長谷川ミラとマリウス葉がオート・プロヴァンスのロクシタンを訪問 心に響いたウェルビーイング(長谷川ミラ編)

Image by: ロクシタン

Image by: ロクシタン

長谷川ミラとマリウス葉がオート・プロヴァンスのロクシタンを訪問 心に響いたウェルビーイング(長谷川ミラ編)

Image by: ロクシタン

 サステナビリティへの意識が高いZ世代の長谷川ミラさんとマリウス葉さんが、「ロクシタン(L'OCCITANE)」が誕生した南フランスのオート・プロヴァンスを訪問。来年、メゾン創設50周年を迎えるロクシタンは、創設当初から、自然の力で心身を満たし、芸術のようにライフスタイルを彩る製品を届けながら、地球を守る活動も続けている。長谷川さんが、メゾンの起源でもあるオート・プロヴァンスで、ウェルビーイングの真髄に触れる。

ロクシタンが手がける5つ星ホテル「ル クヴォン デ ミニム」で叶える心の安らぎ 

  今回、ミラさんが滞在した、ロクシタンが南仏オート・プロヴァンスのマーヌで運営する5つ星ホテル 「ル クヴォン デ ミニム」。南フランスののどかな田園風景と爽やかな風を感じられる、ラグジュアリーなホテルです。フランス全土から、また欧米からも、夏の暑さを逃れられ、静かに自分を見つめ直すこともできる、このル クヴォン デ ミニムに大勢が集まります。

 ル クヴォン デ ミニムは、1613年に建てられた修道院を発祥とし、2024年にロクシタンが大切にしている持続可能な開発という信念に基づき改装オープンしました。約700平方メートルの敷地内には、修道院の面影を残すステンドグラスや、アール・デコ調の様式が随所に見られます。客室はゆったりとしていて、朝日が差し込む中で、ヨガなどを堪能できます。ホテル内にあるミシュランガイドに掲載にもされているレストランでは、鳥のさえずりなどを聞きながら、朝食やランチ、ディナーを楽しむことができ、まさに自然と“一体”になれます。

世界初エコサート認証取得のウェルビーング施設「ロクシタン アン プロヴァンス スパ」を体験

 修道院を改装したこのラグジュアリーホテル、ル クヴォン デ ミニムで、特筆すべきは、スパとして世界初となるエコサート認証を取得した「ロクシタン アン プロヴァンス スパ」です。同認証ラベルは、製品、サービス、設備、そして経営において人と地球に配慮した環境保護のアプローチに取り組んでいる施設を認定するものです。今回の認証取得プロジェクトに向けては、ル クヴォン デ ミニムのスパ・チーム、エコサートの専門家たち、そして国際的なロクシタンスパ・チームが協力し、数か月にわたり取り組み、2024年12月に完了、2025年初めに認証取得が実現しました。

 ロクシタンがウェルビーイングの理念とする、“セルフケア”、“人と人とのつながり”、“自然との共生”を一体化した、ホリスティックな体験がそこにあります。

衣装:MATERAS

 認証では、このスパで使用する、原料、そして調達、さらにスパでの製品の使用まで、サプライチェーンのあらゆる段階で認められ、エコサートの ”Sustainable Well-being Center”ラベルを取得しました。それによりロクシタンとスパは、本格的かつ意欲的な環境・社会的実践への移行を推進して体系的に進めることができるようになり、持続可能な未来に向けた取り組みの模範として、業界内外に発信しています。

 具体的には、スパトリートメントでは、豊富な天然原料を含むロクシタン製品(一部オーガニック認証取得済み)を使用しています。スタッフは環境への影響を減らすための水・エネルギー管理に関する社内啓発を受け、施設全体では室内やプールの冷暖房に地熱エネルギーを活用。この環境フットプリントを削減する革新的アプローチは、ロクシタンの持続可能な開発戦略の本質を具現化しています。

