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毎シーズン1000型を製作 北欧キッズブランド「モロ」CEOに聞く子ども視点のデザイン哲学

男性の全身ショット

モーンス・イェプセンCEO

Image by: FASHIONSNAP

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モーンス・イェプセンCEO

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モーンス・イェプセンCEO

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 動物や花柄、お菓子、乗り物、スマイルマークといったモチーフはベビー&キッズ服では定番だが、デンマーク発のブランド「モロ(Molo)」は少し違う。リアルな恐竜や宇宙人、エイリアン、某著名人が存在するピクセルアートといった、少しユニークなデザインも提案。アイテムバリエーションは毎シーズン1000型規模に及ぶ。子どもたちの視点に立ったカラフルで想像力豊かなクリエイションはどこにあるのか。渋谷の複合型施設「ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)」でのポップアップ出店に伴い来日した創業者モーンス・イェプセン(Mogens Jepsen)CEOへの取材から紐解く。

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■モーンス・イェプセン
1963年、デンマークの田舎町生まれ。大手ファッション企業でリテールマネージャーおよびディレクターを歴任。2003年にデンマーク・コペンハーゲンでキッズウェアブランド「モロ(Molo)」を設立。当時の子ども服に欠けていた色彩や想像力、個性を表現することを掲げ、小さなアパートの一室からブランドをスタートした。農場の豊かな自然の中で育った経験から、資源への敬意や機能性へのこだわりをもの作りの根幹に置く。現在はベビーから16歳向けまで、世界的に展開するライフスタイルブランドへと成長。プライベートでは、31歳の長女、21歳の次女、18歳の長男の父でもある。

ブランド誕生は“クビ宣告”がきっかけに

⎯⎯モロはどのようにして誕生したのでしょうか。

 私はもともと、某大手グループのデンマーク市場で2000人のスタッフを率いる立場でした。しかし、ボスが気難しい人でね。揉めてしまった結果、クビになりました。今後何をしていこうか迷っていた時に、一緒にビジネスを始めたパートナーが言ったんです。「あなたは自分のビジネスを始めるべきよ」と。次の日にはブランドを始めていましたね。パートナーはもともとデザイナーをしていたので、一緒にモロを作りました。

ルック
ルック
ルック

Image by: Molo

⎯⎯(笑)。すごいスピード感ですね。ブランド名の由来は?

 私の名前「モーンス」の「MO」と、パートナー「ルイーズ」の「LO」を組み合わせています。「molo」はフランス語のスラングで「Take it easy, be cool(気楽に、クールにいこう)」という意味もあるんですよ。

⎯⎯毎シーズン1000型という膨大なアイテムを作っています。

 キッズブランドを作ることにしたのも、その当時、欲しいキッズ服がなかったからなんです。妻の目から見ると、ハイブランドもローブランドも、どれも同じように見えた。だからこそ、私たちは子どもたちが本当に好きなものを見つけられるブランドを作りたかった。子どもたちが自ら着たい服を選べるようにどうしたらいいか。そして世界中の百貨店やブティックのバイヤーさんたちが他のお店と被らないように商品を選べるように突き詰めていった結果、1000型ものバリエーションが生まれたのです。最初は2〜9歳を対象にしていましたが、スタッフに子どもが生まれた時に作ったベビー服をきっかけにベビーラインも展開しています。

⎯⎯コレクションはどのような体制で作っていますか。

 8人のデザイナーが作っています。それぞれで得意であったり好きなテイストが異なるので、デザインが絶対に被らないんです。プリントデザイナーの一人はエアブラシを追求するために車のディテーラーに行って学んだり、妥協のないものづくりをしてくれていますね。

アイテムのラック
アイテムのラック
アイテムのラック
アイテムのラック

Image by: FASHIONSNAP

⎯⎯スイムウェアやスキーウェアも手掛けるなど幅広い商材を扱っていますが、自社工場は構えていますか。

 自社工場はありませんが、私たちには20社ほどの強いパートナーがいます。商材が幅広く、一つの工場でこれだけの商材は作れないので、それぞれの得意分野に応じて工場を使い分けています。なかには前職時代からのつながりもあります。彼らは私がピンチの時に経済的に助けてくれました。

