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【スニーカートップセラーに聞く】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も -atmos 小島奉文-

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 毎週のように注目アイテムが発売された2018年、日本を代表するスニーカーショップのキーマンが選ぶ今年のベストスニーカーは?そしてダッドスニーカーの次にくるトレンドは何か。ラストとなる第8弾は、東京のスニーカーカルチャーを世界に向けて発信する「アトモス(atmos)」のクリエイティブディレクター小島奉文。

■atmos
SHOP名のアトモス(atmos)は、atmosphere(大気)から由来し、大気のようにそこにあって当然のようなSHOPでありたいという思いを込めて、2000年に東京・原宿にヘッドショップをオープン。ファッションとしてのスニーカーをテーマに、店内にはスニーカーウォールを設置。ナショナルブランドとのコラボレーションやエクスクルーシブモデルをはじめ、最新プロダクトのテストローンチやマーケティングなど、東京のスニーカーカルチャーを世界に向けて発信している。

■小島奉文
1981年生まれ 。文化服装学院を卒業後、スニーカー業界へ。atmosクリエイティブディレクターを担当し、数々の別注企画を手掛ける。スニーカーのモノ・コト・ヒトに精通する自他ともに認めるキックスフリーク。

今年のベストスニーカー

FASHIONSNAP.COM(以下、F):早速ですが、小島さんは今年何足スニーカーを購入しましたか?

小島奉文(以下、小島):正確にはわかりませんが、毎月5足〜10足ぐらいのペースで増えているのでおそらく100足くらいはあると思います。

F:すごい数ですね。その中で今年のベストスニーカーを選ぶとしたら何ですか?

小島:ずばり「ナイキ(NIKE)」の「リアクト エレメント 87」です。ナイキのツーリングにはエアやルナ、ズームなど色々な種類がありますが、リアクトソールが今年の新作で。ミッドソールは弾力性に優れていて、どんなシーンでも履けるというスニーカーですね。

ナイキ リアクト エレメント 87

F:「アンダーカバー(UNDERCOVER)」とのコラボレーションも話題になりましたね。

小島:そうですね。夏頃に1stカラーを買ったんですけど、それから別のカラーがだいたい1ヵ月おきに発売されて。「リアクト エレメント 87」を色違いで4足持っています。

F:4足も購入とはかなりお気に入りなんですね。購入しようと思ったきっかけは何だったんですか?

小島:元々は食わず嫌いで定番ものやクラシックなスニーカーしか履かなかったんですが、最近は新しいテクノロジーやイノベーションを感じるアイテムは一通り試すようにしていて。「リアクト エレメント 87」にも他社にない新しさを感じて購入を決めたんです。近未来的な雰囲気があるのもポイントですね。

F:魅力は何でしょうか?

小島:「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」からの流れだと思うんですが、やっぱりこの半透明なアッパーですよね。スニーカーのアッパー素材はスエードやメッシュ、レザーなどパターンが決まっていて、その中で各メーカが差別化しようとしていますが正直飽和状態であるのは否めない。その中で半透明なアッパーをシューズに使うというアイデアが時代にマッチしたと思います。あと履いていると周りの人の反応が面白いんですよ。

F:周りの人はどんな反応を?

小島:「何だそれ!」って(笑)。やはりテクノロジーを感じる靴は興味を引きますし、スニーカーをきっかけに会話が始まるのが面白いんですよね。あと「リアクト エレメント 87」の影響だけではないと思いますが、今年はソックスがよく売れて。「スタンス(STANCE)」とか「ハッピーソックス(Happy Socks)」の柄物だったり、色で言えば蛍光の黄緑やオレンジなんかが売れましたね。プライベートブランドではタトゥー柄が人気でした。

F:たしかに半透明なアッパーだとソックスにも気を使いますね。

小島:毛玉が付いているソックスを履きにくいので、僕も結構新しいソックスを買い直しましたし、より靴下にまで気を使うようになりました。

F:履き心地はどうですか?

小島:本当に軽く、履き心地も良いです。これ以上シューズが軽くなることはないんじゃないかと思うほどです。

F:アッパーがかなり薄いですよね。防水性能はあるんですか?

小島:水には弱いですが、防水スプレーなどで対応しています。

F:防寒性はどうですか?

小島:東京くらいの気候だと問題ないと思いますよ。半透明なアッパーは他のモデルにも使われたりと、来春のトレンド候補ではないかなと。まだ一般的には認知されていないかもしれないですが、今年スニーカー業界で話題になった素材の1つだと思います。

 

2018年最も履いたスニーカー

F:続いて2018年最も履いたスニーカーを教えてください。

小島:アトモスとナイキがコラボした「Animal Collection」の「エア マックス 1 DLX」、通称"アニマル パック"です。

ナイキ×アトモス アニマルパック2.0 エア マックス 1 DLX

F:小島さんがディレクションしたものですか?

