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【now&then #26】ANTI YUKA:続けることが自信に お客さまの人生に寄り添う“美容師”という仕事

【now&then #26】ANTI YUKA:続けることが自信に お客さまの人生に寄り添う“美容師”という仕事

 インスタントカメラの写真を通して人気美容師の日常をひもとく連載・第26回。今回は、東京・表参道の美容室ANTIのYUKAさんにフォーカス。数多く再生されているメイク動画のこだわりから毎日の野菜生活まで、そして最近経験したファーストカットのエピソードなどもお聞きしました。

#26 YUKA ゆか
インスタグラム
神奈川県出身。住田美容専門学校(現・渋谷美容専門学校)卒業後、ANTIに入社。現在トップスタイリスト。根元から波打つように動く自然なパーマを得意とし、30代~40代をメインに幅広い層の女性客が通い詰める。パーマ比率は7~8割。ブリーチやポイントカラーなどのオーダーも多い。シンプルなメイク動画発信が話題を集めている。

【店舗プロフィール】
ANTI アンティ
「パーマをかけるならANTI」といわれるほど、パーマへのこだわりが詰まった東京・表参道のヘアサロン。やわらかく自然で癖のようなニュアンスのあるパーマへの定評はもちろん、ナチュラルで洒落た印象のヘアデザインは業界内外から支持され続けている。

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シンプルなメイク動画が好評。お客さまが足を運ぶ理由は“安心感”

⎯⎯ YUKAさんの素敵なリール投稿を見て、今回取材のお声がけをさせていただきました。メイク動画の発信を始めたきっかけを教えてください。

 メイクのリール投稿を始めたのは5年くらい前でしょうか。メイクって、女性は誰しも気になるもの。 私も自信があったわけではないのですが、たくさんの人にメイクの楽しさを届けたいという思いから始めました。メイクを通して「より幅広い層の方に私を知ってほしい!」という気持ちも強かったと思います。

リールの撮影風景。「『どうやって撮っているんですか?』とよく聞かれますが、めちゃめちゃアナログ式です(笑)。加工アプリは使わずに、自然光で撮ることには一応こだわっています」

⎯⎯ YUKAさんのメイク動画はすごくシンプルで真似しやすい。そこが多くの人に見られている理由なんだと思います。

 「自分だったらこういうのが見たい」と思って発信しているものを、たくさんの人が見てくださっていると自信が持てます。「あ、これでいいんだな」って。私自身もシンプルなメイクが好みだし、見ていて真似しやすいのは、工程が少なくて手軽なメイクなのかなと思いますね。

⎯⎯ ベースメイクはあまりせず、ポイントで色をのせたり、アイテムを使って変化を楽しんだりするメイクが印象的です。

 顔にいっぱい塗るのがあまり得意じゃないんです(笑)。だから自ずとシンプルなメイクになっているのかも。あと、自分の顔にあるそばかすを消さずに活かしたいっていうのもありますね。

「ファンデーションなどはあまり塗らない分、保湿だけはしっかりしています」

⎯⎯ リール投稿を始めてフォロワーは増えましたか?

 はい、リールをきっかけにInstagramをフォローしてくださる方が多いですね。いつも“ANTIに足を運んでもらえるような投稿”をするように心がけていて、投稿を見て実際に来店してくださるお客さまもいます。ありがたいですね。

YUKAさん愛用のシザーケース。10年ほどずっと同じケースとハサミを使用。ペールトーンのコームが最近のお気に入りだそう。

⎯⎯ 集客にもしっかりつながっているのですね。

 Instagramのストーリーズにはなるべくその日に施術したお客さま全員をあげるようにしていて、リールからフォローしてくださった方が、そのストーリーズを見て美容室に来てくださることも多いかもしれません。「YUKAさんは“映える”スタイルだけを載せるわけじゃないから安心して行きやすい」とおっしゃっていただくことが多いんです。

 上の世代の方だから載せないとか、髪型がシンプルだから載せないとか、そういうのは関係なく満遍なくストーリーズにアップしていることが、安心して来店してもらえることにつながっているのかなと思います。

おまかせオーダーが多数。新規も常連もイメチェンを求めて来店

⎯⎯ こちらの写真は、YUKAさんご自身でしょうか? 素敵な髪型です。

 これは先日後輩に髪を染めてもらったときの写真ですね。もともとの癖毛にパーマをかけていたのですが、メリハリをつけたくて、ローライトと最近マイブームのグリーンをポイントで入れてもらいました。

⎯⎯ 髪型は頻繁に変えられるのでしょうか?

 いろんな髪型をお客さまに楽しんでほしいのと、幅広い髪型をデザインできるようになりたいという気持ちから自分自身がいろんな髪型を経験し、お客さまと共有・共感したいと思っています。私の髪型の変化を見て「イメチェンしてみようかな」と思う方が少しでもいたらうれしいですよね。

⎯⎯ サロンワークのカウンセリングはどのように進めていますか?

 ありがたいことに、おまかせで来てくださる新規のお客さまも多数。今の気分や「どう見せたいか」を集中的に聞いています。

「こちらのお客さまは、Instagramを見てくださったのがきっかけで担当させていただいています。そこからは、来るたびにどんどん強いパーマになっていっています」

⎯⎯ お客さまの今の気分やなりたい女性像を探るために、どのようなことをしていますか?

 自分を変えたいときってメイクやファッションをキメて「これに合わせてください!」というテンションで美容室に来られることも多いと思うので、その日の見た目とのバランスを重視することもあります。細かいところだと「朝セットするかどうか」など機能面も聞いたりしますね。

⎯⎯ サロンワークのこだわりを教えてください。

 Instagramを見て来てくださったお客さまをガッカリさせないように、実際に会ったほうがよかったと思っていただけるように、お客さまとのかかわり方や、絶対にかわいい髪型に仕上げるというプライドを持つことには、当然ですが常にこだわっています。

打ちっぱなしのコンクリートが印象的な、ANTIが入っている建物。いつもこの場所でお客さまを撮影しているそう

⎯⎯ YUKAさんがANTIに入ったきっかけをお聞きしてもいいですか。

 実は当時、「絶対にここに入るんだ!」というヘアサロンがほかにあり、その面接には落ちてしまって入ることができなかったんです。すぐに切り替えて、とにかく都内中心部の気になっていたヘアサロンをさらに受け続けたものの、受けては落ちての繰り返しで…。「ここがだめならあきらめるしかない」と思って最後に受けたのがANTIで、ありがたいことに合格できたんです。

⎯⎯ 実際にANTIに入ってみてどうでした?

 本当によかったです。今年で入社13年目になりますが、こんなに長く続けられていることが、自分の中でも自信につながっています。

安藤忠雄さんがデザインした建物に入っているANTI。「夜になると、シンプルな外観にぽつぽつとランプが点く感じがお気に入りです」

⎯⎯ ANTIの好きなところを教えてください。

 たくさんありますが、私は社長(小松利幸さん)のつくるヘアデザインと美容への向き合い方がとにかく好きなんです。私がつくるヘアスタイルは社長からインスピレーションをかなり受けていると思います。

 私を含め後輩たちも、特に気合いを入れたいときには「小松さん、髪の毛切っていただけますか!?」とお願いするのがANTIの恒例になっていて、社長はそれを快く受け入れて毎回本気でヘアデザインしてくれます。近くで背中を見せてくれる上司の下で働けていることが本当に幸せです。

業界誌「SHINBIYO」でANTIがパーマのテクニックを連載中。単行本になるそう

⎯⎯ こちらの写真はスタッフさんでしょうか?

 これは同期のYUMAとの帰り道ですね。仕事でモヤモヤしていることなどをここで発散して少し気持ちを軽くするみたいな、私にとって何気ない大切な時間。入社してから13年間一緒に働いているので、もはや兄弟みたいな感覚です。なんでも言える間柄の同期の存在がありがたいです。

⎯⎯ 13年間通っている通勤時の写真も撮ってきてくださいました。YUKAさんにとって、表参道はどんな街でしょうか?

毎日通っている表参道の道。「全く飽きずに、毎日新鮮に『気持ちいいな~』と思いながら歩いています」

 表参道って目的がないとなかなか来ないところだと思うんです。でも行ってみるとテンションが上がる場所でもある。最近は郊外の美容室が増えている中、わざわざ表参道のANTIまで来てくださるお客さまのことはすごくありがたいし、来店されることで髪型が変わって、それがお客さまにとって心地よい時間になるといいなと思っています。そして、ここには頼れる仲間もいる。私にとって表参道は大好きな場所です。

⎯⎯ スタッフのみなさんと撮られた写真もありましたね。

 これは、たまたまデニムがかぶった日なんです(笑)。今デニムが流行ってるからデニム被りが発生する日がよくあって。この日は一番多かったので、みんなをかき集めて撮ろう!って(笑)。

後輩のmaiさんとISSEIさんと帰りながら乾杯しているときの写真。「美容師という仕事を楽しんでいるなと感じる2人。2人を見ていると自分も頑張ろうって思えます」

カフェめぐりやミニシアターが大好き!

⎯⎯ 次はプライベートについてお聞きします。休日はどう過ごされているのでしょう?

 好きなカフェに行ったり、映画館に行ったりすることが多いです。この写真は、下高井戸のフィシッフ キュッヒェというカフェでの1枚。隠れ家的な雰囲気があってお気に入りです。家でリールの編集をするのがちょっと億劫になるときなどはカフェで編集作業をしたりしますね。

下高井戸のコロラドというカフェのサバサンド。映画の前に時間があったらカフェで時間を潰すことが多いそう

⎯⎯YUKAさんは映画がお好きなんだとか。

 多い時は週1くらいで映画館に行きますね。ミニシアター系の映画が好きで、今年は地方のミニシアター巡りもしたいと思っています。この日は下高井戸シネマで「バグダッド・カフェ」という映画を観ました。主人公の女性が素敵で、こういう女性でありたいなと思いました。

⎯⎯ちなみに憧れの女性像ってありますか?

 自分が楽しそうにしていることが周りへの一番のいい影響になると思うので、「その状況を常に楽しめる人」でいたいです。仕事でも何でも自分自身が楽しんでいると、周りの人に自然に伝染していくじゃないですか。楽しそうにしていて、気づいたら周りの人たちが勝手につられている。そんな女性が憧れです。

⎯⎯ところで、いくつかお料理のお写真も撮ってきてくださっているようですが、こちらについて伺ってもいいですか?

 仕事で夜、帰りが遅くなった日の夜ご飯です。主食が野菜になっているくらい野菜が大好きなのですが、「お腹が空いているけれど帰ってすぐ寝たい!」という日は野菜をただ炒めたものをモリモリ食べています。たくさん食べても胃もたれしないし、朝の顔のむくみもない(笑)!ちょっと偏ってはいますが、野菜好きだからか、あまり太らない体質になりました。

 あと節約と体調管理のために、できるだけコンビニなどには寄らないようにしています。アシスタント時代は忙しすぎて料理なんて全然できなかったんですけどね(笑)。仕事中は休憩があまりとれないので、ぱくっと片手で食べられるサンドイッチのようなものがちょうどいいんですよ。

夜の残りモノでランチを作っているという。この日は卵とにんじんだけのシンプルなサンドイッチ

お客さまの人生に寄り添う美容師という仕事

⎯⎯こちらのお客さまのヘアデザインのポイントを教えてください。

 ミニマルなベリーショートのショートウルフです。前にかけたパーマが少し残っているのがポイントですね。パーマが残るようにカットするというより、しっかりかければ自然と残るので、それを活かすようにカットしています。実はこの時、写真に映っているお客さまのお子さんのファーストカットもさせていただいたんです。

⎯⎯それは、うれしい出来事でしたね!

