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攻殻機動隊はなぜ人を惹きつけるのか 時代と世代を超えた魅力を探る

Image by: Zero Wang

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 東京・虎ノ門ヒルズ「東京ノード(TOKYO NODE)」で展覧会「攻殻機動隊展 Ghost and the Shell」が4月5日まで開催されている。「攻殻機動隊」の全アニメシリーズを横断する史上初の大規模展で、原画や設定資料、絵コンテなど、未公開資料を含む1600点以上の貴重な資料を公開しているほか、没入型インスタレーションやインタラクティブな体験型展示や、シリーズに影響を受けた現代アーティストやクリエイターとの共創によるインスタレーションなどを用意している。

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 「攻殻機動隊」は、「ジャパニメーションの傑作」や「サイバーパンクの金字塔」といった定型句だけでは説明がつかないほど、世界中の人々を惹きつけ続けている。登場から四半世紀以上が経っているにも関わらず、同作品が輝きを失わないのは何故か。

 FASHIONSNAPがプロデュースを手掛け、今回の展覧会場で販売している「ハトラ(HATRA)」「ティーエイチプロダクツ(th products)」「ベイシックス(BASICKS)」「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」とのコラボレーションをアイテムを紹介しながら、「攻殻機動隊」が今も支持を集め続ける理由を分析する。




Tシャツ(1万5400円)/ハトラ:1995年の押井版のタイトルロゴを、Albatro Designがリデザイン。情報の海を想起させる微細なドットを重ねることでタイポグラフィが光り、体から溢れ出すような視覚効果を与える。

 1989年に、士郎正宗が「ヤングマガジン海賊版」で連載を開始した原作漫画は、単なるSFアクションの枠を超えていた。その後、映画、テレビシリーズ、ネット配信などさまざまな形式で発表されたシリーズのアニメ作品のなかでも特に、1995年公開の押井守監督作「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」がクリエイターたちに与えた影響は大きい。ウォシャウスキー姉妹による「マトリックス」が、その核心部から視覚言語に至るまで本作を強く意識していることは有名で、ジェームズ・キャメロン監督は「驚異的な文学的・視覚的卓越性に達した、初の本格的な大人向けアニメーション」と最大級の賛辞を贈っている。





ジャカードセーター(4万1800円)、ジャカードドレス (5万5000円)/ハトラ:「ネットは広大だわ」というセリフが象徴的な押井版のラストシーンで無限に広がるネットワークと摩天楼が重なり合うランドスケープを色分解し、緻密な編み組織で再構成したニット。ブランケット(6万6000円)/ハトラ:キーヴィジュアルを色分解し、コンピューターの起源とも言われるジャカード織機によって、6色の原色糸を織り上げることで再構成した180 x 135cmの特大ジャカードタペストリー。

 作品の影響は映像表現の枠組みを超え、ファッションシーンにも深く浸透している。「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のアーティスティック・ディレクターであり、かつては「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を再興させたことでも知られるニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)は、同作に対して並々ならぬ情熱を注ぐ一人だ。彼は2018年に京都で開催されたルイ・ヴィトンのクルーズ・コレクションで、ショーのBGMに押井版の楽曲を採用した。






Tシャツ(5940円)、フーディー(9900円)/ティーエイチ プロダクツ:象徴的なタイトルロゴをフロントに精密に刺繍。背⾯にはブランドロゴを“synthetic dream” の⽂字の中に紛れ込ませた半ラバープリントを施した。

 より直接的に「衣服の機能性」という観点から強いリスペクトを表明しているのが、「アクロニウム(ACRONYM)」を率いるエロルソン・ヒュー(Errolson Hugh)だ。彼は原作者・士郎正宗による緻密なメカニックデザインや、義体化された身体を包む衣服の構造を高く評価していることに加え、2020年にフル3DCGで制作された「攻殻機動隊 SAC_2045」で劇中のジャケットデザインに参画。フィクションの世界を現実の服飾技術で形にするというコラボレーションを実現させた。



Tシャツ(1万2100円)/ティーエイチ プロダクツ:1990年代のサブカルチャーの雰囲気を感じさせるハーフトーンのドット処理を施したグラフィックを、フロント全⾯にシルクスクリーンでプリント。半ラバーインク特有のマットなタッチが、時を経たアーカイヴTシャツのような印象を生む。