小島:そうです。2007年に発売したものの復刻で、今年一番履きました。個人的には今年のベストエア マックスですし、アトモスらしい商品が再び作れたことを嬉しく思います。

F:アトモスらしさというのは?

小島:履いていて目立つということですかね。一目見て「アトモスだ」とわかるデザインになるよう意識しました。

F:動物園がコンセプトと聞きました。

小島:馬、チーター、豹、ゼブラ、キリンの5種類の柄を使って動物園を表現しています。

F:なぜ動物園なんですか?

小島:80年代のナイキのキッズシューズ「ナイキ ズー」というモデルのスニーカーボックスに動物園が描かれていたんです。当時こういうクレイジーなエアマックスが世の中になかったので、じゃあ僕たちで作ってしまおうと考え、そこから着想を得ました。

F:2007年のものはトゥが白色で、2018年は黒色ですよね。

小島:あと実は世界30足限定で関係者向けに作った非売品のオレンジトゥもあるんですよ。

 

F:やはり自分で作ったスニーカーだとよく履きますか?

小島:そうですね(笑)。僕自身スニーカーを好きになったきっかけがエア マックスで、今でもその気持ちは変わっていなくて、1年の半分くらいエア マックス シリーズを履いています。家にあるスニーカーで1番多いのはエア マックス シリーズで、恐らく300足はありますね。

F:好きになったきっかけのスニーカーを作れるというのは夢のような体験ですね。

小島:実は「いつかスニーカーを作りたい」という夢を持って、スニーカーショップで働き始めたんですよ。それでよく僕は"エア マックス ドリーム"を掴んだと言っているんですけど、この"アニマル パック"と同じ2007年に発売した「象」がテーマの「エア マックス 1 アトモス エレファント」が、歴代100足のエア マックスの人気投票「NIKE VOTE BACK」で世界1位を取ったんです。それで昨年に「エレファント」を復刻して、同じシーズンの"アニマル パック"を今年復刻するという流れで。両方とも爆発的に売れましたね。

エア マックス 1 アトモス エレファント

F:履くときのこだわりはありますか?

小島:このモデルだけに限らないんですが、僕はスニーカー屋なので、基本的にスニーカーが目立つように全身ブラックの服装が多いです。

F:たしかに今日も黒中心ですね。ちなみに、スニーカーの手入れはどのようにしていますか?

小島:新しいスニーカーは履く前に「マーキープレイヤー(MARQUEE PLAYER)」の防水スプレーをかけて、あとは汚れが気になったら「ジェイソン マーク(JASON MARKK)」のクリーナーで拭いています。手入れのタイミングに決まった周期はないですね。普段からスニーカーを綺麗に履くということを心がけているので、特別な手入れをしなくてもひどく汚れた状態にはならないんです。

 

今年の売り場の傾向

F:2018年のアトモスの売り場を振り返ると?

小島:ブランドでいうとナイキの調子が良かったんですが、今年は特に「フィラ(FILA)」が伸びた1年でした。30代や40代とは違ったムーブメントで、若年層のウィメンズを中心にブームが起きていましたね。

F:なぜフィラが人気になったと思いますか?

小島:ダッドスニーカーの流れに上手く乗れたという感じですかね。ダッドスニーカーは今年、各メーカーから出過ぎというぐらい出ていたんですが、フィラは価格とデザインのバランスが良かったですね。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」や「グッチ(Gucci)」からダッドスニーカー人気が高まりましたが、誰もが10万円のものを買えるわけじゃないので。

F:買いやすさは大事ですよね。

小島:女性は、高額なシューズを買うならブーツやハイヒールを選ぶことが多く、男性ほどスニーカーにお金をかける傾向がないので大きな要因だと思います。あと、アジアから来たお客様にもフィラが人気です。韓国とか中国でも今爆発的に売れているので、フィラは今年のダークホース的な感じでした。

F:今年人気のカラーはありましたか?

小島:例年、春夏は白色で秋冬は黒色がよく売れるんですが、今年は1年を通して白が圧倒的に人気でした。特に秋冬シーズンは「エア フォース 1」がかなり売れたんですが、それも白を選ぶ人が多かったですね。あと、ダッドスニーカーの影響もありますが、3色〜4色の多色使いが売れてました。それこそ白をベースにして、赤や青、黄色などを採用したアイテムです。スニーカーのバリエーションが増えたので、ベーシックなものよりはファッション的に楽しんで履くという感覚が支持されたんだと思います。

F:今年はタイのバンコクに出店したり、女性のための新業態「アトモス ピンク」を立ち上げたりと店舗拡大を進めてきました。

小島:アトモスは海外だと韓国に2店舗、ニューヨークに1店舗、タイに1店舗あるんですが、タイの売れ行きは異常です。爆発的な人気があって、4月末にオープンした1店舗で1ヶ月平均約3,000万円、好調なときは4,000万円以上を売り上げる月もありました。タイのスタッフに「何でこんなに売れているの?」と逆に僕が聞いてしまう次第で。

F:この現象をどう分析されていますか?