ルック
ルック
ルック

Image by: Molo

スキーウェアはプレイウェア(公園着)としても着られるように、外気の侵入を防ぎつつ、衣服内の空気循環を最適化することで、蒸れや汗冷えを感じさせない防寒構造になっている。リアルな動物柄のデザインもモロならでは。

⎯⎯サステナビリティに配慮したものづくりも徹底しています。

 私は農場の家族で生まれ育ったので、マザーネイチャー(自然界の力や作用、恵み)の尊厳についてたくさん教わってきました。だからこそ、買ってすぐに捨てられてしまうようなものではなく、長く着てもらい、次の世代へ受け継がれていくような服を作りたいと思ったのです。ブランド立ち上げ当初からそういったヴィジョンはあったのですが、当時はサステナビリティという概念がそもそも存在していませんでした。世界の二酸化炭素排出量の10%はファッション業界からです。だからこそ、私たちはこの業界で“正しい活動”をする責任があります。そうでないと「明日」はない。

 本当のサステナブルは一人ひとりが選択したことに責任を持つことなんです。ですから最近、私たちは「サステナブル」という言葉の代わりに「レスポンシブル(責任感を持つ)」という言葉を使っています。毎日仕事に向かう中で、どうすれば最も責任ある選択ができるかを考え続ける。それが私たちの姿勢です。

⎯⎯具体的にはどのような取り組みをされているのですか。

 約17年前、私たちは業界に先駆けて、アウターウェアの撥水加工に使われる有害なフッ素化合物(C6)の使用をやめました。当時は大変な道のりでしたが、子どもたちの未来を考えれば当然のことでした。また、15年前からオーガニックコットンの採用を始め、今では製品の80%以上のアイテムがGOTS、OCS、GRS、エコテックス(OEKO-TEX®︎)、レンチング・エコヴェロ(LENZING™ECOVERO™)のいずれかの認証を取得しています。これは、原料の栽培から工場で働く人々の労働環境まで、サプライチェーン全体が責任ある方法で管理されていることの証明です。パートナー工場もすべてサステナビリティマーケットにおける何かしらの指標をクリアしているところと提携しています。今では一部にサステナ素材を取り入れている企業は多いですが、プロセスごとでサプライヤーを使い分け、極力環境負荷のないものづくりを始めたのはモロだと言っても過言ではないと思っています。

**Ecocert Greenlifeより認証取得(ライセンス番号:197496)

⎯⎯デザインにはカラフルな色合いが使われています。

 色合いが薄いとサステナブルなものづくりをしやすいのは確かですが、私たちは子どもたちが好きな柄を届けることがコンセプトなので、やはり鮮やかな色も作りたい。サステナビリティに配慮しながらそれも達成できているということにプライドを持っています。

ピクセルアートのシャツ
ピクセルアートのシャツ

ピクセルアートのTシャツ。よく見ると著名人が随所に登場している。あのスター選手も。 Image by: FASHIONSNAP

日本は3〜4年後にキッズ・ベビーの大きなマーケットになる

⎯⎯このタイミングで日本市場を強化する理由を教えてください。

 私は1989年に初めて日本を訪れて、一目惚れしました。建築、ミニマリズムといったデンマークと共通する価値観もあれば、まったく違う文化もあり、来るたびに魅了されます。

 ビジネスとしては、以前は香港の代理店に一任していましたが、コロナ禍が明けてからはアジア各国で代理店契約をする方法に変更し、日本でも縁があってこのタイミングで強化していくことになりました。日本のマーケットには大きなポテンシャルを感じています。

ポップアップの様子
ポップアップの様子

今年3月には渋谷・ミヤシタパークでポップアップを開催

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⎯⎯モーンス氏にとって日本市場の印象は?

 日本のビジネスにおいて難しいのは、顧客との深い関係性を築き上げるプロセスそのものです。日本のバイヤーは非常に保守的で、過去の売上実績が良くても悪くても、長年付き合いのあるブランドを使い続ける傾向があります。この強固な信頼関係の中に、新しいブランドが割って入るのは至難の業です。

 だからこそ、私は過去に何度も日本へ足を運び、大手の決裁者の前で直接プレゼンテーションを行い、商品の価値を愚直に伝え続けてきました。これには膨大な時間がかかりますが、私はあえてその「時間」を惜しみなく投資しています。この粘り強い姿勢こそが、日本で成功するために必要な「ペイシェンス(忍耐)」だと考えています。

