ファッションからビューティ業界に“衣替え”して3年が経ったマッシュビューティーラボ 豊山YAMU陽子社長。組織改変や従業員の意識改革に始まり、ファッションで培った成功事例をビューティに取り入れるなど積極的な改革を推進し、3年目で大きく飛躍した。2026年は「攻め」のフェーズに。グローバルも視野に、「毎日立ち寄るお店での体験を積み重ねることで、自然に身体が変わっていく流れを創出したい」という豊山社長の思いとは。
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豊山YAMU陽子/マッシュビューティーラボ社長

2005年にファッション事業部の創業メンバーとしてマッシュスタイルラボに入社。「snidel(現:SNIDEL)」のプレスとして、ファッション事業の新規参入に尽力。その後「ジェラート ピケ(gelato pique)」事業部部長、「フレイ アイディー(FRAY I.D)」のディレクターを兼任し、ファッション事業の拡大に寄与。2017年に同社 執行役員ブランドマネジメント部部長に就任。ジェラート ピケ事業責任者 兼「エミ(emmi)」ディレクターとしてブランドの成長に貢献し、2021年に取締役に就任。2023年4月1日から現職。
マッシュビューティーラボとは?
マッシュグループの傘下として2010年に設立。ナチュラル&オーガニックコスメのセレクトショップ「コスメキッチン(Cosme Kitchen)」や、コスメに加え食品やインナーケアアイテムをそろえる「ビープル(Biople)」「ビオップ((Biop)」を運営する。「スナイデル ビューティ(SNIDEL BEAUTY)」「トーン(to/one)」「セルヴォーク(Celvoke)」などのプライベートブランドも充実し、2022年に発表した「ミティア オーガニック(Mitia ORGANIC)」ではファミリーマートと協業するほか、日本における総代理店として「トリロジー(トリロジー)」「インナーセンス(INNERSENSE)」「ミー トゥデイ(Me Today)」などを展開。
目次
⎯⎯ファッション事業部の創業メンバーとしてマッシュスタイルラボに入社し、「ジェラート ピケ(gelato pique)」や「フレイ アイディー(FRAY I.D)」の拡大に貢献。マッシュビューティーラボを率いて3年が経ちました。これまでどのようなミッションを遂行してきた期間でしたか?
就任してすぐは組織改革に注力しました。ナチュラル&オーガニックが持つ可能性の発掘という新しい一歩を踏み出すために各々の役割分担を明確にし、活発に議論ができるようにチームを作り直しました。現代社会はナチュラル&オーガニックを必要としていますし、活性化するための基盤作りには力を注ぎましたね。
⎯⎯ビューティーラボの本社社員数は現在158人。多くの社員の意識を変えるために社長自ら取り組んだことはありますか?
毎週、朝礼で話をする時間を設けています。組織についての真面目な話からすごくカジュアルな話まで。3ヶ月毎に実施する店長会でも必ず話す時間を設けているので、「豊山YAMU陽子社長」がシンボルとして浸透しているかもしれません。これは、ファッション部門だと規模が大きすぎてできなかったことだと思います。
⎯⎯具体的にはどういう改革を行ったのでしょうか?
販路拡大を実現するため、メンバーの適性に基づいた役割分担を徹底し、各自の強みを最大限に活かす体制を構築しました。その上で中長期目標を設定し、段階的に実行することで、マネジメントの本質的な重要性を再認識するとともに、新たなアイデアが自然発生的に生まれやすい組織を醸成することができたと思います。これによりチャネル拡大への道筋が大きく開かれたと考えています。事業成長と組織機能の最適化は表裏一体であり、個々のメンバーが活躍できる環境づくりこそが、持続可能な成長の基盤だと思います。
オーガニックにエンタメを取り入れワクワク感創出
⎯⎯構造改革の取り組みについて教えてください。
就任時に私に任されたのが、リテール事業における売り場の編集力と企画力の底上げ。そこで、ナチュラル&オーガニック市場の中に、私が20年間ファッションに携わって培ってきたトレンドの要素をエンターテインメント性として取り入れ、シーズンごとにお客さまが楽しめるように強化しました。

