
スブラタ・ダッタ / サムソナイト アジア太平洋・中東地域担当プレジデント
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創業115年を迎えるラゲージブランド「サムソナイト(Samsonite)」が6月27日、アジア最大級となるラグジュアリーライン「サムソナイト・ブラックレーベル(Samsonite BLACK LABEL)」の旗艦店を東京・銀座にオープンする。マツヤ通りに面した好立地に誕生するこの店舗は、"和"をテーマに、日本の伝統美と、サムソナイトの感性を融合させる新たな試みとなる。店内には障子や和紙のデザインを取り入れたファサード、中央には盆栽やゼンガーデン(禅庭園)が設置され、日本の美意識とブランドの価値観が融合した特別な空間を演出する。

6月27日にオープンするサムソナイト・ブラックレーベル銀座店
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オープンに先駆けて、サムソナイトのアジア太平洋・中東地域担当プレジデントであるスブラタ・ダッタ(Subrata Dutta)氏が来日。新店舗の狙いとブランドの進化、そして日本市場への展望について話を聞いた。

スブラタ・ダッタ / サムソナイト アジア太平洋・中東地域担当プレジデント
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ブランドの根幹にある“フェアネス”の精神
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──サムソナイトが大切にしている価値観について教えてください。
サムソナイトは1910年、アメリカのジェシー・シュウェイダー(Jesse Shwayder)によって創業されました。彼は「旅をより快適にしたい」という思いから、旅行に適したバッグの製造を始め、いわば“スーツケースという概念”を創り出した人物です。当社の価値観は、彼の哲学に深く根ざしています。シュウェイダーは「すべての取引において公正であること」を信条とし、「自分がしてもらいたいように、他人にも接する」というゴールデンルールを企業理念に掲げました。その精神は今も変わらず、私たちはパートナー、従業員、そしてお客様すべてに対し、誠実さとフェアネスを何よりも重んじています。

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“グローバル×ローカル”で体現する銀座旗艦店
──今月オープンするサムソナイト・ブラックレーベルの銀座旗艦店は、アジア最大級になるそうですね。なぜ銀座を選ばれたのでしょうか?
銀座は、伝統と革新が共存する街。これは、まさにサムソナイトのブランド戦略を象徴するキーワードです。当社はグローバルブランドでありながら、その土地の文化や感性を大切にしてきました。日本では、日本に着想を得た商品を開発しており、サムソナイト・ブラックレーベルはその象徴ともいえる存在です。銀座は、日本の美意識、アート、食、文化が凝縮されており、世界中から人が集まる場所でもあります。この“ローカルとグローバルの融合”という文脈は、私たちのブランドフィロソフィーそのものです。eコマースが主流となった今だからこそ、リアルな場でしか得られない特別な体験を提供したい。銀座店は、革新と伝統が共鳴する象徴的な空間になるでしょう。



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──銀座店では、盆栽やゼンガーデンといった日本的要素も取り入れるそうですね。
グローバルで展開しているデザインを踏襲しながら、多くの日本的要素を取り入れてローカライズしています。訪れた方はきっと、「サムソナイトらしい店舗だけれど、なぜか新鮮に感じる」と思われるでしょう。それが、文化を尊重し融合するという私たちの考え方です。私たちはタイのバンコクにも、地元のナイトライフから着想を得たコンセプトストアがあり、トゥクトゥクを店内に設置するなど、写真を撮りたくなるような仕掛けで人気を集めています。真に優れたブランドとは、地域とつながり、グローバルな価値とローカルの魅力を調和させることができるブランドだと考えています。
──銀座の新たな旗艦店を通して、お客さまにはどのようなメッセージを伝えたいですか?
サムソナイトのコアには「イノベーション」と「サステナビリティ」という2つの柱があります。銀座店では、リサイクル素材を活用したアイテムを取り扱うほか、ホイール付スーツケースを世界ではじめて開発したブランドとして、スムーズなホイールの動きを実際に体験できるコーナーを設けています。
さらに、日本限定カラーや銀座店限定モデルも展開予定です。特に、ビジネスバッグやバックパックといった、日本のニーズに即したアイテムには力を入れています。

銀座旗艦店の限定モデルで登場するスーツケースの「リッチモンド2」とブリーフケース「ホクストン」
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スーツケースは“実用的なファッションアイテム”に
──アジア太平洋(APAC)戦略のなかで、日本市場はどのような位置づけでしょうか?
日本は、発展していながらも飽和していない、極めてユニークな市場です。たとえばアメリカやイギリスのような成熟市場では、今後の成長余地は限定的です。一方、日本は継続的な発展が期待できる国です。現在、日本は中国やインドと並ぶアジアのトップ3市場の一つであり、デザインや文化でも世界に提供できる価値を有しています。特に、日本のお客さまは機能性、品質、デザインすべてに対する感度が高く、素材や軽さへのこだわりも際立っています。

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──現在のスーツケース市場のトレンドをどう見ていますか?
私が業界に入った2007年当時、スーツケースは“荷物を運ぶための道具”という位置づけでした。でも今は違います。消費者は機能性だけでなく、デザイン性や環境への配慮など、より多面的な価値を求めるようになっています。特にコロナ禍以降、旅行そのものが“楽しい体験”へと再定義された今、その体験を支えるスーツケースもまた、“実用的なファッションアイテム”として進化しました。ホイールの滑らかさや素材、カラーリングの美しさにまでこだわるお客さまが増えています。

銀座旗艦店の限定モデルの「リッチモンド 2」は、アルミニウムを思わせるシルバートーンの本体に、レザー製ハンドルとラゲッジタグ、マットゴールドのメタルパーツが魅力。価格は8万1400〜10万1200円
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実用性とリペアが重視される日本の特性
──他国と比較して、日本市場にはどのような特徴がありますか?
基本的な価値観は共通していますが、国ごとの違いは明確です。たとえば中東では、丈の長い衣服に対応できる大型ラゲージが好まれ、ゴールドのような華やかな色が人気です。一方、日本では「軽さ」や「素材」に関する質問がとても多く、かつ説明に対して非常にロジカルな反応があります。たとえば「すべての乗客が『シーライト(C-LITE)』を使用すれば、その飛行機の燃料を最大で約500リットル節約できる可能性がある」と伝えると、「なぜ500リットルなのか?600ではないのか?」といった、非常に本質的な問いが返ってくる。それだけ合理性と裏付けを重視する文化なのだと感じます。また、また私の母国であるインドでは、スーツケースに不具合があった場合、新品への交換で満足されるケースが多いのですが、日本では「長年使ったバッグを修理して使い続けたい」という声が圧倒的です。だからこそ、当社でもリペアサービスに力を入れています。

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──今後のサムソナイトでの日本戦略におけるヴィジョンをお聞かせください。
日本では、その成熟した市場に寄り添いながら、お客さまの期待を常に一歩先回りして応えていきたいと考えています。「こんなスーツケースが欲しかった」と思っていただけるような製品を届け、旅のパートナーとして信頼される存在であり続けたいですね。アジア太平洋地域は、当社のグローバル売上の約40%を占める最大のマーケットです。中国、インド、日本、韓国、オーストラリアといった可能性に満ちた国々との相乗効果を活かし、今後も積極的な投資と挑戦を続けていきます。ブランドの新たな進化は、ここ銀座から加速していきます。
サムソナイト・ブラックレーベル銀座店
開業日:2025年6月27日(金)
住所:東京都中央区銀座三丁目4番12号 文祥堂銀座ビル1階
TEL :03-6263-2099
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