
Image by: FASHIONSNAP

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毎日ファッション大賞や、TOKYO FASHION AWARD、FASHION PRIZE OF TOKYOなど、国内では様々なアワードが開催されている。そんな中、東京都が昨年度新たなコンクール「Next Fashion Designer of Tokyo」(以下、NFDT)と「Sustainable Fashion Design Award」(以下、SFDA)を立ち上げた。新設されたコンクールの目的とは。今回、FASHIONSNAPでは審査会場に潜入した。
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目次
現在東京都が主催してきた2つのファッションアワード
東京都は、一般社団法人日本ファッションウィーク推進機構(JFW)との共催で、2つのファッションアワードを運営している。一つ目は2014年に創設された「TOKYO FASHION AWARD」。東京を拠点とするファッションデザイナーが、世界をフィールドに飛躍・ビジネス拡大をするためのサポートを目的としており、これまでに「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理、「ダブレット(doublet)」の井野将之、「チカ キサダ(Chika Kisada)」の幾左田千佳らが受賞している。

TOKYO FASHION AWARD 2014年の受賞者。授賞式に出席したデザイナー(右から5名)と審査員(左から5名)
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二つ目は2017年に生まれた「FASHION PRIZE OF TOKYO」だ。前述のアワードと異なる点は、既に国内外で知名度のある東京を拠点とした有望なファッションデザイナーを対象としているところだ。国際的知名度向上を目的に、パリでのファッションショー形式のコレクション発表をサポート。これまでに「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」の黒河内真衣子、「シーエフシーエル(CFCL)」の高橋悠介、「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」のデザイナー小泉智貴らが受賞している。

FASHION PRIZE TOKYO 2017年の様子。左から小木 "Poggy" 基史(「ユナイテッドアローズ&サンズ」ディレクター)、黒河内真衣子(マメのデザイナー)、長尾悦美(髙島屋MD本部レディースファッションディビジョンバイヤー)
新設された「NFDT」「SFDA」とは?
東京都が2022年に新設した「NFDT(Next Fashion Designer of Tokyo)」と「SFDA(Sustainable Fashion Design Award)」の目的は、東京をパリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンなどと肩を並べる「ファッションの拠点」としていくため、未来を担う若手デザイナーを発掘、育成すること。小池百合子東京都知事の「世界で活躍する若き才能の芽を育て上げていく」という思いから生まれたコンクールだ。
従来のアワードと大きく異なる点は、NFDTの応募対象者が在学中の学生に限っていること、SFDAの審査要項が「日本独自の着物などの文化、伝統を現代のファッションの力により新たな形で世界に発信していくこと」に注力していることだ。
NFDTでは、自由な発想で製作を求める「フリー部門」と障害のある方にとって着心地がよくファッション性の高い作品を選ぶ「インクルーシブデザイン部門」を、SFDAでは、服のみを対象とした「ウェア部門」とバッグや帽子などを対象とした「ファッショングッズ部門」のそれぞれ2部門で構成。いずれの賞も東京都知事賞の大賞1名(賞金100万円)、優秀賞2名(50万円)、特別選抜賞1名(賞金50万円)の計4名が受賞する。
NFDT /SFDA審査会に潜入、審査員は何を見ている?
今年は約2300件の応募が集まり、書類選考を通過した60人が二次審査に進んだ。選出者は、ブランドビジネスを成り立たせ、世界で活躍するためのワークショップへの参加を経て、デザイン画に沿った1ルックを製作。12月中旬、新宿某所で行われた選考会に臨んだ。二次審査では、デザイン性、機能性、新規性(伝統の継承と革新)、市場性、サステナビリティへの対応、将来性の6項目を元に、各アワードの2部門からそれぞれ6人ずつが選ばれた。


NFDTのフリー部門二次審査の審査員は、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦、「シーエフシーエル」の高橋悠介、ファッションディレクターの原由美子、三越伊勢丹伊勢丹新宿店ファッションディレクターの神谷将太、WWDJAPAN編集統括サステナビリティ・ディレクターの向千鶴が務めた。

