古着を選ぶこと、着ることで示す道徳的な怒りと物語的な問い ── Tokyo Vintage Fashion Week



3月半ばにしては寒い曇りの日。新宿住友ビル三角広場で開催された「Tokyo Vintage Fashion Week」へ。最大2000人収容できるという広い空間に、所狭しと並ぶ古着屋の数々。そしてとにかく、人、人、人……。
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今日の目的は、スタイリストの原田学さんと「デプト(DEPT)」オーナーのeriさんが共に手掛けるファッションショー「Regular Vintage Fashion Show」を観ること。その名の通り、まだ付加価値のついていないレギュラー古着のみで構成されるショー。開演を待っていると、こだまする人の声とサックスが連なる音が流れ、単管足場で仕切られたランウェイはライトで照らされ光の道が作られた。

Image by: Yasutaka Ochi
モデルが次々と歩く。真っ赤なシャツにスカーフが袈裟のように掛けられている。ジョン・レノン(John Lennon)のイマジンTシャツにはワイドスラックス。ネルシャツの上から着せられたタンクトップ。牧歌的なワンピースには花束。平和を祈るパッチが付けられたスーツには中指を立てているTシャツが。それから、ニットがターバンになり、アウターがインナーになり、ラグがスカートになり、さまざまな古着がその役割を刷新され、フレッシュな存在になって代わる代わる現れる。







Image by: Yasutaka Ochi
スタイリングのチカラがある。見たことあるもの、親しみのあるものが、選ばれて、再考され、組み合わせられて新しいエネルギーを生み出す。特別にも思えるのに「今日から真似できるかも」とも思わせられる。同時に、テーゼを感じる。そしてアンチテーゼを感じる。今の社会へのするどい眼差しを感じる。けれど直接的な批判という方法を取らず、高揚感や多幸感を用いて選択肢の再提示をしているんだと感じる。体現することが提案されている。着ることそのものが表現になる、と促されている。

Image by: Yasutaka Ochi
ショーの余韻に浸る間もなく人々の熱量に圧倒される。ひとまず会場内をぐるりと見てまわる。
アメカジ、ミリタリー、ワークウェア、ユーロヴィンテージなど、わかりやすく系統だった店もあれば、形容し難い妖艶さのある店、時計やアクセサリーを玉石混合のまま並べている店、とにかくTシャツばかり置いている店など、「古着」と一言で括ってしまうけれど、それぞれの店によって随分と印象が違う。ブランド古着の店もある。

Image by: Yasutaka Ochi
古着には、少なくとも一度は結末が訪れている。そしてその終わりを自分で拾い上げ、また物語として紡ぐことができる。多くの場合、時間も、場所も、人種も超えて。そこにロマンティシズムを感じる。時間の束を外してバラバラになったものをもう一度編纂するような感覚が立ち上がる。
たしかに新しい洋服は気持ちが良い。まだ誰も袖を通していないものを着るよろこびがある。けれど……。
これから何を選び、着るのか、物語的な問いがあるイベントだった。

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