⎯⎯エンターテイメント性のある施策とは?
ファーストオーガニックの間口を広げる取り組みです。「楽しさ」「わかりやすさ」「新たな発見」「トレンド」をキーワードに、お客さまが足を止めるきっかけ作りを行いました。具体的には、年間を通してお客さまのモチベーションを盛り上げる計画を充実。例えば、私が「ジェラートピケ(gelato pique)」を担当していたときに養った、キャラクターとのコラボレーションなどを行いました。社長に就任後、約2年間でかなりの数のコラボレーションを実施し、お客さまに新鮮なサービスを届けられたと思います。
当社発信のコラボ企画を行う中で、コスメキッチンで取り扱う各メーカーさまから参加の意向もたくさんいただきました。これまで1つのブランドと1つのキャラクターがコラボするというものが主流でしたが、10以上のブランドが各スターアイテムを持ち寄り、1つのテーマでコラボするという企画を実施。お客さまからも大きな反響をいただき、私たちもワクワクして興奮しましたね。その後も、「このような企画があれば次回は参加したい」と多くのメーカーさまから挙手をいただき、とても手応えのあるチャレンジとなりました。
⎯⎯確かにコラボや協業といった活動は活発に行っていた印象です。
ビューティ分野でのコラボの強みは、あらゆる要素を含んでいることです。いわゆるコラボレーションではない、私たちがデザインや企画力を得意としていることを生かした協業も行いました。例えば、ナチュラル&オーガニック業界の話題につなげられるようにと、「クラシエ(Kracie)」の漢方のパッケージデザインを監修。苦くて香りが強いというイメージの強い漢方を一新し、漢方薬を気軽に生活に取り入れられるようにと、体が整うお守り的存在の漢方ドリンク「エンユー(enn you)」をコスメキッチン、ビープル、「ビオップ(Biop)」で販売しました。こうしたパートナーシップの実現も強みとなる出来事でした。
毎年規模を拡大する「THE ORGANIC DAYS」の成功
⎯⎯オーガニックの祭典「THE ORGANIC DAYS」もエンタメ性が高かったと思います。
そうですね。THE ORGANIC DAYSは発信力を武器とし、2024年6月の初開催以来、ECとリアル店舗の垣根を越えた体験を目指しています。マッシュグループが2025年の年間スローガンに掲げた「Think Entertainment」に沿い、お笑いコンビジャルジャルを起用した意外性のあるプロモーションが、SNSでも大きな反響を呼びました。回を重ねるごとに規模を拡大し、社内の一体感も強固になったと思います。
お客さまはオーガニックの価値を既に認識していながらも、どこから始めるか、という入口選択で躊躇していたように思います。そこで、デザインを起点にして顧客を自然に誘導できるのではないかと考えました。エンターテインメント性を施策の中核に据え、お客さまのモチベーションを喚起する複数の仕掛けを行いました。

2025年8月期に売上前年比 2桁増を達成
⎯⎯業績の話になりますが、就任から2年は横ばいで推移していたグループ全体のビューティ事業における売上高が、2025年8月期は前期比14%増の200億円と飛躍した年になりました。この成果についてどのように振り返りますか。
組織改革と収益構造の最適化により、経営基盤を確立しました。各部署からのボトムアップアイデアを積極的に吸収し、組織全体の意識向上と実行力を高めたことが、飛躍の原動力となったのです。またミッションとして、既存店の潜在力を最大化することにも注力しました。つい新店舗へと意識が向きがちですが、既存店のポテンシャルは大きく、そこを磨き上げたことで、既存店の売上高が前年比18%増を達成しました。この戦略の有効性が実証され、組織全体に確かな手応えが生まれました。
⎯⎯主軸のコスメキッチンは前期比21%増で着地。好調の要因について教えてください。
日常から得たインプットをすぐにアウトプットするスピード感を大事にしているため、各部署のリーダーたちと話し合う機会も多く設けています。例えば、若手リーダーのプロジェクトチームがあるんですが、既存ブランドの機会損失に着目し、1年をかけて試行錯誤しながら話し合いと実践を繰り返しました。その結果、1年で売上が8億円増となったんですよ。そのとき重視したことの1つが、VMD。コスメのライブラリーのような店舗内で、季節ごとの打ち出しやポップなどを通じてセルフのお客さまを高揚感で満たしたことが成果につながりました。
プライベートブランドの「スナイデルビューティ(SNIDEL BEAUTY)」や「トーン(to/one)」は着実に力をつけて素晴らしい成長を遂げました。スナイデルビューティは「アイデザイナー n」がヒットし、売り上げは前期比26%増と大幅に伸長。トーンは、コンシーラーパレット「ペタル フロート フローレス タッチ」が即完売したほか、ブランド初のサプリメント「ドリーム フローラ VC ショット」の発売も盛り上がり、同16%増で着地しました。

