柴咲コウ
Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】女優から実業家へ、柴咲コウがファッションブランドで表現したもの

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 今年で芸能活動20周年を迎える柴咲コウが、自身初のファッションブランド「ミ ヴァコンス(MES VACANCES)」を立ち上げた。女優や歌手、エンタメ・コマース事業を行うレトロワグラースのCEOなど、様々な顔を持つ柴咲にブランド立ち上げの経緯や服作りへの思いを聞いた。

 

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「肌に優しい服を」立ち上げの背景

ー女優や歌手として活動されていますが、なぜファッションブランドを立ち上げたのでしょうか?

 芸能活動20周年を迎え、これまでたくさんの人や作品に出会い、クリエイターとして様々な物作りに関わってきたので、これからはまた違う手法でクリエイター視点の物作りをしていきたいと思いました。

 また、19歳の時に乳がんが原因で母親を亡くしたことも一つの大きなきっかけになっています。「何が原因だったのか」「何が悪かったのか」と考えて、行きついたのが「衣・食・住」。先月は化学調味料不使用のレトルト食品ブランドをリリースしたので、「衣」の部分で消費者としてただ買うだけではなく、提案する側になりたいと考えました。

―いつ頃から構想があったのでしょうか?

 以前からファッションブランドを立ち上げたいという思いは自分の中にありましたが、会社を設立してしっかり事業計画を作ってからと決めていたので、このタイミングになりました。ブランドでは企画からデザイン、販売まで全てプロデュースを手掛けています。

ーブランド名は「ミ ヴァコンス(MES VACANCES)」。由来は?

 「ミヴァコンス」はフランス語で「私の休日」を意味しています。「旅をするように暮らす、暮らすように旅をする」がアイテムのキーワードなので
、海外へ行くロングバケーションや一生の中の"精神的な旅"をイメージして名付けました。

ーメインターゲットは?

 ファッションや自然保護に関心が高い大人の女性です。大きく捉えると20代〜40代。自分もそうでしたが、若い頃はデザイン重視で服を選んでいました。30代になると、より良質なものやひとつのものを愛着を持って使うようになる。人生観が変化するようにファッションに対する意識も変わってくるので、そういった方々に受け入れてもらえたらと思います。

記者会見で発表したエコファーを使ったコート

―デビューコレクションのアイテムの特徴を教えてください。

 奇抜なものではなく、色々なアイテムと合わせられる着回し力が高いアイテムを40型前後揃えています。何かを見て刺激を受けてデザインに落とし込んだというよりは、仕事柄移動が多い生活を送っているということもあり、自分の中で「着心地が良いものがあればいいな」と日々感じていたものを形にしました。素材にはプレオーガニックコットンといった天然繊維やエコファーなどを使っています。

―素材へのこだわりが伺えます。

 私自身が化学繊維を身に着けたことで肌荒れを起こしてしまった経験があったので、肌に優しい服を作りたいという思いがありました。あとは、個人的なことなのですが、東京で生まれ育ったので小さい頃から自然に対して憧れがあって。生活環境や自然環境にも配慮した「着る人に優しい服」をブランドコンセプトにしているので、原料や生産背景、着心地には特にこだわっています。

ロゴTシャツ

ー着心地の良さは重要な要素ですよね。

 「着心地の良い服」といっても好みは様々だと思うので難しい部分もあります。もちろん自分自身の好みも反映していますが、それを基盤にして色々な意見を取り入れながら変化させていきたいですね。

ー周りの意見も反映していく。

 こういう仕事をしながら意外と流行をあまり気にしないので「今の流行はこうなんです」と言われて初めて知ることもあるんです(笑)。なので人の意見は聞くようにしています。

ースタッフは何人程度いるのでしょうか。

 業務提携で「カーサフライン(CASA FLINE)」さんと一緒に共同でチームとしてやっているので多くの方にご協力いただいていますが、商品企画は3〜4人で行っています。

ー新作は今後どういったペースで発表していきますか?

