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1960年にイタリアでクチュールブランドとして創業した「ヴァレンティノ(VALENTINO)」。長い歴史と伝統を受け継ぎながら、現在はファッションのみならず、フレグランスやメイクアップなどのビューティ事業「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」でも“独自性”のある世界観を打ち出している。
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2025年9月に、日本ロレアル ヴァレンティノ ビューティ事業部長に就任したアンヌ ロール・デカン(Anne-Laure, Dequin)氏は、日本を「感性の解像度が極めて高いマーケット」と捉え、「ヴァレンティノのDNAをビューティアイテムを通して伝える」ことをミッションとする。

◾️アンヌ ロール・デカン(Anne-Laure, Dequin):日本ロレアル ロレアル リュクス事業本部 ヴァレンティノ ビューティ事業部 事業部長。フランス出身。ロレアル本社で20年以上にわたり、パリを拠点とするラグジュアリーブランドで財務、営業、ブランドマネジメントなどの職務を歴任。プラダ ビューティの副ゼネラルマネージャーを経て来日、2025年9月から現職。「東京の空は光がキラキラと降り注ぎ、飽きることがない。つい見続けてしまうんです」
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ヴァレンティノ ビューティはエレガントで大胆かつ先進的なブランド
⎯⎯ 前職では「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」の立ち上げに携わっていたそうですね。
直近3年間は、ミラノを拠点にプラダ ビューティのグローバル市場展開戦略を担当する副ゼネラルマネージャーを務め、ブランドの独自性を全市場で確実に反映させるべくグローバルローンチを指揮しました。プラダというファッションのアイデンティティとロレアルの化粧品分野における革新的な強みを融合させることで、卓越した価値を創出し、著しい成長を達成したと確信しています。
⎯⎯ 日本ロレアルに着任し、現在のミッションは?
これまでミラノから世界への発信でしたが、現在はヴァレンティノ ビューティといったグローバルブランドを日本市場でどう拡大させ、お客さまに親しんでいただくかを考える立場へと変わりました。ブランドをローカルで活性化することがミッションです。とてもやりがいを感じています。
⎯⎯ ヴァレンティノ ビューティをひと言で表すと?
ひと言では難しいですね(笑)。「エレガントで大胆かつ先進的なブランド」でしょうか。クチュールがけん引するイノベーティブなデザイン性と、伝統や職人技といったオーセンティックな価値が共存していることが最大の魅力です。私たちの目標は、ヴァレンティノのDNAをビューティアイテムを通して伝えること。この魅力をお客さまにどのようにお届けするかという、ストーリーテリングを強化しています。

「スパイク ヴァレンティノ」(7480円)
Image by: VALENTINO BEAUTY

1月に発売した「カラー クラッシュ」(1万2100円)
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フレグランス「アナトミー オブ ドリームス」を軸に発信を強化
⎯⎯ヴァレンティノ ビューティが日本に上陸したのは2022年3月。当初からフレグランスに加えメイクアップも揃え、よりキャッチーなデザインで若年層にもリーチしています。現在の注力カテゴリーを教えてください。
フレグランス、メイクアップともに発信を強めています。両カテゴリー間で完璧に調和した相乗効果が生まれています。この均衡はクチュールブランドにとって理想のバランスであると捉えています。より多くのお客さまとつながることができますし、このバランスを維持していきたいです。
⎯⎯コロナ禍以降、フレグランス市場の拡大が顕著です。ヴァレンティノ ビューティにおいても、同様の傾向が見られますか?
世界的なフレグランス市場の急成長に伴い、ヴァレンティノ ビューティも好調に推移しています。フレグランスはブランドとの出合いを創出する重要なアイテムと位置づけており、この追い風を活かしながら、昨春デビューした「アナトミー オブ ドリームス」を軸にした戦略を構築しています。
⎯⎯ アナトミー オブ ドリームスのコンセプトを教えてください。
イタリア・ローマの宮殿を舞台に、その空間で紡がれる物語を夢として昇華したクチュールフレグランスコレクションです。建築の美しさや空気感を香りで表現する手法が、ヴァレンティノらしいオートクチュールの世界観として人気で、ローンチ以降好調です。