 ロクシタンは、ウェルビーイングと持続可能性は切り話せないと考え、単なるコミットメントにとどまらず、あらゆる行動の指針となる根本的な哲学であるとしています。ロクシタン アン プロヴァンス スパのエコサート認証の取得は、常に要求を上回る成果を上げ、学び続け、スパのネットワーク全体にこれらの新しい実践を広めたいというロクシタンの意欲を示すものです。このスパでの施術は、地球や人を思いやる心を形にした、至極の体験の提供なのです。

ロクシタンと農家の共生関係 アーモンド&ラベンダーフィールドを訪ねて

 衣装:トップス、パンツともに、Sea Green

 ロクシタンの創設者・オリビエ・ボーサン氏は、2000年代に農夫・ジャン=ピエール・ジョベール氏とともにアーモンドの木を植え、アーモンド栽培を復活。近年はロクシタンの9人の技術者と農家が一緒に取り組む、アグロエコロジー(農業生態学)を取り入れています生態系の原理を農業に応用し、持続可能な食料生産を目指していて、単に環境に優しい農法というだけでなく、社会や文化的な側面も重視し、地域社会の活性化や食料主権にも貢献しているという。生態系を崩さない農法を活用する広大に広がるアーモンドフィールドでは、蝉や鈴虫といった虫の鳴き声、鳥のさえずりなど、さまざまな“音”を感じ取れます。

 ラベンダーフィールドに広がるのは、リラクシング効果の高い香り成分が多く含まれているとして知られる「真正ラベンダー」。これは標高600~1700メートルに成長します。ここに広がる農場は標高1000m地点に位置し、この環境がラベンダーの成長には最適です。乾燥した石灰岩土壌に適した真正ラベンダー。提携する農園の中には、認定種子から温室育成した苗を使用し、蒸留所を開設して種の発芽から精油抽出まで一貫管理しているところもあります。

 伝統的手法と有機的農法を組み合わせ、化学物質より機械除草を優先。病気対策として雑草保存や、地元養蜂家と協力したミツバチ導入で自然な受粉と品種混合を促進しているのが特徴です。家族経営の農園が多く、ラベンダーを通じて土地と人々の“物語”を次世代へ継承しています。ロクシタンは2000年代から協業し、一緒にラベンダーの育成に力を入れています。

 さまざまな条件をクリアしたエッセンシャルオイルが得られるA.O.P.認定。この認定には、プロヴァンスの指定地区での栽培、一定標高での生産、特定の収穫方法の採用、そして厳格な解析・香り基準の達成が必要です。こうした条件が高品質エッセンシャルオイルを保証し、この土地の特異性を守ることに貢献しています。

植物の力を引き出す、“攻める”ロクシタンの研究

「イモーテル オーバーナイトリセットセラム」(30mL 9790円、50mL 1万4630円)

 ロクシタンの研究施設には200人以上の科学者が在籍し、生物学、処方、農業生態学などの専門知識を結集させています。一般的なロクシタンの「肌にやさしい」製品というイメージだけでなく、ロクシタンは「効く」製品づくりにもこだわっていますが、それはホリスティックなアプローチを通じて植物の力を最大限に活かすという哲学に基づいています。

 特に注目すべき成果のひとつが、南仏コルシカ島原産の永久花・イモーテルの研究です。2001年に創設者・オリビエ氏がイモーテルエッセンシャルを研究所に持ち帰ったことから始まり、この植物の強い再生力をスキンケアに活用する可能性を探求してきました。さらに、サステナビリティへの配慮から野生のイモーテルをオーガニック栽培する挑戦も行ったのです。

 研究チームは水蒸気蒸留抽出、超臨界抽出、マイクロウェーブを使った抽出、溶液を使った抽出など、さまざまな方法を試行錯誤しながら植物の可能性を分析しています。その結果、エッセンシャルオイル蒸留後のイモーテルをアップサイクルした「イモーテルコアエキス」を発見。このエキスはレチノールに似た働きを、自然由来成分として幅広い人に使用できる特徴を持っています。20年以上研究を続けても新たな発見があるイモーテルは、科学者たちを驚かせ続ける「天才的な花」だということが語られました。

