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クリエイティブディレクター就任から1年、クレア・ワイト・ケラーに聞く「ユニクロの面白さ」

クレア・ワイト・ケラー

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クレア・ワイト・ケラー

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クリエイティブディレクター就任から1年、クレア・ワイト・ケラーに聞く「ユニクロの面白さ」

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 「ユニクロ(UNIQLO)」が、「ユニクロ:シー(UNIQLO : C)」の2025年秋冬コレクションを発売した。2023年から同ラインを手掛けるデザイナー クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)は、2024年にユニクロのクリエイティブディレクターに就任。ブランド全体のクリエイションを統括している。これまでに「クロエ(Chloé)」や「ジバンシィ(GIVENCHY)」を率いてきたクレアが見る、メゾンとユニクロの違いとはなにか。韓国・ソウルで開催されたユニクロ:シーの新作発表イベント会場で、同職就任からちょうど1年を迎えた彼女に聞いた。

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ユニクロは「日本的なデザインプロセス」

⎯⎯クレアさんはユニクロ:シーのデザイナーだけでなく、昨年からユニクロのクリエイティブディレクターも務めています。ユニクロとユニクロ:シーのクリエイション面の違いを教えてください。

 根本的なアプローチが違います。ユニクロの本ラインは、全ての人に向けたベーシックなワードローブなので、基本的に無駄を削ぎ落としたシンプルなピースです。「ユニクロに行けば素晴らしい白Tシャツがある」「汎用性の高いシャツが売っている」という顧客からの信頼を何より大切にしていて、基本的に本ラインのアイテムは大きく変わらないようにしています。そこにシーズンごとの色を少しだけ加えるというニュアンスです。

 対してユニクロ:シーは、言うなればラボのような場所。毎シーズンコンセプトを変え、さまざまなアイデアや、新しいテクノロジー、素材を実験する場です。ここでテストし、上手くいったアイテムの一部はメインラインでの展開も検討します。

ユニクロ:シー 2025年秋冬コレクション

ユニクロ:シー 2025年秋冬コレクション

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⎯⎯ユニクロ:シーを始めて丸2年。振り返って。

 最初のシーズン(2023年秋冬)からかなり進化し、面白いものになっていると手応えを感じています。分かりやすい転機は2024年秋冬シーズンでメンズラインをスタートしたことで、これまで限られていたターゲット層が一気に広がりました。また、スウェット(スウェットオーバーサイズプルパーカ、スウェットワイドパンツ)の大成功も大きかったですね。従来のスウェットのイメージと逆行したクリーンな表情が若年層に強く支持され、Z世代の顧客が爆発的に増えました。

⎯⎯これまで「クロエ」や「ジバンシィ」といったメゾンを率いてきたクレアさんですが、ユニクロはまた違った領域ですね。

 ユニクロでは「機能性」や「パフォーマンス」に非常に力を入れており、テクノロジーに関わる要素をコレクションに加えています。ここが従来のメゾンとの大きな違いで、自分にとって新たな挑戦でした。ユニクロと仕事をすることで「東レ」のような素材メーカーにもアクセスできましたし、より多くの人が手に取りやすいアイテムを、素晴らしい品質で提供するというのもエキサイティングでした。

クレア・ワイト・ケラー 写真

クレア・ワイト・ケラー

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⎯⎯機能素材とデザインの関係性について。どのようにバランスを取っていますか?

 私の場合はまず素材を選定し、その後で素材メーカーに「こういうデザイン、シルエットのものを作りたいが可能か」といった相談をします。もちろん全てが実現可能ではないですが、擦り合わせをして、最も理想に近い形を探ります。テクノロジーがあっても、見た目が良くなければ意味がない。逆も然りで、見た目が良くても機能性がなければそれはユニクロにとって良いプロダクトとは言えないのです。

⎯⎯ユニクロならではの難しさは?

 「editing(編集)」です。デザイナーとしてより多くのアイデアを形にしたいと思うのは当然のことですが、ユニクロではある程度デザインを集約しなければなりません。消費者の方のニーズを捉え、訴求力のあるクリエイションにするために必要なプロセスではありますが、時には苦しさを感じることもあります。

 ただ一方で、無駄を削ぎ落とし、理由があるものだけを残した先にデザインがあるといった考え方は素晴らしいとも思います。非常に日本的な思考で、個人的にも勉強になる点が多いです。

イベント会場の外観

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クレア流、ファッションの楽しみ方

⎯⎯ユニクロのコレクションを考える上で大切にしていることを教えてください。

 これまでのシーズンとの繋がりです。例えば、ユニクロ:シーでは2024年秋冬コレクション2025年秋冬コレクションのアイテムを自然にコーディネートすることができます。これはエフォートレスというユニクロの理念に通じるもので、「今回の新作は素敵だけど、去年のコレクションとは合わないから新しいものを買い足さなければ」という考えにはなってほしくないのです。

 現代にはたくさんの選択肢があり、時には迷ってしまうこともあります。服を着る上では、しっかりと心を配ってワードローブを編集し、シーズンごとに気に入ったアイテムだけを買い足してコーディネートするというのがモダンでスマートなアプローチだと思います。

アイテム画像
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⎯⎯ユニクロの今後の課題は?

 よりサステナブルなビジネス形態にシフトしていくというのは大きな課題でしょうね。特に素材の選定に関しては、もっと心を配って取り組んでいく必要があると思っています。今考えているのは、リサイクル、生分解が可能な天然素材を柱にすることです。今でもカシミヤやメリノウールなど、天然素材100%のアイテムは多いですが、これをもっと拡大していきたいと考えています。

 もちろん、現在でもユニクロの環境配慮への意識は非常に高いです。例えば、デニムのウォッシュ加工に使う水の量を減らす仕組みが確立されていることにはブランドにジョインして驚きました。今後も、持続可能な未来の実現に向けてできることを考え、実行していきたいです。

村田太一

Taichi Murata

群馬県出身。男子校時代の恩師の影響で大学では教員免許を取得するも、ファッション業界への憧れを捨てきれず上京。某衣料品メーカーを経て、2021年にレコオーランドに入社。主にビジネスとメンズファッションの領域で記事執筆を担当する。「ジョジョ」は人生のバイブル。幼少期、地元の少年野球チームで柄にもなくキャプテンを任せられた経歴を持ち、今もプロ野球やWBCを現地観戦するほどの野球ファン。実家が伊香保温泉の近くという縁から、温泉巡りが趣味。

最終更新日:

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