小島:タイは日本と比べると店頭にあるスニーカーのバリエーションが少ないんです。昔、日本人がアメリカの限定品に魅力を感じていたように、自国にないものを求めているんだと思いますね。あと、日本だとスニーカーカルチャーの歴史が20年くらいあって、ある程度自分はどういうモデルが好きかわかっている人が多い。一方東南アジアはまだスニーカーの歴史が浅く、趣向がまだはっきりと定まっていないところがあるのかなと。今は色々と試すために買っているという感じがあり、爆発的に売れているんだと思います。

F:国内店舗ではどの国からの観光客が増えていますか?

小島:2年前ぐらいは中国からのお客様が多かったですが、今はタイ、フィリピン、マレーシアの方が増えています。「過熱気味のスニーカーブームはそろそろ終わるんじゃないか?」という意見もありますが、僕は心配はしていなくて。今までスニーカーに興味がなかった国の人たちが買うようになっているので、市場まだまだ拡大すると思いますね。

F:アトモス ピンクはどうですか?

小島:世界的に見ても女性用スニーカーのバリエーションが増えていることもあり、店頭でもスニーカー好きの女性が増えていますね。ウィメンズのスニーカーに力を入れているブランドが多いですし、アトモスでも女性に向けた提案は今後も注力していきます。

今後のスニーカー市場はどうなるか?

F:今後のスニーカー市場はどうなると思いますか?

小島:先ほどもお伝えしたシースルー素材と、多色使いのカラフルなスニーカーの人気がもっと一般に広がっていくと思っています。ただ広まりすぎると、人気がなくなってしまうのが現実。一時期ニットアッパーがトレンドでしたが、量販店で低価格で売られるようになり履く人も少なくなったんですよね。仕方がないことだと思うんですが、シースルーや多色使いもそういう流れになりそうな気はしています。

F:そうなると次に注目されるのはどういうアイテムだと思いますか?

小島:流行に左右されないスタンダードなものが良いのかなと。失敗したくない人は多いと思うので、「来年は履けるの?」といった疑問が解消されるもの。例えば、「アディダス(adidas)」で言うとスタンスミスやスーパースターといったモデル名が知られているものとか、NMDとかウルトラブーストとか3年ぐらい経っても安心して履けるものが再評価されそうですね。

F:来年注目しているブランドはありますか?

小島:「リーボック(Reebok)」です。ポンプフューリーは僕の青春のシューズで、2019年で25周年を迎えるんです。記念モデルが恐らく出ると思うんですが、どんなポンプフューリーが発売されるのか今から楽しみにしていますし、復刻だけでなく新しいポンプフューリーにも期待しています。あとは、アディダスのウルトラブースト19が気になっていますね。トルションバーが新しくなったり、BOOST™フォームを20%増量搭載したミッドソールで、軽量化も実現していると言われているので、非常に気になっています。

F:2019年のアトモスの目標は?

小島:年に数回開催している「atmos con」のウィメンズにフォーカスした「atmos pink con」をスタートさせ、色々な仕掛けをしてウィメンズスニーカー市場を盛り上げていきたいですね。ウィメンズでも流行ったらもっとマーケットが活性化して、楽しくなると思うんです。面白い商品も多いので、女性の方にも気軽にスニーカーを楽しんでもらえたら嬉しいですね。

F:「アメトーーク!」でもスニーカー芸人が放送されたり、「スニーカーカルチャー」がどんどん広まっていますよね。

小島:視聴率も良かったみたいですね。買ってみようかな、履いてみようかなとスニーカーに興味を持ってもらえる良い機会だったと思いますし、アトモスとしても嬉しかったです。あと日本だとOL文化があり、ヒールやパンプスでの出勤が主流ですが、今スポーツ庁がスニーカー通勤を推奨していて、もしかしたら大きな変化があるかもしれません。アトモスにとっては追い風ですので、もっともっとプッシュしてほしいと切に願っています(笑)。

F:今後は東南アジアを中心に店舗を増やしていく予定ですか?

小島:次はインドネシアやフィリピン、マレーシアを検討しています。あとは日本の既存店をよりプレミアムな内装に改装しているのと、2019年の4月ごろに「アトモス ピナクル」という最上級のブティックを千駄ヶ谷の明治通り沿いでオープンする予定です。

■【スニーカートップセラーに聞く】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も
1-mita sneakers 国井栄之
2-MFC STORE 近藤浩人
3-Styles 齋藤正希
4-BILLY'S ENT 佐藤敬太
5-WORM TOKYO 大草良平
6-UNDEFEATED 松下一英
7-KICKS LAB. 柿沼裕太
8-atmos 小島奉文

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