、ベル、ラプンツェル、アナ、エルサ
※すべて事前予約制
プリンセス体験がくれる、最初の美意識
ブティックでの体験は、単なるドレスアップではない。ディズニーの物語を通して、子どもたちに「きれいになりたい」、「こうなりたい」という感情が芽生えることも、この場所の魅力だ。
⎯⎯ブティックで初めてメイクを体験する子どもも多いのでしょうか?
たくさんいらっしゃいます。誕生日や入学、七五三などのお祝いで来てくださる方も多く、少し緊張した様子の子も多いですね。

©︎Disney
⎯⎯どのように"プリンセスの世界"に導いていくのでしょうか?
緊張の原因は、施術中に自分が何をされているのかわからない、ということにあると思っています。本来は「プリンセスになりたい」という強い思いを持ってきてくれているはずですし、お家ではとてもはしゃいでいたとご家族から聞くことも多いので、たくさんお話しして、完成への気持ちを高めていくことで自然と緊張を忘れるような接し方を心がけています。
⎯⎯具体的にはどんな工夫をされていますか?
目線を合わせて会話したり、常に人が寄り添っている環境作りはもちろん、物語を体験してもらうための工夫もしています。例えば「オーロラ」というプリンセスに変身中の子には、「このプリンセスは長い間眠っていたんだ。どうやって目覚めたか、目を閉じて考えてみて」とまぶたを閉じてもらい、アイシャドウを塗布する準備を整える。あくまでゲストには"メイク中"ではなく、物語を深く理解しながら、内面からプリンセスになっていく時間として過ごしてほしいです。
⎯⎯プリンセスになるには、外見だけではなく内面の準備も必要なんですね。
ここではドレスやメイクだけでなく、所作や心構えも伝えています。ディズニープリンセスの面々がもつ、内側からあふれる美しさを意識することも大切なポイント。外見を作って終わりではなく、その後の時間もプリンセスとして過ごしてもらえるようなお話をしています。
完成するまで、ゲストは自分の姿を"見ない"
子どもたちは完成するまで鏡を見ずに過ごす。その時間もまた、特別な体験の一部だ。ヘアセットやメイク、ドレスの準備が進む間、ゲストはこれから始まる物語の主人公として扱われる。仕上げに鏡の前に立った瞬間、初めてプリンセスになった自分と対面する。その演出には、驚きと感動をより大きくするための工夫が込められている。
⎯⎯キャラクターごとにヘアやメイクは決まっていますが、子どもたちの顔立ちはそれぞれですよね。どのようにプリンセスのイメージに近づけていくのでしょうか。
そうですね。プリンセスごとのメイクアップを踏襲しつつ、ゲストの顔立ちや気持ちに寄り添って臨機応変に対応します。基本的にはアイシャドウ、チーク、リップなどのポイントメイク、それから水溶性のマニキュアとネイルシールで仕上げます。

©︎Disney 施術で使用するオリジナルコスメ
⎯⎯オリジナルのアイテムを使用しているんですね。
すべてブティックオリジナルのコスメです。プリンセスによって使う色が異なりますが、これらのアイテムはすべてお持ち帰りいただけるので、お家に帰ってからまた再現してくださる方もいらっしゃるようです。
⎯⎯相手が子どもであるがゆえに、意識していることはありますか?
ブティックでは準備が整うまで、お子さま本人が自分の姿を目にしないようになっています。すべてが整ってはじめて、魔法の言葉とともに鏡を見る事ができます。プリンセスになった自分と対面するという流れです。

©︎Disney
⎯⎯初めてメイクを体験した子どもたちはどんな反応をしますか?
まさに息をのむような表情をされる子もいます。子どもにとって初めてということは、そのご家族にとっても初めてということ。ここで体験したことをずっと覚えていてくださる方も多く、成人してから改めて当時の写真を持ってきて見せてくれたこともありました。ここで生まれる感動は、長く心に残るのだと感じましたね。だからこそ、私たちの仕事はメイクアップを超えた感動体験を作ることでもある、という意識が高まります。