⎯⎯SNSマーケティングを活用するブランドも多いですが、モロではそういった手法は使っていませんね。

 多くのブランドは、有名人が商品を使えばすぐにSNSで拡散しようとしますが、私たちはあえてそれをしません。この姿勢は、カーダシアン家やベッカム家といった世界的なセレブリティたちからも深い敬意を持って受け入れられています。彼らも私たちの商品を実際に購入してくれていますが、彼らが有名人だからといって、その事実をすぐに宣伝に利用することはありません。顧客が有名人であろうとなかろうと、安易にSNSで露出させず、プライバシーと信頼を重んじる。この「媚びない姿勢」が、結果として彼らとの強固な関係に繋がっています。

⎯⎯日本は少子化が進んでいますが、ポテンシャルをどのように感じていますか。

 物事は捉え方次第です。「コップに水が半分しか入っていない」と見るか、「半分も入っている」と見るか。私は常にポジティブに考えていて、少子化についても同じことが言えます。子どもが少なくなるということは、一人ひとりの子どもにかける想いが強くなるということですし、私のビジネスは安売り競争をする場ではありません。だからこそ、質の高いものを求める層が増えている日本には非常に高いポテンシャルを感じていますし、3〜4年後には大きなマーケットになると私は思っています。

⎯⎯日本における中長期的なゴールは?

 私にとっての「成功」の定義は、世界中のどこであっても、お客さまが何度も戻ってきてくれる「リピート率」にあります。他国ではリピーターが多くいらっしゃり、日本でもそれを追求したいと考えています。

 これまでの日本でのポップアップにおいても、遠方からわざわざ足を運んでくださるお客さまがたくさんいます。大阪から東京まで、ただ「モロの商品を買うためだけ」に来てくださる方も珍しくありません。物理的な距離があっても、「自分たちはファミリーの一員なんだ」と感じてもらえるような場所を作りたい。

 そして最終的には、お客様一人ひとりに「このブランドは、自分自身のことだ」と感じてもらえるまでになりたい。単に「店にある商品を買う」のではなく、「自分を表現するための、自分のブランド」として選んでもらうこと。お客様自身がブランドの主役となり、誇りを持って身にまとう。そんなふうに、お客様とブランドが一体になれる、強固な「モロ・ファミリー」を築くことが夢です。

男性

モーンス・イェプセンCEO

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■Molo 取り扱いリスト
<取り扱い店舗>
・阪急うめだ本店11F モーダバンビーニ内
・髙島屋京都店5F csケーススタディキッズ内
・髙島屋二子玉川店5F csケーススタディキッズ内
・髙島屋新宿店9F  csケーススタディキッズ内
・伊勢丹新宿店6F リスタイル・キッズ内

<ポップアップ>
・岩田屋本店
期間:2026年3月4日(水)~6月23日(火)
会場:岩田屋本店 本館6階 ベビー・子供服フロア特設スペース
・髙島屋京都店
期間:2026年5月27日(水)~6月2日(火)
会場:5階エスカレーター前イベントスペース
・髙島屋二子玉川店
期間:2026年5月27日(水)~6月9日(火)
会場:5階エスカレーター横イベントスペース
・阪急うめだ本店
期間:2026年7月29日(水)~8月3日(月)
会場:9階祝祭広場「こどもカレッジ」イベント
・ジェイアール名古屋タカシマヤ
期間:2026年7月29日(水)~8月4日(火)
会場:8階ローズパティオ
・髙島屋横浜店
期間:2026年8月12日(水)~8月25日(火)
会場:8階ローズパティオ

最終更新日:

FASHIONSNAP 編集記者

伊藤真帆

Maho Ito

東京都出身。高校時代に編集者を志し、デザインもわかる編集者を目指して美術系専門学校でグラフィックおよびウェブデザインを学ぶ。ウェブメディア「ORICON STYLE(現・ORICON NEWS)」で編集を経験後、カナダでのワーキングホリデーを経て、2014年にレコオーランドに入社。ライフスタイル領域をメインに担当後、現在はシニアエディターとしてデスク業務のほか、セレクトショップや百貨店・商業施設、ECといった小売関連企業を中心に取材。企業のトップに取材する連載「トップに聞く」を担当している。一児の母。趣味はボードゲームと謎解き。

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