左から、スナイデルビューティ「アイデザイナー n」、トーン「ペタル フロート フローレス タッチ」
⎯⎯そのほか特筆すべきブランドは?
ニュージーランド発「トリロジー(trilogy)」が同14%増と飛躍しました。創始者からブランド背景などを直々に聞き、スタッフへのトレーニングに反映していきました。それにより「この素晴らしいブランドについて早くお客さまに伝えたい」という意識が生まれるんですよね。また、ファーストオーガニックとして取り入れやすいブランドでもあるため、お客さまへのコミュニケーションをわかりやすくすることを徹底しました。商品軸では、日本企画のフェイスマスクの制作など、仕入れだけでなく、培ってきたノウハウを活用して新たな開発を行うことも積極的に進めています。
即効性ではない、日常で立ち寄れるショップで身体に変化を
⎯⎯この3年を振り返り思っていることはありますか?
課題は尽きませんが、私たちはオーガニックとの関わりを“即効性”にはしたくありません。頭痛薬のような対症療法ではなく、毎日立ち寄るお店での体験を積み重ねることで、自然に身体やライフスタイルが変わっていく流れを創出したいのです。そのため、現代の読みにくい気候変動や移り変わりの早い市場動向と戦っていかなければなりません。サイエンスの力も取り入れながら新しい可能性に向かっていきます。

⎯⎯日常で立ち寄れるお店があるというのは心強いですね。
そうなんです。サプリメントやお菓子などバラエティー豊かな商品に囲まれたビープルは切り口として面白いし、利便性の高い場所に位置することでオーガニックを日常化するという役割も担っています。日本にはもっとこのような店舗があってもいいと思いますね。
ルミネさんからも「ビープルのコンビニみたいな店舗は作れないのか」とお声がけいただき、オーガニック&ナチュラルなコンビニエンスストアの「ビオップ」を2024年新宿駅構内にオープンしました。1日の乗降客数が世界でもトップクラスの新宿駅はとても忙しい場所ですが、それでも立ち寄るお店によって身体を整えることができるのは強みですよね。ビオップは試験的にファミリーマート内にブース展開しています。これが成功すれば今後にも期待できます。私たちの信念や理念に共感した企業との協業が、社会を変えるきっかけとなり、少しでも良い方向に進めるといいですね。
2026年は日本発オーガニックコスメを発信する「グローバル元年」
⎯⎯2026年の展望について教えてください。
コンシェルジュ店舗を展開する当社では、人材育成に重きを置いています。毎年開催のグループ接客ロールプレイング大会では、2025年にマッシュビューティーラボのショップスタッフが優勝を飾り、社員の可能性を底上げしました。さらに、ビューティーラボ研修アプリを導入し、いつでも約200ブランドの商品知識・新作情報を学べる環境を構築。アプリ導入により店舗の垣根を超えたスキルアップを実現し、2026年の業績にも間違いなく期待できます。
過去3年は基盤固めに注力し、売上前年比2桁増を達成しました。ここからは攻めのフェーズに移行します。人材育成を最優先に、2026年はフランチャイズ強化によるチャネル拡大と販売力向上によるロイヤルカスタマーの増強を両軸にしていきます。
さらにグローバル展開も視野に、まだ届けられていない地域にナチュラル&オーガニックを届けていく。スナイデルビューティは韓国・香港からアジア出店を拡大し、トーンはグローバルからのオファーが増加しています。2026年のマッシュビューティーラボは日本発のオーガニックコスメを発信する「グローバル元年」として飛躍の年を目指します。
text: Wakana Nakade, photography: Katsutoshi Morimoto, interviewer: Akiko Fukuzaki, Mayu Kamitamari(FASHIONSNAP)
最終更新日:
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