Image by: 雲林院優
人気美容師の半生にフォーカスするインタビュー連載の第10回。今回はわずかデビュー2年、今後のGARDENの担い手となりうるGARDEN omotesando 雲林院優さんです。雑誌掲載を夢に鹿児島から上京。デビュー前に伸ばしたSNS集客の秘密、大手人気サロンの中で夢を叶えた行動派の彼女に、彼女自身が撮影した写真とともに迫ります。
#10 雲林院優 うじいゆう
インスタグラム
鹿児島県出身。鹿児島ディスクカレッジ卒業後、GARDENに入社。銀座エリアで3年半のアシスタント期間を経て、GARDEN omotesandoで2021年にデビュー。シンプルだがおしゃれでかわいいヘアデザインが得意。特にショートヘアは多くの女性客から支持されている。
【店舗プロフィール】
GARDEN omotesando ガーデン オモテサンドウ
最新のトレンドと確かな技術力を誇る業界トップクラスの人気サロン。実力派スタイリストが多く在籍し、メディア露出も多数。GARDENグループとしては原宿、表参道、銀座をはじめ、東京を中心に現在計14店舗を展開。
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―美容師になったきっかけを教えてください。
幼稚園のころから友達の髪をアレンジするのが好きだったのですが、一番は小学生のころ初めて美容室に行ったときの衝撃ですね。「髪をきれいにしてお客さまに『ありがとう』と言っていただけるうえに、お金までもらえるなんて!」と驚いたことを覚えています。そこから将来の夢は美容師と決めて、高校3年生まで卓球に打ち込む生活をしていました。
―卓球はインターハイに出るほどの実力だったとか。
はい。高校もスポーツ校に入学し、みっちり卓球漬けの日々を過ごしてから、地元・鹿児島の(美容)専門学校に進学しました。本当は東京や福岡の学校に行きたかったのですが、それは自分で稼げるようになってからと親に諭されて。就職したら「東京に絶対出てやろう」とそのあたりから心に決めていました。
―絶対に上京したいというエネルギーはどこから?
美容師を突き詰めるのだったら最先端でやりたいという気持ちが強かったんです。地元だと早くに結婚して家庭を優先しながら美容師を続ける方も多いのですが、私はそうじゃなく、有名店でバリバリ働いて、名をあげたい。特に雑誌に掲載されている美容師さんを見て、「自分も雑誌に載りたい」と夢を描いていました。
―東京に美容室は星の数ほどあります。そのなかでなぜGARDENを選んだのでしょうか?
学校の先生に勧められたのがきっかけでGARDENを知り、掲載誌を調べたりするうちに入りたいと思うようになりました。
美容学生1年目のときに、鹿児島から店舗見学のために上京。いくつか回ったのですが、やっぱりGARDENにビビっときましたね。接客がアットホームに感じたし、気兼ねなく私にも声をかけてくれる空気がとにかく温かかった。
運のいいことにそのまま3日間、インターンとして働かせてもらったのですが、そのときに先輩が後輩にきちんと怒っている姿を目にして、さらに入りたい気持ちが高まりました。私が体育会系というのもあるのですが、ここに入れば確実に人として成長できるという安心感につながったんですよね。今どきじゃないかもしれないんですけど(笑)。
GARDEN omotesandoの店内。自然光がやわらかく入る過ごしやすい空間
―では、就職活動はGARDEN第一志望で?
はい。でもたまたまその年、「今年はGARDENが新卒採用をしないかもしれない」という噂が流れていて、実際なかなか募集がかからなかったんですよ。それでも絶対に入りたかったのでほかの美容室は受けずに待っていました。仮に募集がなくてもどこか他のサロンに就職して中途でGARDENに入ろうと決めていました。
やっと募集がかかったのは12月。それでもやっぱり人気で70人くらいは受けにきていたのですが、結局受かったのは9人。ありがたいことに私も無事に入社することができました。
―念願のGARDENに入社。入ってみて感じたことは?
本当にいろんな人がいる、ということを実感しました。外部の仕事を頑張っている人、サロンワーク重視の人、自分のペースを守りながらやっている人…。現在は200人ほど在籍しているのですが、さまざまな美容師が所属していることがGARDENの強みなんじゃないかなと思います。
例えば、「美容師は頑張りたいけれど、どういう美容師になりたいのかはまだわからない」という学生さんって意外と多いと思うのですが、そういう人にGARDENはおすすめかも。いろんな背中を見せてくれる先輩がたくさんいるので、自分が進むべき道やなりたい姿を選びやすいんじゃないかなと思いますね。
―雲林院さんは、入社前からなりたい美容師像はあったのですか?