Interview with Mila Hasegawa

⎯⎯アーモンド、ラベンダー農園を訪問しましたが、どのような印象を持ちましたか?
 直接訪問して話を聞く機会は非常に興味深かったです。ロクシタンの管理・経営者の責任と、実際に農業を営む方々のパーソナルストーリーに触れることができ、とても勉強になりました。
⎯⎯特に印象に残った話は何でしたか?
 なぜ農家になったのか、どのような思いでラベンダーを育てているのかという生産者の方々の想いや、両農園共通して言えますが、ロクシタンとの協業により、「守るものは守りながら新しい技術を取り入れている」という姿勢も素晴らしいですよね。またラベンダー農園のご夫婦が「まだ私たちはできる」という前向きな姿勢を示していたのが印象的でした。現状のベストな方法に満足せず、常にアップグレードし進化し続ける姿勢です。
⎯⎯今の時代にとても貴重な話だったと思います。
 現代は大手企業間の技術力の差が縮まり、どの会社も高い研究開発力を持っています。ドラッグストアの製品も含め、多くの化粧品が基本的な品質基準を超えていますよね。そのため、個人の肌との相性以外に、ブランドのストーリーや共感できる価値観が選択基準として非常に重要になっていると感じました。
⎯⎯ロクシタンの印象について、オート・プロヴァンスを訪れる前と違いはありますか?
 以前は「肌に優しいナチュラルなブランド」というイメージしか持っていませんでしたが、今回の訪問で、ロクシタンが先進的な研究開発に積極的に取り組んでいることが印象的でした。特筆すべきは、この研究が単なる実験室内の活動にとどまらず、農園との密接な連携によって植物を大切に扱いながら進められていることです。このような一貫した取り組みは非常に稀少であり、通常は製造、組立、販売などが別々の企業によって担われる中、ロクシタンが自社で統合的に行っている姿勢は、多くの企業が理想としながらも実現が難しい取り組みだと感じました。
⎯⎯ロクシタンの一貫した事業モデルについてどう感じましたか?
 創設者・オリビエ氏の「良いものを作り届けたい」という思いや、取材中に聞いたエピソードから、直接お会いしていなくても人柄が想像できる旅でした。
⎯⎯ブランドの本質についてはいかがでしょうか?
 結局のところ、ビジネスは「人」と「人」の関係であり、製品も「人が作るもの」だということを強く感じました。AIが進化している時代においても、やはり最終的には人が重要だということを再確認しました。
⎯⎯サステナビリティについてロクシタンから学んだことは?
 サステナビリティへの取り組みは、企業の規模や歴史に関わらず、今からでも十分に始められるものです。とはいえ、ロクシタンは50年前の創設時から持続可能性を重視していて、例えばラベンダー畑では20年前から有機的取り組みを実践していました。これは日本が環境問題やサステナビリティに本格的に取り組み始めるずっと前の話です。
⎯⎯今回の体験から消費者としての気づきは。
 知ることの大切さを実感しました。私は何かを購入する時にブランドの背景を調べる習慣があるのですが、今回の経験でさらにその重要性を感じました。企業背景を知ることで消費行動が変わるかもしれません。例えば「渋谷に行くならロクシタンショップに立ち寄ってみよう」といった小さな変化が生まれると嬉しいな、と思います。
⎯⎯ 改めて今回の旅はいかがでしたか?
 ロクシタンというブランドがサステナビリティに力を入れている、という知識としては知っていたものの、実際に見ることで多くの気づきがあり、自分自身の考え方を見直すきっかけにもなりました。また、この体験が特別なものであることも認識していますが、大切なのはこういった本質的な取り組みを多くの人、自分と同じ世代に知ってもらうことが重要で、発信を続けていきたいと思います。

長谷川ミラ | Mila Hasegawa 1997年7月7日生まれ。南アフリカと日本のミックス。ラジオ番組「J-WAVE STARTLINE 」ナビゲーター。そのほかポッドキャスト番組「UNDERDOG in Tokyo」、「Tokyo Young Boss」のプロデューサー・MCを務めるほか、映画プロデューサーや企業クリエイティブも行う。株式会社jam、コミュニティカフェ「um」代表。

text & edit: Akiko Fukuzaki, casting: Takashi Sasai, project management: Takako Toboku (FASHIONSNAP)

最終更新日: