Fashion まとめ

オンライン展示会入門 【2020年秋冬コレクション版】

 ファッションの展示会の形が変化し始めています。新型コロナウイルスの影響で、3月〜5月に2020-21年秋冬コレクションの展示会を行う予定だった多くのブランドやショールームが例年通りの開催を断念。これをきっかけに「オンライン展示会」へのシフトチェンジが目立ちました。専門サービスの導入や独自の仕組みを取り入れたブランドなど、ファッション業界の「オンライン展示会元年」になりそうな予感の今シーズン。どんな手法があるのかを、事例と共に取り上げます。

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目次
オンライン展示会の様々なかたち
1.動画による展示会
 └事例:「ギャップ(Gap)」
2.インスタグラムによる展示会
 └事例:「ランブルレッド(RUMBLE RED)」
3.オンライン展示会サービスを導入する
 └事例:ターミナル(TERMINAL)
 └事例:ジョア(JOOR)
新たに登場した体験型オンライン展示会のかたち
 └事例:リモテン(REMOTEN)
 └事例:「ハトラ(HATRA)」
まとめ

オンライン展示会の様々なかたち

 「オンライン展示会」はどういった形式があるのか。大きく3つのカテゴリーに分け、今シーズン実際に行われた事例と共に紹介します。

 

1. 動画による展示会

 「Vimeo」や「YouTube」などを利用した動画でのオンライン展示会は、映像媒体の「動く」という特性を生かしたアイテム紹介が可能です。パスワード設定や限定公開などで制限を設けたり、登録なしでいつでも動画を閲覧できるという利点があります。

 動画制作は通常だと機材や編集スキルが必要でプロの手を借りることが多いですが、映像のクオリティではなく分かりやすさを重視するなら、iPhoneなど手持ちのツールで撮影することも可能です。

 事前に制作した動画ではなく、リアルタイムで動画を配信することも効果的。「Zoom 」や「Google Meet」「LINE ビデオ通話」「Skype」といったビデオ通話サービスを利用すれば、一対一でじっくりと対話する商談も設定できます。

【特徴】
・動画をアーカイブに残すことでいつでも閲覧できる
・テクスチャーやディテール、全体感が伝わりやすい
・リアルタイム配信の場合、その場で質疑応答ができる
・クオリティを求めるなら、機材や編集・配信スキルが必要
・受発注などの業務は別途で行う必要がある

事例:「ギャップ(Gap)」

 ギャップジャパンは、プレス関係者向けに「Gap 2020 Summer Collection プレスプレビュー」をYouTubeを通じて開催。限定公開URLで動画を公開しました。PR担当者が、シーズンコンセプトと共に特徴的なアイテムを紹介していくスタイル。実際の展示会と同様の雰囲気で本社ショールームなどを使って撮影され、色別に整理されたラックなど全体感からも特徴を汲み取ることができました。

 

2. インスタグラムによる展示会

 ブランドのインスタグラム公式アカウントとは別に、バイヤーやプレス関係者向けの「展示会専用アカウント」を開設。フィード投稿でイメージ素材やルック画像、アイテム画像などを投稿し、それぞれに説明やコメントを添えるのが基本形です。さらに、同じアカウントを通じたライブ配信やIGTVを利用した動画の公開も可能。カタログやヴィジュアルブックとしても活用できます。

 シーズン毎に展示会専用アカウントを開設して管理するなど、利用方法は様々。ヴィジュアル面ではクオリティが求められますが、運営にはランニングコストが掛からないため、手軽に始められる点が魅力です。

【特徴】
・手軽に無料で始められる
・オリジナルのカタログやヴィジュアルブックのように活用できる
・ハッシュタグで紐づけられる
・ヴィジュアル面のクオリティやセンスが求められる
・受発注などの業務は別途で行う必要がある

事例:「ランブルレッド(RUMBLE RED)」

 2019年度 Tokyo 新人デザイナーファッションを受賞した「ランブルレッド(RUMBLE RED)」は、デザイナーの牧野渚が手掛けるウィメンズブランド。4月7日から都内で展示会を開催する予定でしたが、緊急事態宣言により中止になりました。

 インスタグラムを通じて公開した「INSTAGRAM EXHIBITION」では、公開制限を設けず、バイヤーやプレスから顧客まで誰でも閲覧できるように設定。新作アイテムを投稿し、それぞれに細かい紹介文をポストしています。イメージ素材をグリッド投稿で大きく見せるなど、デザインの工夫でコレクションの印象を強めています。

公式インスタグラム

3. オンライン展示会サービスを導入

 近年では、オンライン展示会に関連したサービスが続々と登場。その中でも主流となる、「ターミナル(TERMINAL)」や「ジョア(JOOR)」といった「オートメーション型サービス」を紹介します。

 ラインシートや展示会カタログの作成、売り上げデータの整理など、受発注業務における煩雑なプロセスを効率化するサービス。業務に割いていた時間を短縮できるため、その分を制作活動に注ぐことができるのが利点です。また、BtoBプラットフォームとして多くのバイヤーや小売店が登録しているので、新規取引の開拓も期待できます。

【特徴】
・受発注を効率化することで、業務の時間を短縮できる
・ブランドアイテムをウェブ上で一括管理できる
・売り手と買い手のプラットフォームとして機能し、新規取引につながりやすい
・ランニングコストがかかる
・従来通りの展示会と併用して活用できる

事例:ターミナル(TERMINAL)

 「ターミナル(TERMINAL)」は、2014年から提供を開始しているファッション業界向けBtoB ECプラットフォーム。2019年12月時点で、日本国内をメインに385ブランドとバイヤー1万4000人以上が登録・利用をしています。小売店では「バーニーズニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」や「ビームス(BEAMS)」、ブランドでは「アー・ペー・セー(A.P.C.)」や「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」、「アンダーカバー(UNDER COVER)」などが導入しています。

 通常の展示会の開催が困難になったブランドからの要望を受け、動画のアップロード機能や注文数入力の手軽さに特化したオーダー画面など、オンラインのみで受注を完了させる機能を充実させていく予定です。

公式サイト

事例:ジョア(JOOR)

 アメリカニューヨーク発の「ジョア(JOOR)」は、流通総額1.3兆円(卸値ベース)、世界144ヵ国からリテーラー200万人と8,600ブランドの登録数を擁する世界最大規模のBtoBプラットフォーム。2019年に伊藤忠商事が日本での独占的戦略パートナーとして業務提携し、日本市場における展開を拡大しています。

 6月12日から14日に行われた世界初のデジタルファッションウィーク「ロンドン・ファッションウィーク(London Fashion week)」では、ジョアを用いたバーチャルショールームを開設。世界規模のネットワークを生かした取引や受発注業務の効率化、高いシステムサービスなどを同時に受けることができます。

 6月17日にはデモを含めたウェビナーを開催予定。

■ジョア ウェビナー詳細
日時:2020年6月17日 13時〜15時
詳細:公式サイト

 その他にも、比較的低いコストで運用できる「エグジブ(EXIV)」や、「グランストラ(Granstra)」、「FORSEE」、「BUYER SHOWCASE」など、様々なオートメーション型サービスがローンチされています。

 

新たに登場した体験型オンライン展示会

 新興系のオンライン展示会サービスとして、VR機能やAR機能を駆使した「体験提供型サービス」が立ち上がりはじめています。バックオフィス業務などの効率化を図りながら、展示会ならではのコミュニケーションをオンラインで実現する、様々な機能が実装されています。

 

事例:リモテン(REMOTEN)

 主にファッション・アクセサリー・コスメティック関連業界を扱う広告代理店 博報堂マグネットが運営する「リモテン(REMOTEN)」は、6月15日にサービスを開始。ARやVR、ライブ配信、複数人の同時接続が可能なビデオ通話機能、リース予約機能、オンライン展示会に訪れているバイヤーがわかる「リアルタイム来場者情報」などコミュニケーションサービスを充実させています。

公式サイト 

 

事例:「ハトラ(HATRA)」

 長見佳祐によるブランド「ハトラ(HATRA)」は今シーズン「STUDY SKINS(=鳥の剥製)」をテーマにコレクションを制作。ダブルジャカードのニット「Synthetic Feather」シリーズなどを、AR・VRアプリ「STYLY Mobile」を用いた「バーチャル展示会」形式で発表しました。

 ハトラはその後、金田遼平がデザインした新作プリントTシャツ 「TS-Tuner」の3DルックをARで体験できるコンテンツを公開。3Dモデリングデータを活用したコンテンツは誰でもアクセス可能で、HATRA E STORE内のアイテム紹介ページからSTYLY Mobileアプリをインストールすることで、実寸大の立体モデルを自宅に表示することが可能です。

まとめ

 ファッション業界におけるニューノーマルとも言える「オンライン展示会」。今回取り上げた事例以外にも、ブランドや企業によって多様なスタイルがあります。今後も需要が高まれば、オンラインとオフラインの融合が進み、また新たな展示会のかたちが生まれそうです。

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