学生時代はとにかく雑誌掲載の夢を叶えたい一心でしたが、入社して先輩方を見て、「こういう美容師になりたい!」とイメージできるようになりました。
当時猛烈に憧れた先輩は、外部の仕事で朝いないのにサロンに戻ってきたらたくさんのお客さまが待っている、というかっこいい方で。外の仕事もサロンワークも両方こなす姿が魅力的で、私もそうなりたいと願うようになりました。
―“なりたい美容師”になるために努力したことはありますか?
カリキュラムとは別に、いいモデルを見つけられたら外部の撮影やヘアショーに連れて行ってもらえる決まりのようなものがありました。年齢や在籍年数に関係なく、そこは平等だったのでモデルハントを頑張った者勝ち。できるだけ経験を積みたかったのでみんなに負けじと燃えていましたね。
―なるほど、モデル選びは大変ですよね。
そのほかにも、メイクチェックが受かっていればアシスタントでも外部の撮影にメイクとして連れて行ってもらえたので、先輩に信頼してもらうために夜モデルを呼び、実際にメイクをして見ていただくという活動もやっていました。
自分がその人の立場だったらどうしてもらいたいか、どういう行動をしたら信頼を得られるかと常に考えることをモットーにしていたので、当時はとにかく行動あるのみでした。
ある日のサロンワーク中の風景
―現在、夢に描いていた外部のお仕事などはできていますか?
ありがたいことに目標としていた雑誌掲載やヘアショー、セミナーのお仕事は全部やらせていただくことができています。
もし外部の仕事をやりたいんだったら貪欲にいったほうがいい、と自分の経験から後輩にも伝えていますね。「あの子は勉強してきているはずだから」という信頼感を得るためにも、行動で示していくことって大事なんじゃないかなと。
11月の末から発売する新商品のプロモーション撮影。サロンワーク以外の仕事も充実
―3年半のアシスタント期間を経て2021年にデビュー。デビュー直後とは思えないほど多くのお客さまに支持されたと聞いています。
外部の仕事をやりながらもお客さまに支持されている美容師でいたいと思っていたので、特にデビュー前は集客につなげるSNSを頑張りました。
節目は2020年、コロナでお店が1ヶ月休みになってしまったタイミング。お客さまありきの仕事なので美容師って本当にやることがなかったんですよ。ちょうどデビュー前だった私は、デビュー後どうやってお客さまを呼ぶかを具体的に逆算しました。そこで、いちばん最初にやらなくちゃいけないと考えたのが、当時1000人足らずだったインスタグラムのフォロワーを1万人まで伸ばすことでした。
結果、デビュー時にはちょっとだけ足りず、フォロワー8000人でしたが、デビュー中に1万人を達成。無事に集客につなげることができたと思います。
―そして2022年11月現在、雲林院さんのフォロワーは10.3万人! この2年間で100倍までフォロワーを増やしたことになります。秘訣はあるのでしょうか?
SNSの中には“急に伸びている投稿”というものが必ずあります。まずはそれを真似する。フォロワーを伸ばすためには、バズっている投稿をどれだけ早く見つけて自分色に落とし込めるかにかかっているかなと思います。最初は妥協せず毎日これを繰り返していました。
あとはどれだけプライドを捨てられるか。やりたいことを貫いてもいいとは思うのですが、ある程度流行の波に乗っていかないとSNS集客はしにくい時代なのかなと思っています。
―今や美容師にとってSNSは集客のマストツールになりつつありますよね。
ただ、SNS集客の欠点は、お客さまが流れやすいことでもあるんです。結局はどれだけリピートしていただけるかが問題。きっかけはSNSでもいいと思うのですが、そこからどれだけ長くお客さまに愛される美容師になれるかがいちばん難しいところです。
サロンワークでも、私はお客さまを大切にしたいという気持ちが人一倍強くて。「枠を広げればもっとお客さまを呼べるよ」と上の方から提案もいただいていたのですが、しっかり接客に時間が取れるサロンワークをしていきたいと思っています。考え方次第ですが、私はお客さまを第一に考える美容師でいたい。
自然が大好きだという雲林院さん。「天気のいい日も好きで、表参道の空を撮りました」
―最後に、将来の夢を教えてください。
私事なのですが、現在第一子を妊娠しており、来年出産予定です。これから家族も増える今、家庭も大事にしながら仕事もこなせる美容師になりたいというのが目標です。
仕事もバリバリやり続ける。家族も大事にする。その両立を実践することで、後輩たちに「こういう道もあるんだよ」という背中を見せたい。私が、GARDENの中にまた新しい選択肢を作れたらいいなと思っています。
(写真:雲林院優、企画・編集:福崎明子)
編集者、ライター
出版社2社を経て独立。書籍の企画・編集、ブックライティング、記事等のインタビューなど活動中。ペンギンが好き。「now&then」の聞き手、文を担当する。
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