
©Thomas Chéné
「エルメス(HERMÈS)」のビューティ部門を率いるクリエイティブ・ディレクター、グレゴリス・ピルピリス(Gregoris Pyrpylis)氏。2022年に同役職に就き、就任前から深く敬愛するエルメス ビューティの哲学、そして顧客への敬意と妥協なきモノづくりを胸に、メゾンの真髄を守りながら、新たな美の革新に挑んでいる。来日したピルピリス氏に、エルメス ビューティの真髄と、そこに込める想いを聞いた。
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◾️グレゴリス・ピルピリス(Gregoris Pyrpylis):「エルメス」ビューティ部門 クリエイティブ・ディレクター。ギリシャに生まれ、2012年よりパリに移住。トム・ペシューの第1アシスタントを務めた後、「SHISEIDO」などとの取り組みや、2015年には「ビオデルマ(BIODERMA)」のスポークスパーソンに就任し活動。そのほか、セレブリティのメイクアップなども手掛けてきた。2022年から現職。
⎯⎯ 2020年にローンチしたエルメス ビューティに、2年後の2022年に現職として関わることになりました。就任前、エルメス ビューティの印象はどうでしたか?
顧客への深い敬意に満ちたその哲学に、強く心を惹かれました。特に、一度に全てのアイテムをローンチせず、一つひとつ丁寧に発表していく姿勢に、製品への揺るぎない信念と、長く愛用してもらいたいという敬意を感じました。色、テクスチャー、オブジェ、リフィル可能である点に感銘を受けたのです。通常はどちらかが疎かになりがちなフォーミュラとオブジェの双方において妥協のないことは、まさにエルメスの真髄であると確信していました。
⎯⎯ そんなエルメス ビューティのクリエイティブ・ディレクターに就任した時の思いを教えてください。
そのクリエイションへの真摯に向き合うことは、私自身に通じることがあったからこそ、この職に就いたのです。私がエルメスにジョインしたのが2022年末。それまで20年間のメイクアップアーティストとしての経験を活かし、エルメスビューティ部門を統率していくことが使命なのだと感じたのです。製品の質の高さやジェスチャー(仕草)、クラフトマンシップを通じたストーリーテリングの重要性を認識していることはもちろん、私自身の内側にある想いが、エルメスの方向性と深く合致し、そしてそれを表現していくことが大切だと思いました。
⎯⎯ ファッションのクリエイティブ・ディレクターとも連携を取り合っているのでしょうか?
もちろん、ウィメンズ・メンズ部門のクリエイティブ・ディレクターとコラボレーションしながら、シナジーを生み出していきたいと思っています。私自身はエルメスに、何かを変えるために入ったわけではありません。より真髄を追求し、そしてさらにコレクションに想いを込めて創造する。分かりやすくする、ということではなく、使い方や色のセレクトなどを伝え、お客さまに感謝されるような提案をしていきたいと考えています。
⎯⎯ 今ここに並んでいるのは今春誕生した「ルージュ ブリヤン シルキー」です。この中で、特別に好きな色を教えていただけませんか?また付け方に迷う日本人にアドバイスをお願いします。
好きなアイテムは多岐にわたりますが、今回は「ルージュ ブリヤン シルキー」の「ルージュ・ブリック」を挙げたいです。これは赤レンガのような色で、非常に自然な発色が特徴です。一度塗りでは自然な血色を、重ね塗りすることでより鮮やかな赤みを帯び、ボールドな印象になります。また、指でなじませることで、自身の唇の色を引き立てるような、さらに自然でエレガントな仕上がりを楽しめる点が魅力です。難しいと思われがちな赤なのですが、使い方次第で、誰にでも似合うカラーだと思います。

⎯⎯ 今後、どんなアイテムが出てくるか楽しみです。何かヒントをもらえますか?
もちろん、今後も多くの製品を開発する計画で、必要なものは既に準備をしています。エルメスのアプローチは、マーケティングプランがあるわけでもなく、トレンドセッターやアドバイザーになりたいわけでもありません。純粋でオーガニックな美への探求です。まだローンチしていない製品も、準備が整えば出てくるでしょう。確固たる意図とエルメスらしさを確立するために時間をかけて開発しています。最高の成分と高貴な素材を用い一体となり、「これがエルメスだ」と感じられる完璧な製品を目指します。
(聞き手・文:福崎明子)
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