 そうなんです...!このお客さまは私がアシスタントのときからカットモデルをしてくれていた方。ウェディングのヘアもやらせてもらって、今回はついにお子さんのファーストカットも担当させていただいて。

⎯⎯まさに人生の節目に携わっている感じですね。

 入社したてのとき、先輩に「美容師は、お客さまの人生に寄り添う仕事だよ」と教えてもらったんです。すごいなと思ったけれど、当時はあまりしっくりきていなくて。でもそれを今このタイミングでとても実感しましたね。

⎯⎯そもそもYUKAさんが美容師を目指そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 小さい頃から憧れだった姉が美容師で、今思い返すと姉を追いかけていたのだと思います。

2〜3カ月に一度、実家に帰ってお父さんの髪を切るんだそう。「いつも『短めにして』って言われるだけですが(笑)、じっくり話もできるいい時間です」

⎯⎯美容師になるときに思い描いた理想の美容師像などはありましたか?

 すごく漠然としていましたが、「美容師」というものに対してすごく憧れていたことを覚えています。たとえば街でモデルハントすることにすら憧れてたし、初めて経験する仕事にもひとつひとつ憧れていた。モデルハントが苦でやめちゃう人も多いんですけど、私は「憧れの美容師をやっているんだ」という感覚をずっと大事に持ち続けていましたね。

⎯⎯途中でぶち当たった壁などはありましたか?

 壁はめちゃくちゃありまくりでした(笑)。でも、私は「やめる」という選択をすることがストレスになるタイプなんですよね。途中で投げ出すことが、自分の中で一番後悔するってわかっているんですよ、性格的に。逆に言えば、「続ける」ことが自分のモチベーションになるし、自信にもなるというのがなんとなくわかっていた。

 とにかく「続ける」というのは、美容師を始めるときから決めていたことかもしれません。もちろん、運よくたまたま続けられてきたというのもあると思いますが。

友達の家での女子会の様子。「大人になってから仲良くなった友達。全然違う仕事をしているからこそ、話せることが多くあります」

⎯⎯やめることがストレスというのは?

 幼い頃に水泳を本気でやっていたのですが、出続けていた全国大会に出られなくなってしまったことや人間関係で悩んでいたこともあって、あきらめてやめてしまったんです。それを幼いながらにものすごく引きずってしまっていたことがあります。

 その経験があるから、やめないで「続ける」ほうの選択肢を自ずと選んでいるのかもしれません。あと、スポーツをやっていたおかげで、忍耐力はあるほうだと思います。実際、水泳をやっていたときよりも美容師できついことはありません(笑)。

マッキントッシュの傘とレインブーツ。「雨の日はちょっといい雨具をコーディネートして気分を上げるのが恒例。両方とも茶色なので雨の日は必然的にブラウンコーデになります(笑)」

⎯⎯最後に今後の目標を教えてください。

 変わらず美容師として楽しく仕事をしていたい、というのがまず第一にあります。あとは、自分軸のある、胸を張って自分のオリジナルの生き方ができる人になりたいです。

 30代になっても目標は漠然としていますが、だからこそずっと変わらずチャレンジや追求をし続けて、止まらない人でいたい。それが今の目標です。

アメリカを横断した写真家の友人から購入した写真。「家に飾っていて、見るたびに刺激をもらいますし、気が引き締まります」

(写真:YUKA、編集:上玉利茉佑)

最終更新日:

編集者、ライター

宮本香菜

出版社2社を経て独立。書籍の企画・編集、ブックライティング、記事等のインタビューなど活動中。ペンギンが好き。「now&then」の聞き手、文を担当する。

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