©︎Disney コースによって選べるドレス(中央を除く)
メイクアップの視点から見る、ディズニー作品の魅力
ブティックで行われるメイクアップは、キャラクターの姿を再現するためだけではない。ディズニープリンセスの物語や個性を理解し、その人物像に近づくためのプロセスでもある。キャストたちは映画作品を通してキャラクターの表情や雰囲気を読み取りながら、子どもたちが外見だけでなく内面からプリンセスになる体験を支えている。
⎯⎯プリンセスの魅力を表現するために、映画作品から学ぶことも多いのでしょうか?
今でも定期的に鑑賞しています。昔は物語にフォーカスして楽しんでいましたが、ヘアアンドメイクアップキャストになってからは、やはりプリンセスの顔に注目します。

©︎Disney
⎯⎯よりメイクの忠実度が増しそうですね。
もちろんメイクアップの参考にもしますが、それ以上に勉強になるのは"表情"です。強さ、優しさ、楽しさ、美しさなどプリンセスの個性によって強く現れる部分が違うので、表情に注目してみるとより各プリンセスの人柄がわかる気がしています。それがゲストとのコミュニケーション材料になったり、自分自身の技術力の向上につながったりするので、定期的な作品鑑賞は大切ですね。
⎯⎯「内面からプリンセスになる」という言葉がありましたが、それは映画作品から受ける影響が大きいのでしょうか。
作品から吸収するものは多いと思います。メイクアップでヴィジュアルを作るだけではなく、自分自身が作品を深く理解しお子さまに伝えることで、内面からプリンセスになってもらう手助けをする。このようなアプローチがあって初めて"魔法"が生まれるのではないでしょうか。

©︎Disney ブティックで撮影するフォト(コースにより内容は異なる)
大人になっても消えない"憧れ"
ブティックは子ども向けの施設だが、プリンセスに憧れる気持ちは年齢を問わず多くの人が抱くものだろう。メイクや装いを通して憧れの自分に近づこうとする感覚は、大人の美容にも通じる。キャストにとっても、子どもたちが体験する最初の変身の瞬間は、美への興味や自己表現の入り口になる大切な時間だ。
⎯⎯大人へのメイクとはどのような違いがありますか?
顔立ちや肌質が人によって違うという点は同じですが、ブティックでのメイクアップには"プリンセスになる"という目的があります。自分の好きな服を着たり、好きなメイクをするというより、外見も内面も含めて憧れのプリンセスに近づく、というところが大人のするメイクアップとは少し違う点でしょうか。
⎯⎯同ブティックは子ども向けのサービスのみですが、ディズニープリンセスに憧れている大人もいると思います。ブティックのキャストとして、そういった方々に、プリンセスになるためのアドバイスをお願いします。
プリンセスが特別な存在である理由は、内面の美しさにあると思っています。ブティックでは体験の最後に、プリンセスになったお子さまからサインをいただくのですが、そのカードには「フェアリー・ゴッドマザー」からのある言葉が書かれています。それはきっと、大人になってからも大切なメッセージなので、憧れのプリンセスに近づくヒントかもしれません。ぜひ心に留めていただきたいですね。

©︎Disney 体験の最後に渡されるカード

©︎Disney
◾️小林千里
東京ディズニーリゾートのヘアアンドメイクアップキャスト。高校生の頃に同職を志し、美容専門学校へ進学。美容師資格を取得後、美容室で経験を積んだのち、2017年から同ブティックに従事。"ディズニープリンセスになる"という体験を通して、訪れるゲストに唯一無二の価値を提供する。
⎯⎯どうしてヘアアンドメイクアップキャストになろうと?
幼い頃からディズニー映画やディズニープリンセスに憧れていましたが、当時ブティックはまだオープン前で、自分自身が体験することはなく…。オープンしたことを知ったとき、「プリンセスをつくる側ならば、今からでもなれるかも!」と奮起したのを覚えています。
⎯⎯その後すぐに面接を受けたのでしょうか?
ここで働く「ヘアアンドメイクアップキャスト」は、美容師資格が必須なので、まずは美容専門学校へ進学して、資格を取得するまではブティックの隣にあったお土産ショップで働いていました。
⎯⎯美容室とはまた違う場所ですが、どのようなモチベーションでゲストに接していますか?
ここは子どもたちが"魔法にかかる場所"。だから私たちはキャストではなく、小さなプリンセスの夢をかなえるフェアリーゴッドマザーの弟子として訪れる人とコミュニケーションをとっています。
photography cooperation :Tokyo Disneyland(R) | photography :Hikaru Nagumo, text&edit :Hikaru Kimura(FASHIONSNAP)
最終更新日:
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