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会員数は120万人超え、創業50年のモンベルを支える有料会員制度の全貌

モンベルクラブが提供するアクティビティの様子

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Image by: モンベル

モンベルクラブが提供するアクティビティの様子

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会員数は120万人超え、創業50年のモンベルを支える有料会員制度の全貌

モンベルクラブが提供するアクティビティの様子

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 今年で創業から50年を迎え、国内アウトドア市場で確固たる地位を築く「モンベル(mont-bell)」。その堅調な業績の裏に、独自の会員制度「モンベルクラブ」がある。年会費1500円でさまざまな特典を提供する同プログラムは、2025年7月現在、120万人を超える会員を抱え、同社ビジネスの中でも重要な位置を占めている。アウトドア業界やアパレル業界では珍しい有料会員制度だが、モンベルクラブはなぜ、これほどまでに顧客の心を掴み、持続的な成長を実現しているのか。モンベルの広報担当者に話を聞くと、同社独自の哲学と、顧客だけでなく地域をも巻き込んだ「共創」の様相が見えてきた。

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サステナブルな会員制度として始動

 モンベルクラブは、同社の創業からおよそ10年後の1986年に始動。設立の目的は、「顧客との情報交換や価値観の共有を図ること」にあった。「『さあ、外へ向かって出かけよう』という意味を込めた会報誌『OUTWARD』や、商品を知っていただくためのカタログを顧客に届けたいと考えたのがきっかけだった」と担当者は話す。

 当時から、年会費は変わらず1500円。1000円を超える年会費はハードルが高く感じられるが、その背景には、「末長く会員制度を継続していくため」という明確な意図があったという。「モンベルクラブを始めた当初は、まだ直営店もない時代(1号店のオープンは1991年)。ポイントサービスもなく、会報誌『OUTWARD』やカタログの送付が中心だったが、会費無料で運営すると、ゆくゆくは制度そのものが破綻してしまう可能性があった。それならば、末長く続けられる会員制度として、最初から会費をいただき、それに見合うサービスを提供していこうと考え、有料サービスとしてスタートした」と担当者。持続可能性を追求したことが、同制度の揺るぎない基盤を築いたと言えるだろう。

モンベルが自然をテーマに制作する会報誌の表紙
モンベルが自然をテーマに制作する会報誌の表紙
モンベルが自然をテーマに制作する会報誌の表紙

会報誌「OUTWARD」

Image by: モンベル

 現在、モンベルクラブでは、入会初年は購入金額の5%がポイントとして貯まり、貯まったポイントをモンベルの直営店や、モンベルが提携する370店舗の農産物などを販売するオンラインストア「モンベルフレンドマーケット」で利用できるほか、モンベルと提携する自治体「フレンドエリア」や店舗「フレンドショップ」でカードを提示することで、割引などの優待を受けられる。さまざまなサービスを提供することで、モンベルで定期的に買い物をする層だけでなく、アウトドアアクティビティを趣味に持つ幅広い層を取り込んでいる。会員の年齢層は40〜50代がボリュームゾーン。近年は若い女性が増加傾向にあるという。

8割を超える会員が利用を継続、人気の理由は

 設立当初から年々会員数を増やしてきたモンベルクラブだが、創業30周年を迎えた2005年時点の会員数は約7万人だった。同年、社内では新たな目標が掲げられた。「30周年を祝した会で、代表の辰野(勇氏)が社員に向けて『(会員数)100万人を目指そう』と明言した。それを受けて各部署は、どうすれば会員になってもらえるか、店舗での案内方法を含めて意識付けを再度行い、サービスを充実させながら会員を増やしていった」と担当者。こうした取り組みが実を結び、それから10年後の2015年には、会員数が100万人を突破。120万人を超えた今も年々、右肩上がりで増え続けている。

 顧客との結びつきの強さは、会員の更新率にも表れている。広報担当者によれば「更新率は非常に高く、8割を超える会員が毎年更新している」という。会員による売上構成比は非公表だが、モンベルの堅調な業績をけん引しているのは間違いなさそうだ。

独自のシステムで地域活性化へ

 単なるポイント制度に留まらず、モンベルの提携するフレンドエリアやフレンドショップで優待を受けられることが、モンベルクラブの大きな特徴だ。特にアウトドア愛好家にとって旅先での優待は大きな魅力となる。「行った先々で『モンベルクラブに入っていて良かった』と思ってもらうためには、モンベル直営店だけではなく、利用した施設でサービスを提供することも一つの方法だと考えました」と広報担当者。

 施設側にとっても、こうした連携はメリットが大きい。「アウトドアにセグメントされた120万人のユーザーに、ピンポイントで自分たちの情報を提供できるというメリットから、施設側から『モンベル・フレンドショップ』に入りたいという申し出を受けることも少なくありません。我々も、フレンドショップ側へのサービスを充実させながら連携を続けています」(担当者)。

モンベルと提携するフレンドエリア

モンベルと提携するフレンドエリア

Image by: モンベル

 現在、モンベルと提携するエリア数は約130、施設数は約2300にものぼる。特に注目すべきは、自治体との提携スキームだ。提携のきっかけについて担当者に尋ねると、「当初は自治体ではなく、個別の施設と提携していたが、長野県小谷村にフレンドショップ登録施設が多く集まったことをきっかけに、『地域として登録したい』という話をいただき、提携するようになった」という。「その後、『フレンドエリア』という形で自治体と提携する仕組みを構築してきた」と担当者。フレンドエリアの取り組みは、会員制度を通して、企業と顧客の関係を超え、地域活性化にも貢献するシステムを築き上げている。

コミュニティを育むイベントと社会貢献

 モンベルクラブではこれまで、定期的に会員向けのイベント「フレンドフェア」を開催してきた。コロナ禍を経て一時中止になっていたが、今年、創業50周年を記念して復活。3月に大阪のインテックス大阪、7月に神奈川のパシフィコ横浜で実施されたフェアは盛況で、パシフィコ横浜では2日間で1万6000人を動員した。モンベルクラブの会員であれば無料で入場できるハードルの低さも、人気の理由の一つだ。

 「今回、各会場には約100団体のフレンドエリアやフレンドショップが出展し、物販や体験ブースなどを通じて会員とコミュニケーションを取りました。同時に開催されたモンベル製品のアウトレットセールで買い物を済ませた後、各ブースで情報収集する会員も多く見られ、平均滞在時間が長かったですね」と担当者。イベントをきっかけに、各エリアに出かける会員も少なくなく、良いサイクルが生まれているという。

 年会費の主な使い道は、会報誌の制作費や送料など、サービスに付随するものがほとんどだが、1500円のうち50円は「モンベルクラブ・ファンド」として貯蓄される。これは、自然保護や社会貢献、冒険・探検などの活動を行う団体や個人に対して支援を行うモンベル独自の基金で、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに始まった「アウトドア義援隊」などの災害支援にも活用されている。支援先は、年4回発行の会報誌やモンベルの公式サイトでも発信されており、「会報誌で支援団体の取り組み内容についても触れることで、団体そのもののPRにもつながっている実感がある」という。会員は、自身の会費が社会貢献に繋がっていることを実感でき、ブランドへの信頼と愛着を深めている。

 モンベルクラブには、ポイント制度だけでなく、アウトドアライフスタイル全体を豊かにする価値提供があり、これは顧客と企業の関係を「購買」を超えた「体験の共有」へと昇華させている好例と言える。創業50周年を迎えた同社は、今後も顧客と共に自然と向き合い、豊かなアウトドア体験を創造していくに違いない。

最終更新日:

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