コンテストの審査員を務めるのは初めてだという高橋は「自分自身が勉強になることばかりだった。様々な正解があるファッションデザインの領域で、ファッションにかける情熱に甲乙はない」とコンテスト全体について言及。その上で「どこかで見たものや誰かに言われたものを編集するうわべのデザインとは異なり、作品の本質に取り組む時間はデザインとして独特のオーラを放ち、見る側が一瞬でそれを感覚的に捉えると考えている。その強度は、コンテストにおいてプレゼンテーションの言葉一つ一つにも感じることができるはず。その気概を感じるかどうかが評価軸だった」と明かした。

「創造性だけではなく、時代性があり、グローバルに通用する要素を秘めているか」を重要視したという森永は、1枚の布をダーツだけで作り上げた文化服装学院の見奈美 秀斗、丸藤 拓海の作品を「パターンで勝負しようとしている分、伝わり辛い作品ではあるが、やっていることは独自である」と評価。

NFDT フリー部門二次審査通過作品

文化服装学院の見奈美 秀斗、丸藤 拓海の作品
また、パターンやトワル組立に着目した東京モード学園の常川遼太の作品について「一着のつくり方が従来と違う方法であることがポイント。一見すると混沌としただけの物体にみえ、結果として生まれてきたような一着にみえてしまうが、よく考え、よく練られて、作られており、新たな形に到達していると思う」と言及した。

NFDT フリー部門二次審査通過作品

東京モード学園の常川遼太の作品




NFDT ウェア部門二次審査通過作品
SFDAのウェア部門二次審査の審査員は、「マリオンヴィンテージ(MALION VINTAGE)」の石田栄莉子、「チルドレン オブ ザ ディスコーダンス(Children of the discordance)」の志鎌英明、三越伊勢丹伊勢丹新宿店リ・スタイル バイヤーの橋本航平、FASHIONSNAPファッションディレクターの小湊千恵美ら4人が担当した。小湊はSFDAの総評として「他のアワードと異なり『サステナブル』『着物を活用する』といった条件がある中で、条件を制限と捉えずに柔軟な発想でデザインし、さらに製作の過程でより深く探求する姿勢が伺えたことに感銘を受けた」と振り返る。

「サンプルがどこまでデザイン画を再現できているか」を注視したという志鎌は、江戸時代の寒さから身を守る衣類を作っていた技法を用いて、独自のテキスタイルを使用し、日本の「もったいない」を表現した東京モード学園 佐藤愛海の作品について「マテリアルで圧勝した感がある。裂き織りの生地を使ってよりファッション感度の高い1着に昇華できたら、海外でも評価される唯一無二の存在になれる」と評価。

SFDA ウェア部門二次審査通過作品

東京モード学園 佐藤愛海氏の作品
また、平安貴族の仕事着である束帯と馬乗り袴、室町時代の甲冑を組み合わせた文化服装学院の田村香奈について「デザインの再現性という意味で高いクオリティで完成させた。衣装デザイナーとして活躍しそうな雰囲気がある」と言及した。続けて志鎌は、「モチベーションも高く、将来に向けての目標もしっかりしていてこの中から世界で活躍する様なデザイナーが生まれることを今は楽しみにしている」とエールを送った。

SFDA ウェア部門二次審査通過作品

文化服装学院の田村香奈氏の作品




SFDA ウェア部門二次審査通過作品
厳正な二次審査を通過した36人はショー形式の最終審査へ
厳正な審査を通過した36人の参加者は、3月20日に有楽町マリオンで行われるフィジカルショー形式の最終審査に参加。フィジカルショーは無料で一般観覧も可能で、マーチャンダイザーらと共に製作した3ルックを発表する予定だ。NFDTの審査員長は、東京藝術大学長の日比野 克彦、SFDAの最終審査員は篠原ともえ、LVMHモエヘネシー・ ルイヴィトン・ジャパン株式会社 代表取締役社長ノルベール・ルレが務める。各部門の大賞は最終審査日当日に発表される。
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