 「攻殻機動隊」シリーズ全作品に通ずる魅力は、一言で言えばその圧倒的な「クールさ」にある。計算し尽くされた映像美と、その熱量を増幅させる音楽。草薙素子をはじめとする公安9課の面々が見せる、超人的な能力に裏打ちされたプロフェッショナルとしての「余裕」。



ビーニー (1万4300円)/ベイシックス:草薙素子のへアスタイルをイメージして毛足の長いファー素材でアレンジした、ブランドの定番アイテムのクマ耳ビーニー。ボディスーツ (2万8600円)/ベイシックス:草薙素子が作品内で着用しているボディスーツを再解釈。肌触りの良いベロア素材に刺繍を施している。

チャーム *3月販売開始予定

ビーニー (1万3200円)/ベイシックス:耳を二重構造にすることによってタチコマのカラーリングを再現したクマ耳ビーニー。チャーム(7700円)/ベイシックス:ベイシックスの視点で立体化したタチコマチャーム。ブランドを象徴するハートカラビナを組み合わせ、バッグやキーに個性を添える。

 そして、シリーズの最大の魅力して挙げられるのが、身体の一部、または全部を機械に代替した「義体」、脳をネットに直接接続する「電脳」、風景と一体化し姿を消す「光学迷彩」などのテクノロジー描写だろう。今となっては遠い未来の存在でもない数々のテクノロジーが、緻密な表現と溶け合い、唯一無二の説得力を放っている。驚くべきは、この物語の骨格が誕生したのが、インターネットがまだ一般的な存在ではなかった、1989年であるという事実だ。誕生から37年。ネットワーク社会が成熟しきった今、「攻殻機動隊」の世界観は色褪せるどころか、かつてないほどのリアリティを伴って私たちの前に立ち現れている。

キャップ(1万1000円)/ベイシックス:作品のタイトル「攻殻」の漢字刺繍をフロントに配したキャップ。背面にはブランドのシグネチャーであるハートマークを刺繍。

 「攻殻機動隊」の魅力は、単なる「未来予知の的中」だけではない。例えば、押井守が映画で描いた景色には、2026年の私たちが忘れてしまった「物質的な熱量」が宿っている。超高層ビルの足元に広がる、廃墟のような旧市街、濁った運河、そして血管のように垂れ下がる無数の配線。それはかつての香港・九龍城砦を彷彿とさせる、混沌とした美しさだ。首の後ろにある接続コネクタに、無骨な有線ケーブルを「ガチャリ」と差し込む描写も、ワイヤレス通信が当たり前となった今の視点で見れば、かえって鮮烈な印象を残す。



2月中旬販売開始予定商品

2月中旬販売開始予定商品



カットソー(各2万5300円)/コトハヨコザワ:ブランドが得意とする “日常の風景を切り取る視点” を軸に、劇中の都市に漂う気配や、身体と光が交わる瞬間を、独自の距離感で再構築したグラフィックトップス。

 過去から描かれた未来。アナログというフィルターを通したデジタル。そんな「ざらつき」の中にこそ、利便性だけでは測れない、このシリーズが放ち続ける普遍的なロマンが潜んでいる。ネットの海が広大であればあるほど、私たちはそこに、消えることのない自らの「ゴースト」の囁きを探し続けてしまうのかもしれない。



フーディー (4万6000円)/ハトラ:Albatro Designがリデザインした、1995年の押井版のタイトルロゴをあしらったフーディー。

model: mico, photography: Zero Wang | creative direction: Hideya Yokoi, text & edit: Koji Yamada, producer: Tomoya Sasaki (FASHIONSNAP)

最終更新日:

■攻殻機動隊展 Ghost and the Shell
会期:2026年1月30日(金)〜4月5日(日)
開館時間:月曜日 12:00〜18:00、火~木曜日 12:00〜21:00、金曜日 12:00〜18:00(イベントなどにより異なる)、土日祝 10:00〜21:00(最終入場は各日閉館30分前)
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C
所在地:東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F

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