 春夏と秋冬、年2回のコレクションとして展開していく予定です。

―ファッションショーは視野に入れていますか?

 ショーはスタンダードな服だとなかなか映えないんじゃないかという思いもありますが、今後の展開次第ですね。まずは実際に触れて価値を知ってもらいたいので、展示会はなるベく開催する方向で考えています。

ー最初はオンライン販売のみですが、店舗での取り扱い予定は?

 10月25日からカーサフライン表参道店で初のポップアップを開催します。セレクトショップや百貨店さんにも置いてもらえたらとは思うのですが、私の考えに共感して頂ける方たちと取り組んでいきたいですね。

3wayハット

女優、歌手、そして実業家として

ー芸能界でファッションブランドを手掛けている方は少なくないですが、そういった影響は受けましたか?

 業界の垣根を超えた取り組みを行う方が多いことは素晴らしいと思います。芸能活動自体もそうなんですけど、14歳でスカウトされた時は芸能界に全く興味がなかったんですよね。まさかそちら側の人間になるとは当時は思いもしなかったんですが、経済的な理由でこの業界に入ったんです。今回のファッションブランドの立ち上げも「みんながやっているから」という憧れからではなくて、私がやるべき使命があると思ったからです。

ー女優や歌手としての活動と服をデザインすることに共通点はありましたか?

 いわゆるクリエイターとして、モノ作りするということに関しては同じなんですよね。「欲しい」と感じたものを作る点において、与えられた役に対してどうやって自分が活かせるのか考えながら発信したり、自分で作詞をして自分の声で表現することは似ている部分かなと思います。

ーブランドを立ち上げるまでの道のりで苦労した点は?

 持続可能な社会を目指し、環境負荷を限りなくゼロにすることを目指しているブランドなので、初めのうちから細かいことを気にしていくとキリがないんですよ。どこまで取り入れて、どこから今後の課題にするか、という悩みは常にありますね。全部が勉強になっています。

ー持続可能な服作りやリアルファーの廃止など、自然環境に配慮する動きは広がっていますね。

 大手企業さんにも取り組んでいただいて、もっと広まるといいですよね。服やアクセサリーを買うことに当たり前のように地球環境の保全がついてまわるような考え方に、皆がなって欲しいです。

ー女優、歌手、CEO、そして「ミ ヴァコンス」のプロデューサーを兼ねた生活は、さらに多忙を極めそうですが。

 とにかく動きまくる。頭もフル回転だし(笑)。でも人には出来る時期と出来ない時期がある。私は「今は種を蒔く時期だ」とか「収穫しなきゃいけない時期だ」といったバイオリズムに則って生きているので、今は「収穫の時期」だと思っています。

ー今後新たに挑戦したいことはありますか?

 「衣」と「食」に続いて、「住」の部分についても色々協議を重ねていきたいですね。

ー最後に、柴咲さんにとってファッションとは?

 私にとっては「着ること」「食べること」「寝ること」は三位一体であって自然なことですが、ファッションはこの3つの中で社会を一番意識する手段だと思います。一人だったら裸でもいいじゃないですか(笑)。人と会うからお洋服を着る。服を着ることは"社会向きの顔"に欠かせないもの。人間にとって人や社会は無くてはならないものなので、その糸口ですね。

柴咲コウ
1981年東京都出身。1998年に芸能界デビューし、今年で活動20周年を迎える。女優や歌手として活動する傍ら、2016年にはエンタメ・コマース事業を行うレトロワグラース株式会社を設立。2018年7月には環境省より「環境特別広報大使」に任命された。

■ポップアップストア概要
期間:2018年10月25日(木)〜11月4日(日)
会場:CASA FLINE 表参道本店
住所:東京都渋谷区神宮前4-15-4
MES VACANCES:公式オンラインストア

(聞き手:長岡史織)

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