「H&M」が、3月18日パリのルーヴル宮殿内にある装飾技術美術館(Musée des Arts Décoratifs)で「コンシャス・エクスクルーシヴコレクション(Conscious Excluseive collection)」の新作発表会を開催しました。同コレクションは、環境に配慮した持続可能な素材を使用すると同時にファッション性を追求した今年5年目を迎えるH&Mのハイエンドラインです。過去3世紀にわたる絵画や美術品のアーカイブからインスパイアを受け、今回初となるウェディングドレス3点を含む約40ピースが展開されます。4月7日の発売(国内では渋谷店限定販売)に先駆け、メディアに特別に公開されたコレクションのプレビューを中心に、H&Mのサステナブルファッションへの取り組みをレポートします。

コレクションの役割とH&Mがサステナブルに取り組む理由
世界中から集まった約100名のエディターやジャーナリストはまず、ルーブル美術館のチュイルリー庭園にほど近いウェスティンホテルに招かれました。ルネサンス様式の荘厳華麗なホールを会場に「コンシャス・エクスクルーシヴコレクション」のプレスカンファレンスが幕開けです。
カンファレンスではまず、H&Mのサステナブル責任者アナ・ゲタ(Anna Gedda)が、サステナビリティの観点からコレクションについてのプレゼンテーションが行われました。
H&Mでは90年代からオーガニックコットンを使用し、今では世界で最もオーガニックコットンとリサイクルポリエステルを使用する企業に成長。2015年、H&Mで使用したコットンの31%はオーガニック素材とのことで(前年比10%増)、2020年までにこの数値を100%にすることを目標に掲げているそうです。
コンシャスコレクションの取り組みについてアナは「H&Mにとって革新的な技術や素材を試すことができる良い機会。このコレクションで蓄積したノウハウを、将来的には通常ラインにも取り入れていきたい」と、ブランドにとって長期的な意味を持つことを説明します。
また、去年設立された衣料品リサイクル促進のアイデアを募るプロジェクト「グローバルチェンジアワード(Global Change Award)」の実施や、製造国における労働環境に対する取り組みが報告され「H&Mは巨大アパレル企業として環境や人、ファッション産業に対し果たすべき責任があると同時に『変化』を生み出すことできる立場にある。私たちがイニシアチブをとってサステナブルファッションを実現していきたい」と決意を明らかにしました。
その後、パーソンズ美術大学元ファッション学部長のサイモン・コリンズ(Simon Collins)をモデレーターに、エコファションブランド「Loomstate」共同創業者スコット・マッキンレー・ハーン(Scott Mackinlay-Hahn)、ファッションコンサルタントのジュリー・ギルハート(Julie Gilhart)、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション研究所サステナブルファッション学教授のディリーズ・ウィリアムズ(Dilys Williams)とアナ・ゲタのサステナブルファッションに精通するエキスパート5名によるパネルディスカッションが行われました。雇用や消費サイクル、ファッションシステムの歪みなどファッション産業が抱える問題点にどのようにアプローチしていくか、会場からの質問も交えて熱い議論が繰り広げられました。
メインイベント会場へ
ここで第一部が終了し、会場はホテルから装飾技術美術館へ。今回のメインイベントとなるコレクションのプレビューが開催されました。コレクションピースだけではなく、デザインの工程やH&Mのサステナブルへの取り組み、環境にやさしい素材など、4つの部屋に渡って展示されました。