「ヴァレンティノ アナトミー オブ ドリームス」(30mL 2万2550円、100mL 5万8300円)
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2025年12月にはヴァレンティノ アナトミー オブ ドリームスからキャンドルコレクション「ヴァレンティノ レ スィール」も発売
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⎯⎯このフレグランスは、顧客にどのような価値を提供していますか?
単に香りをまとうのではなく、“ムードをまとう”という感覚です。例えば、「リノサンス ドゥ レール」は、早朝の澄んだ空気の中、鮮やかなイタリア庭園とその奥へと続く小道を探索する情景を描いています。まるで自分がその場にいるかのような、香りのストーリーを伝えています。
⎯⎯10種類ある香りの中で、どの香りが人気ですか?
「リノサンス ドゥ レール」は日本国内で非常に高い反響を得ており、主張しすぎないクリーンなフローラルノートが若年層を中心に支持されています。対照的に「ソーニョ イン ロッソ」は海外人気が高く、インバウンド需要が顕著です。

デカン氏のお気に入りの香りもリノサンス ドゥ レールだという
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Z世代に響かせる「ニュースタルジア」戦略
⎯⎯では日本市場についてお聞きしたいと思います。日本でビジネスをスタートして、日本人のフレグランスの選び方に特徴はありますか?
日本は“感性の解像度が極めて高い”マーケットだと感じました。自分の好みと他者からの印象の両立を重視し、ユニセックスでニュートラルな香りを好みます。個性は求められるものの、強すぎないバランス感覚が日本市場の特徴と言えますね。
⎯⎯成長する日本のフレグランス市場ですが、香りの好みに変化は見られますか?
従来からの爽やかで清潔感のある香りへの志向は継続していますが、この1〜2年でウードやスパイシー、レザーといった力強い香りを求める人が増えていると思います。また、気分やシーンに応じた使い分けや、レイヤリングを楽しむ人も増加しており、接客を通じた複数購入も珍しくありません。

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⎯⎯ 若年層へのアプローチで重視していることを教えてください。
Z世代を含む若い世代をどう取り込んでいくかは、すべてのクチュールブランドの課題です。SNSなどのデジタル施策は欠かせませんが、単なる商品紹介では共感を得られません。購入がゴールではなく、価格や店舗体験も含めた“独自性のあるストーリー”への共感が重視される時代です。
そこで私たちは、ヴァレンティノが持つクチュールの歴史に改めて着目しました。いわゆる過去への懐古ではなく、若い世代の視点で新しい価値観を吹き込む考え方です。ブランドの歴史や伝統を学びながら知識を深め、トレンドを再構築、そして未来へ橋渡しをする。この「ニュースタルジア」の考え方こそが私たちに必要な姿勢です。

昨年11月に伊勢丹新宿店 本館1階にカウンターを新設。オープン時は「アナトミー オブ ドリームス」のミニサイズやコフレの限定アイテムを先行発売し人気を集めた。「今後の最優先事項は店舗環境の質を絶えず高め、すべてのカウンターがオートクチュールの世界へと続く懸け橋となるようにすることです」(デカン氏)
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2026年はファッションと協働し独自性を発信
⎯⎯ 2026年、最も強化したいことは?
クチュールブランドにとって非常に重要なのは、その独自性。1つのブランドとして、1つのメッセージを届けることが不可欠です。
私が日本に来てからの重要なミッションの1つが、メゾンのファッション部門と密に連携することで、統一されたブランドストーリーを確立することでした。
⎯⎯ 具体的な施策を教えてください。
ヴァレンティノのDNAをより深く体感いただける機会を創出します。フレグランスの歴史やストーリーを伝えるイベントを展開し、唯一無二の体験価値を通じた差別化を図ります。
メイクアップでは、クチュールブランドならではの高いデザイン性を活かし、アクセサリー感覚で楽しめるコスメを展開します。機能性に加え、メゾンの象徴的な要素にインスパイアされた新作が「クチュール アクセサリー」として登場しますので、楽しみにしていてくださいね。

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(文:長谷川真弓、聞き手:福崎明子、編集:上玉利茉佑)
最終更新日:
美容エディター・ライター
編集プロダクションを経て、広告代理店で化粧品メーカーの営業を7年半担当。化粧品のおもしろさに目覚め、2009年INFASパブリケーションズに入社。美容週刊紙「WWDビューティ」の編集を担当し、2014年にフリーに転身。ビューティにまつわるヒト・コト・モノを精力的に取材している。
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