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まるでSF? ナイキが開発した電動ランニングシューズを履いてみた

 ランニングシューズが電動になる時代が、ついに到来です。過去には映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場する自動靴ひも調整スニーカー「NIKE MAG」を製品化するなど、最新テクノロジーを駆使した商品開発を続ける「ナイキ(NIKE)」が、ランニング&ウォーキング用として世界初のパワード(電動)フットウェアシステム「プロジェクト・アンプリファイ」を発表。バッテリーとモーターを搭載し、日常のジョギングやウォーキングにまったく新しい体験をもたらす、まさに未来のプロダクトです。

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 10月初旬、米オレゴン州ビーバートンのナイキ本社で行われたグローバルプレスツアーでその全貌を公開。そこで、日頃からランニングを楽しむ記者が、この注目プロダクトを現地でいち早く試着してきました。果たして、電動ランニングシューズの実力とは? 驚きの履き心地を徹底レポートします。

世界初の電動ランニングシューズができるまで

ナイキの電動ランニングシューズを履いたモデル

アンプリファイの着用イメージ

Image by: NIKE

 プロジェクト・アンプリファイは、ランニングとウォーキングにおける足の動きをサポートし、アスリートが“より速く、より遠くへ、少ない労力で進む”ことを叶えるために開発。ウェアラブルロボティクスを手掛けるDephyをパートナーに迎え、カーボンファイバープレートを搭載した専用のランニングシューズに、軽量で高性能なモーターと充電式バッテリー内蔵の駆動ベルトを結合した設計で、運動時の足の動きを自然に「増幅(Amplify)」させる機能を備えています。商品化におけるターゲットは、“動きたいすべての人”。電動自転車のように、徒歩通勤の距離を延ばしたり、ランニングの距離を増やしたりといったアクティビティの選択肢や可能性を広げ、多くの人の日常に溶け込むプロダクトを目指しています。

 発表に際し、ナイキのバイスプレジデントを務めるマイケル・ドナヒュー氏は「プロジェクト・アンプリファイは、『もっと少ないエネルギーで、もっと速く、もっと遠くへ、しかも楽しく動く方法を見つけられるのでは?』という一つの問いから始まりました。このフットウェアシステムの本質は、あなたの一歩に自然なパワーを加えること。『自分が思っていた以上のことができる』という体験とともに、体を動かすことの楽しさを提供します」と、期待感をあらわにします。

 アンプリファイの開発では、本社に位置するナイキ スポーツ研究所(Nike Sport Research Lab、以下NSRL)の動作アルゴリズムのデータを活用。能力や強度の異なるアスリート400人以上を対象にしたNSRLでのテストをもとに、「上り坂でも平地を歩いているような感覚」を実現。テストでは、普段1キロ7分で走るランナーのペースが1キロ5分になったケースもあったのだそうです。筆者はまさに1キロ7分ほどで走るランナー。マラソンでは、距離に比例してどんどんペースが下がってしまうのが常ですが、そんな悩みを吹き飛ばしてくれそうなアンプリファイに、思わず期待せずにはいられません。

気になる履き心地は? トラックを試走してみた

 今回の取材では、アンプリファイの最新プロトタイプを装着し、NSRLの陸上トラックを試走! 未知の体験をレポートします。

 装着の手順は以下。ものの数秒で装着できる手軽さで、着用ハードルの低さを実感しました。

①専用のランニングシューズを履いて、ダイヤル式のシューレースを回してサイズ感を調整。
②シューズのかかとに駆動ベルトを結合し、ふくらはぎにバッテリーを巻き付ける。

電動ランニングシューズを履いた足
電動ランニングシューズを履いた足
電動ランニングシューズを履いた足
電動ランニングシューズを履いた足
電動ランニングシューズを履いた足

まずは、専用のランニングシューズを履きます。カーボンファイバープレートと高性能のフォーム材を組み合わせたシューズで、これだけでもランナーの脚力をサポートする機能を持ちます。

Image by: FASHIONSNAP

 装着が完了したら、専用のコントローラーでモーターのスイッチをON。着用感に慣れるため、トラックを歩くところから始めました。

Video by FASHIONSNAP

 まず感じたのが、蹴り出しの際に足を持ち上げられているような感覚。跳ねるような動きでサポートしてくれるので、そこまで力を入れなくても力強い一歩を踏み出せている実感がありました。担当者からは、「ふくらはぎの筋肉を増強するような感覚」との説明がありましたが、まさにそのようなイメージ。ただ、自分自身の筋肉というよりは足だけがロボット化したような感覚もあり、スムーズにコントロールするにはコツが必要で、慣れるまでに少し時間がかかったのが正直なところです。

 トラックを2周し、徒歩での履き心地に慣れてきたら、いざ走り出します。動きの速度を変える際にはモードを切り替える必要はなく、身体の動きに合わせてシームレスにサポートしてくれます。軽くジョグするくらいのつもりで足を蹴り出すと、想定以上のスピードが出て驚き。デバイスを付けているにも関わらず重たさは感じず、むしろ軽快な足運びができて感動です。そのままトラックを2周走り終えたところで、体験は終了。シューズを脱いだ途端に足の重さを感じ、アンプリファイが持つパワーを実感しました!

 ちなみに、今回の現地取材では平面のトラックのみを歩行・走行しましたが、上り坂ではよりモーターの効果を発揮するのだそう。また、階段でも上り坂と同様の履き心地を実現するため、現在も改良を続けています。

数年以内に商品化へ

ナイキの電動ランニングシューズ

Image by: NIKE

 実際に履いてみて、装着の手軽さや軽快な足運びの楽しさを感じた一方で、近未来的な見た目から、実用化される未来が見えにくいと感じたのが正直な感想。先進的なプロダクトが故に、一般消費者にとっては縁遠く感じられてしまうのではと思ってしまいました。そんな課題に対し、デザインチームは「過去の製品と同じように見られるのではなく、新しく、美しく、面白いものだと感じてほしい」という思いのもと、今も日々開発に取り組んでいるといいます。また、現状は日常使いされることを想定した製品開発に従事していますが、今後は医療分野など、さまざまな用途での活用も視野に入れているとのこと。

 「今はまず、より多くの人々に、身体を動かすことの楽しさを体験してもらいたいと考えていますが、将来的にリハビリなどの医療用プラットフォームとなり得る可能性はあると思います。エリウド・キプチョゲ選手が2時間切りに挑戦した際に着用した「ナイキ ズームX ヴェイパーフライ 4%」はランニング効率を4%向上したシューズですが、アンプリファイは、それをはるかに超えるランニング効率の改善が見られます。ただ、一番重要なのは数字ではなく、装着した人が楽しく笑顔で体を動かせるようになること。ヴェイパーフライが多くのエリートランナーの世界を変えたように、アンプリファイを通して、日常のアクティビティを楽しむ多くの人々に『4%』のような体験をもたらすことができると信じています」(マイケル・ドナヒュー氏)。アンプリファイは今後数年以内の商品化を目指し、改良を重ねています。

電動ランニングシューズのパーツ

Image by: NIKE

最終更新日:

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